感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン7」第14話「呪い」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン7 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s7/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン7の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン7」あらすじ・感想まとめ

第14話 呪い THEEF

あらすじ

ドクター・ウィ―ダーがエリア一の医師として表彰された晩、妻ナンの父が首を吊って死亡。壁には「泥棒」と書き残されていた。彼のベッドには土が人間の形に撒かれていた。

 お題は「黒魔術」。


 高名な医師ウィーダーの義父が突然首吊り自殺し、現場には血文字で「TheeF」と書き残されていた。スカリーはこれは「泥棒・盗人(Thief)」のつづり間違いではないかと指摘する。一方モルダーは故人のベッドには泥で人型が描かれていたことから、これは自殺では無く黒魔術の呪いによる殺しだと考える。解剖の結果、故人は脳の病気クールー病を発病していたと判明したが、モルダーはそれも呪いによるものだと譲らない。

 やがてウィーダーの妻も奇病で倒れ、治療中のウィーダーの前に謎の男が現われると「リネット・ピーティー」という名前を告げてから消えうせる。直後、ウィーターの妻は全身が焼け焦げて死んでしまう。

 調べてみると、リネットとは数年前に交通事故で担ぎこまれた重態の患者で、ウィーダーがモルヒネ安楽死させていたことが解る。リネットの父親オーレル・ピーティーはそれを恨み、ウィーダーを家族も含めて呪い殺そうとしているらしかった。モルダーたちはウィーダーと娘を山荘にかくまうが、ピーティーは後を追ってくる。しかしウィーダー本人を呪い殺そうとしたところでスカリーに撃たれ、捕らえられる。


監督 キム・マナーズ
脚本 ヴィンス・ギリガン&ジョン・シバン&フランク・スポトニッツ


感想

 評価は○。


 ある一家が突然理不尽な不幸に見舞われ、しかもそれが呪いのせいだったという、クラシックなホラー映画の様なテイストのエピソード。内容はシンプルだが、妙なひねりが入っていないため、初期のシーズンのエピソードのようでそれなりに楽しめた。


 今回のテーマは呪いの人形による殺人で、見た目はそれなりに可愛い「パペット」に呪う相手の髪の毛やらと写真を入れると呪い人形が完成し、人形を電子レンジに入れれば相手が真っ黒焦げになってしまうとか、目の部分に釘を差し込むと目が見えなくなる、とかやりたい放題である。「呪殺」という、オカルトの基本的なテーマがシーズン7になるまで手付かずで残っていたのが不思議な感じでは有る。

 しかし、今回のエピソードは意外と突っ込みどころも多い。例えばウィーダーの自宅は警備システム完備のはずなのに、ピーティーが度々入り込んで家族写真を盗んで行ったりベッドの上に泥で呪いの人型を描いたりとやりたい放題である。もう呪い殺さずにそのまま刃物でも持って襲い掛かったほうがよほど手っ取り早そうな気がする。

 また「TheeF」の意味も結局不明で、おそらくピーティーが学がないので「Thief」を書き間違えている、という事なのかもしれないが説明がない。また仮に「Thief」だったとして、ウィーダー医師の何が盗人・泥棒だというのか訳が解らない(人殺しと言って非難するならともかく)。

 モルダー・スカリーとピーティーとの対決の結末は台詞がなく見ていて良く解らなかったのだが、要するに「モルダーがスカリーを呪う人形を発見し、目の部分に釘が刺さっていたので引っこ抜いた」→「スカリーが突然目が見えるようになりピーティーを撃った」→「部屋に入ってきたモルダーがスカリーに人形を示して『君も呪われてたんだよ』とアピール」という事だったらしい。いまいち理解し辛い場面ではあった。


 今回のエピソードは三人がかりで書いているにもかかわらず、内容が実にシンプルでなんとなく妙な感じがあったが、実は事情があり、用意されていたシナリオが一本使えなくなったので、突貫工事で新作を作らなければならなくなり、大慌てでみなで協力してシナリオを書き上げたそうである。また今回の「幸せな一家が怪しい男の復讐のターゲットにされる」という展開は、映画「恐怖の岬」「ケープフィアー」からアイデアを頂いたらしく、言われてみれば確かに似ていなくもない展開だった。

一言メモ

 序盤、壁の「TheeF」という血文字を見て、モルダーがスカリーに「クエールだってこんなスペルミスはしない」と言う場面があります。これは放送当時(この話の放送は2000年)の時事ネタで、このクエールとはブッシュ(父)政権(1989〜1992)で副大統領を務めた「ダン・クエール」氏のことです。この人は、副大統領在任中に「じゃがいも」を「Potato」ではなく「Potatoe」と書いた事があり、そのことをジョークのネタにされているわけです。