【コミック】「シェイファー・ハウンド」美少女たちの凄惨な戦いがついに完結


シェイファー・ハウンド 01―戦車と知られざる女性部隊 (ジェッツコミックス)

歴史の闇に埋もれた女性だけの戦車部隊が存在した! 死を怖れぬイカレた兵として育てられ、激戦のヨーロッパで戦車を操り敵を殺す! 彼女たちは特務猟兵部隊──“消耗品"の精神を持つ、シェイファー・ハウンド!

 「シェイファー・ハウンド」(原作:吠士隆・漫画:かたやままこと)は、ヤングアニマル嵐で連載されていた作品で、最新号(2016年No.6(5/6発売))で完結。第二次大戦を舞台に、女性だけの部隊の活躍を描く作品、と表現すると華やかな内容を連想しますが、実際は実にブラッディで、それゆえに魅力的な漫画でした。

死をも恐れぬ狂気の部隊

 第二次大戦中、ドイツ軍(というかSS)は女性だけの猟兵小隊「シェイファー・ハウンド」を設立した。SS上級曹長ユート・ツァイスは戦死した小隊長の後任としてシェイファーに着任するが、戦場でも人間らしさを失わないユートを、事実上のシェイファーのボスであるカヤ・クロイツは「不良品」と呼び軽蔑を隠さない。そしてシェイファーはソビエト軍、イギリス軍、アメリカ軍、などと血みどろの戦いを繰り広げる。


 第二次世界大戦を舞台にした戦記物で、女性だけの部隊が東部・西部と戦線を問わず、過酷な任務に狩り出される物語。シェイファーの隊員は、隊長のユート以外は全員女性で見た目は華やかなのですが、ストーリーは超ブラッディ。ナンバー2のカヤ以下、シェイファーの隊員は全員冷酷な殺戮マシーンで、躊躇無く敵兵を殺しまくりますし、そしてシェイファーの隊員も同様に、結構重要そうなキャラであっても実に簡単に、そして悲惨に戦死します。レギュラー的なキャラが戦いの中で簡単に脱落していくのが結構ショッキング。

 かたやままこと氏は(エロイ漫画も多いけど)戦記物も過去に多数手がけているので、戦闘描写の上手さは抜群で、タイガー戦車や三突やチャレンジャーやその他の戦車が多数登場し、迫力の戦いを繰りひろげます。この辺りは毎回実に読み応えがありましたね。

最終回は

 1945年。ベルリン陥落が間近に迫る中、大戦の裏で暗躍する秘密結社はベルリンに原爆的な物を持ち込み爆発させようとしていた。それを阻止すべくユートはシェイファーに突撃を指示し、激闘の末カヤは敵幹部と対峙する。相手は地球人口25億(当時)のうち、優秀な5億人を残して残りの20億人は死ぬべきだとの持論を展開するが、カヤは自分は20億の代表としてお前ら5億人を殺してやる、と幹部を撃ち殺す。

 その後戦争はドイツの敗北に終わるが、シェイファーはこっそりドイツを脱出していて、その後も秘密結社と戦っていた、みたいな感じで〆。


コメント

 設定自体は「女性兵士だけの部隊」とかフィクション要素が強めなのですが、戦闘シーンの迫力は実に魅力的でした。第二次大戦中の戦車や武器がここまでガチに描写される作品は、2010年代ではこれが唯一無二かと思えます(コンバットコミックとかもう今は無いし)。終盤は唐突に、交戦国の枠を超えた謎めいた秘密結社が登場して、この漫画は一体どこへ行くのかと不安になりましたが、最終回はキチンとしかるべきところに着地してくれて安堵しました。決して華やかではありませんが、ガチ系の戦車バトル物が読みたい人にはオススメの漫画ですね。



シェイファー・ハウンド 7 (ジェッツコミックス)