感想:NHK番組「ザ・プロファイラー 〜夢と野望の人生〜」『善か?悪か?時代に吠える怪獣王 ゴジラ』


ゴジラ(昭和29年度作品) [60周年記念版] [DVD]

ザ・プロファイラー 〜夢と野望の人生〜 http://www4.nhk.or.jp/profiler/
放送 NHK BSプレミアム(毎週水曜 21:00〜22:00)。

【※以下ネタバレ】

歴史好きの岡田准一が、時代を動かした人物たちの謎に挑む。
栄光と苦難の生涯を生きた先人たち、感動の人間ドラマ。

http://www4.nhk.or.jp/profiler/

善か?悪か?時代に吠える怪獣王 ゴジラ (2016年3月9日(水)放送)

番組内容

ザ・プロファイラー〜夢と野望の人生〜▽善か?悪か?時代に吠える怪獣王 ゴジラ[終


一昨年、アメリカ映画がヒットし、再び脚光を浴びるゴジラ。今夏、12年ぶりとなる日本での新作も公開予定だ。1954年、原水爆反対のメッセージを打ち出す大人向けの作品としてスタートしたゴジラ。しかし次第に“怪獣プロレス”的な側面を前面に打ち出した子ども向けの作品になっていく。そして、試行錯誤の末、大人も子どもの楽しめる作品としてのスタイルを確立していく。その変遷の舞台裏にある作り手たちのドラマに迫る。


【司会】岡田准一,【ゲスト】宇野常寛,佐野史郎,釈由美子

http://www4.nhk.or.jp/profiler/x/2016-03-09/10/18776/2285316/

・初代ゴジラ誕生

 1954年、東宝のプロデューサー田中友幸は、ビキニ環礁の核実験と日本の漁船の被爆をヒントに、核反対のメッセージをこめた映画の企画を考えた。そして怪獣ゴジラが登場する映画が制作されることになったが、企画が発表された当時は新聞で「ゲテモノ」と酷評された。しかし、いざ公開されると、反核のメッセージなど大人の鑑賞に堪える出来で、観客動員数900万人という大ヒットとなった。



ゴジラは子供のヒーローへ

 しかし、その後ゴジラは大人向けの映画というスタンスを捨て、子供向けの映画へと傾斜していく。そのきっかけは2作目「ゴジラの逆襲」にあった。この映画も反核スタンスではあったが、劇中にゴジラが別の怪獣と戦うシーンが有り、そこが子供に受けが良かったのである。そこで怪獣同士のバトルを映画の中心にすえる方向に転換し、3作目「キングコング対ゴジラ」を制作する際には、スタッフは力道山のプロレスを参考にしたという。そしてゴジラは、劇中で大ヒットギャグの「シェー」を披露するなど、どんどん子供の物になっていった。ちなみにこのシェーは特撮監督の円谷英二のアイデアで入れたという。

 その後ゴジラ映画は作り続けられるが、映画の斜陽化と共にゴジラの人気も落ちていき、ついに観客動員数100万人をきる有様となって、1975年にゴジラ映画は一旦打ち切りとなった。



ゴジラ復活

 ところが1977年、特撮映画「スターウォーズ」の大ヒットで、特撮というジャンルに注目が集まるようになった。1979年にはゴジラのリバイバル上映が行なわれ、ファンによりゴジラ復活を望む声が大きくなっていった。そしてそれを受けて1984年に、改めて「ゴジラ」という作品が作られた。この作品ではゴジラはまた人間の敵に戻り、同時に反核メッセージが込められていた。

 しかしながら、この1984年版ゴジラは「怪獣プロレス」を期待していたファンからは受けが悪かった。そこで次の作品は一般からアイデアを募集し、1989年映画「ゴジラvsビオランテ」ではバイオテクノロジーで生まれた怪物ビオランテゴジラのバトルが描かれた。その後、いわゆる「平成ゴジラ」と呼ばれる映画は、凶悪なゴジラ&怪獣プロレスという要素で大人と子どもの両方を満足させるスタンスを取る。子供向けには「次にゴジラと戦わせたい怪獣」とアンケートをとり、トップ3の「モスラキングギドラメカゴジラ」との対戦を実現させた。1998年にハリウッドでゴジラ映画を作る事になり、日本のゴジラは一旦打ち切ることが決まり、1995年の「ゴジラvsデストロイア」でゴジラメルトダウンして死ぬ、という結末を描いた。



・ミレニアムゴジラ

 ところがハリウッド版ゴジラは、監督のローランド・エメリッヒの意向で「日本版とは全く違うデザイン」で作られたため、ビルの谷間を全力疾走していくゴジラ、という物になった。日本のスタッフはこれを見て「こんなものがゴジラのイメージとして定着しては困る」とゴジラ映画の新作製作を決断する。そして1999年以降「ミレニアムゴジラ」と呼ばれる一連のゴジラシリーズが作られた。



・そして「シン・ゴジラ」へ……

 2014年には再度ハリウッドで「ゴジラ」が制作され好評を博した。そして今年2016年には、あの「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明樋口真嗣による新作「シン・ゴジラ」が公開予定である。


感想

 NHKは2014年の「ゴジラ生誕60周年記念」の際に、ゴジラ映画特集や関連番組を連発するなど、妙にゴジラに好意的なのですが、今年の新作ゴジラ公開に合わせて、「ザ・プロファイラー」のテーマとしてゴジラが取り上げられました。ゲストが佐野史郎釈由美子というゴジラ映画経験者で、何も無いところを見て「あ、ゴジラだ」とか言わされる苦労とか語っていたのにはちょっと笑いました。

 番組内容は2014年に放送した「ゴジラの大逆襲〜お前は何者なのか〜」 http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20140706/p1 あたりとかぶるところもあり、そう目新しい内容ではなかったものの、一時間でゴジラ映画60年の歴史を俯瞰して見せてくれたので、やはりそれなりに見ごたえがありましたね。まあ見てよかったと思います。


こちらもどうぞ

「ザ・プレミアム」『ゴジラの大逆襲〜お前は何者なのか〜』(2014年7月5日(土)放送) http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20140706/p1

伊福部昭の世界〜「ゴジラ」を生んだ作曲家の軌跡〜」(2014年8月30日(土)放送) http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20140831/p1