【エロゲ】「新・エロゲーが売れなくなった7つの理由」が実に腑に落ちる

高1ですが異世界で城主はじめました8 (HJ文庫)

新・エロゲーが売れなくなった7つの理由|鏡裕之|note
https://note.mu/kagamihiroyuki/n/n4d8a2555c667

 18禁ゲームシナリオライターで、最近はラノベ作家でもある鏡裕之氏が、2010年代にエロゲが売れなくなった理由について考察されています。鏡裕之氏は趣味志向が似ているみたいで、氏の関わった作品は昔はお世話になりました(笑) 最近はHJでこんなシリーズを出されているとか。

 
 
 さて、業界衰退の理由についてですが、鏡氏は以下の7点を挙げています。業界人が内側にいた時の経験も含めての分析なので、素人で思いつきで書いたものよりは説得力があるのではないでしょうか。

1.2004年の『Fate』以降、ストーリーゲームにシフトしすぎた
2.格差社会リーマンショックのコンボが、エロゲー購入層を直撃した
3.エロゲー売り場が減少した
4.2004年に同人ゲームが隆盛、抜きゲーと競合状態に陥った
5.2008年以降、スマートフォンが広まった
6.2011年のMacBookAir以降、ノートパソコンの軽量化&薄型化に拍車が掛かり、光学ドライブが内臓ではなくなった
7.キラータイトルが減少して、若者の注意を引き寄せる機会が減少した

 理由1は、エロゲがストーリー志向に走りすぎた結果、ラノベと競合する事になり、コストパフォーマンスでラノベに敗れた、という事を述べています。私自身はラノベは手に取らないタイプで、ラノベがエロゲの代替となっていた、という意識はなかったのですが、じっくり考えてみれば確かにそうだよなぁと。

 「【エロ】ゲ」のはずが、ストーリーを徹底重視して(まあそれ自体は悪いことではないにしても)、その代わりにエロを減らしていく。作リ手があからさまに「我々は18禁ゲームを作りましたが、別にエロに興味は有りません。製作資金を集めるため、方便としてエロを選んだだけです」という態度になり、買うほうもそれを了承して「エロゲーにエロは必要ない」とか言い出し(以前ネットで大真面目でこんなことを主張しているのを読んだ事がある)、その状態が恒常化する。そして、ついにある日客が、ふと「エロが無くて話だけ読みたいなら、ラノベで十分じゃね? 学園ハーレム物も異能物もなんでも有るし、遥かに安いし」と気が付く……、うーん、納得だわ。


 理由の2〜7も、それぞれ一つ一つは決定的ではないにしても、複合する事で業界をドンドン弱らせていった理由としては納得がいきます。特に7のキラータイトルが無くなった、というのは実感しますよね。10数年前くらいは、人気エロゲというのは、18禁にも関わらず何故か一般誌ゲーム誌でも「期待のタイトル」みたいな感じでチラ見せされていて、オタクたちの話題を呼び、すぐにコンシューマー移植されるのが当たり前、みたいな感じでしたからね。物凄く荒っぽく言えば、2013年に「艦これ」が「これは凄い」とオタたちの間で盛り上がったようなムーブメントが、かつてはエロゲで起きていたんですよね(規模はさすがに違うものの、イメージとしてはあんな感じ)。もう今はエロゲで何が出ているかなんて殆ど伝わっても来ませんよね。


 私自身は、この手のゲームは1980年代のジャストの「天使たちの午後」(笑)頃からの忠実な信奉者で、フェアリーテールの盛衰とかエルフやアリスソフトの勃興とか、リーフなりあがり伝説とかの頃は「プレイしないと生きていけない」くらい依存していたのですが、2001年頃に仕事の関係でとてもゲームをアレしている場合では無くなって……、こういう流行ものは、一旦長期間離れてしまうと、後で時間の余裕が戻っても「ああ、流れが速い業界だから一度離れたからもう追いつけない」みたいな妙な距離感が生まれるんですよね。でそのまま離れてしまい……、2004年頃にクラナドの為に戻ったのが最後だったっけ。

 で、そのままスパッとゲームから離れて、業界の事は風の便りで聞いてくる、くらいの態度でいたら、いつの間にか古巣はえらい事になっていた……、寂しいですねぇ。でも、ストーリー路線のときに活躍したシナリオライターたちがみんな「エロゲは踏み台で小説とかアニメの仕事が本命です」みたいな姿勢だったし(注:ニトロプラスを見よ)、仕方の無い話か。


 「リップスティックADV」とか「DEJA」みたいな適度なフラグ立てゲーム(長くて20時間程度)だったら、今でもプレイしても良いって気になりますけど、もう需要は無いんでしょうしね。シーズウェアの「DESIRE」をプレイしたときの衝撃なんか今でも覚えていますけどね。「イヴ・バーストエラー」のマルチサイトも鮮烈だったし。何もかも遠い過去の話になってしまった……、


 結局のところ、業界は「隆盛を誇った大帝国が衰退していく」みたいに、ほんの限られた数社で細々とやるところまで縮小するんじゃないかな。まあ元々そんな状態から始まった業界だし、そういうところに戻るのも運命だったのかも。