感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン7」第15話「旅」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン7 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s7/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン7の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン7」あらすじ・感想まとめ

第15話 旅 EN AMI

あらすじ

一家の宗教上の理由でガンの医学的治療を受けられなかった少年が、天使のお陰で完治した・・・というニュースが入る。スカリーはその真偽を確かめるべく少年の家を訪ねる。

 お題は「政府の陰謀」。


 モルダーとスカリーの元に、何者からか、悪性リンパ腫だった少年が奇跡的に回復したというニュースが届けられた。スカリーが少年に会ってみると、天使が治療してくれたと言い、首筋にはマイクロチップを埋め込んだ形跡があった。直後スカリーの前にスモーキング・マンが現われ、マイクロチップの情報を渡すので、モルダーに内緒で一緒に旅をして欲しいと言われる。スモーキング・マンは脳の炎症で余命数ヶ月のため、人生の最後にせめてもの善行を行ないたいのだという。スカリーは半信半疑ながらも、情報を与えてくれる人物「コブラ」に会う為、同行することにした。

 一方、モルダーはスカリーがスモーキング・マンと共に出かけたことを知り、ローン・ガンメンと共に行方を捜す。そしてスカリーのパソコンに、「コブラ」という国防省勤務の人物からメールが届いていたが、何者かがハッキングしてそれを削除し、さらにスカリーのふりをしてコブラに返信をしていた事を突き止める。

 スカリーはついにコブラと出会い、マイクロチップの情報の入ったディスクを受け取る。ところが互いに話がかみ合わないため混乱していたところ、コブラは狙撃者に射殺される。しかし狙撃者が次にスカリーを殺そうとしたところ、何故かスモーキング・マンが部下の狙撃者を撃ち殺す。その後スモーキング・マンは何も知らないふりをしてスカリーを出迎え、彼女と平和的に別れる。

 最後、スカリーが持ち帰ったディスクをローン・ガンメンが調べるが中身は空っぽだった。一方、スモーキング・マンはスカリーからすり取った本物のディスクを湖に放り込んで捨てるシーンで〆。


監督 ロブ・ボウマン
脚本 ウィリアム・B・デイヴィス


感想

 評価は○。


 一応「政府の陰謀系」テーマのエピソードだったが、派手な展開は全くなく、スモーキンング・マンとスカリーの人間ドラマに終始するにも関わらず、非常に面白かった。


 脚本を書いた「ウィリアム・B・デイヴィス」とは、スモーキング・マン役を演じている俳優で、自身が演じるスモーキング・マンを主役に据えたシナリオを書いたわけである。おそらく、いくらかは専門のシナリオライターがサポートしたのだとは思うが、それを差し引いても良い出来だった。

 今回主題となる「チップ」とは、シーズン2で誘拐されたスカリーが首筋に埋め込まれていたのを手始めに、UFOにアブダクションされた人たちに埋め込まれていたり、日本製であると判明したり、シーズン5でガンで死にかけていたスカリーを救ったり、と、過去何度も番組に登場したアイテムである。シーズン6で秘密組織が壊滅したため、もう出てくる事も無かろうと思っていたのだが、意外な形で再登場することになった。しかし、スカリーが一度埋め込まれたチップを取り出したため、ガンを発病した事は知っていたが、治癒したのが「チップを埋め込みなおしたから」ではなく「チップに治療の力があったから」とはさすがに気が付かなかった。

 今回はシナリオを書いたのがいつものシナリオライターたちと違うからか、今までのエピソードとノリが微妙に違っていたのが味わい深かった。例えば、スカリーが(隠しマイクを仕掛けていることを視聴者に示すため)胸元を露にするシーンがあるが、こんなセクシーショットは、シーズン1の第1話「序章」で下着姿を披露して以来のことである。また食事の時にスモーキング・マンが用意した凄いドレスを着用するシーンもあり、今回はスカリーの魅力強調回だった。

 スモーキング・マンは、道中突然スカリーに「愛している」とか言ってみたり、相変わらず本心がつかめないキャラクターではあったが、部下を射殺してスカリーを助けてみたり、わざわざ苦労して手に入れた情報のディスクを湖に捨ててみたり、と、いつものよりさらに行動が謎めいていた。多分余命数ヶ月云々というのは今回限りの設定だとは思うが、スモーキング・マンの新たな一面を見せてくれたという事で、シーズン4・第7話「紫煙」に続いての味のある話となった。X-ファイルは既にシナリオのアイデアが枯渇していたと思っていたが、やり方次第ではまだまだ行けると認識させてくれたエピソードだった。


一言メモ

 サブタイトルの原題「EN AMI」とは、フランス語の「友として」という意味。また発音が「Enemy(敵)」に似ているという事で、二重の意味を持っています。