シリーズ・Jミステリーはここから始まった! http://www4.nhk.or.jp/P3868/
放送 NHK BSプレミアム
【※以下ネタバレ】
日本独自の発展を遂げてきたJミステリー。その源流を作った2人の巨人、松本清張と横溝正史の代表作を、テキストにこだわって読み解く読書会シリーズ。
※他の回の感想→第1回 松本清張“ゼロの焦点”
■内容
文学作品をテキストにこだわって語り合う「読書会」シリーズ。今回は横溝正史の「八つ墓村」。“たたりじゃー”で有名なこの物語には、村人32人が殺された「津山事件」や落ち武者伝説が息づき、まがまがしい雰囲気に満ちている。でも読み込んでみると、宝探しや洞窟探検、純愛物語などにあふれている!「八つ墓村」は実は、冒険小説でもあるのだ。金田一耕助も村人たちの活躍にたじたじ、ちょっと不思議な推理小説を読み解く。
■感想
巨匠の推理小説について著名人のゲストたちが語りあうシリーズ物(全2回)。
今回のお題は、金田一耕助物「八つ墓村」。豊富なイラストと共にストーリーを紹介しつつ、合間合間にゲストたちが原作の魅力や特筆すべき点etcを語り合うパートが差し込まれてします。ちなみに、書評なので、ストーリー紹介は「誰が殺されるか、犯人は誰か、結末はどうなるか」etcを全て完璧に明かしてしまいます。まあ、前回の「ゼロの焦点」の回で「複数ゲストによる書評(ただし大ネタバレ大会)」という番組と把握していたので、今回はわりと冷静に視聴できました。そう解って視聴すると、あの分厚い原作をストーリー紹介してくれて、有名作家たちのコメントまで楽しめる、というつくりは結構贅沢なのではないでしょうか。
あと、今回はイラストが凄く良かった。基本的にアニメ絵調ではあるのだけど、ある程度リアル風味も入れている絵柄で、すんごく魅力的。惚れました。まあこれが八つ墓村の世界観に合っているかといわれるとどーかとも思ったけど(笑) 小説の雰囲気的には伊藤潤二の絵とかの方が良いような気もする。
横溝作品が社会派推理小説に押されて忘れられた後、1970年代に『あの』角川春樹の角川文庫のおかげで復活大ブームになり、その人気が今も続く、とかの歴史もためになりましたな。