感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン8」第3話「爪痕」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン8 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/
放送 Dlife。全21話。

【※以下ネタバレ】



※シーズン8の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン8」あらすじ・感想まとめ

第3話 爪痕 PATIENCE

あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/episode.html
EP3 爪痕〈つめあと〉
アイダホで殺人事件が発生。スカリーとドゲットが調査に行くと、犯罪現場には人間のものとは思えない4本の足跡が。犯人は次々と人を襲い、結局4人の住民が命を落とした。


 お題は「未知の生物」。

 スカリーはX-ファイル課に配属されたドゲットとコンビを組む事になったが、明らかに超常現象を信じていないドゲットについ刺々しい言葉を使ってしまう。

 二人が初めて関わる事件は、アイダホ州で老夫婦が獣に惨殺されたとしか思えない殺人だった。現場には人間のものではない四本指の足あとが残され、また死体の噛み傷からはコウモリが持つ酵素が検出される。ドゲットは44年前の1956年(※この話の放送は2000年)にモンタナ州でハンターが「コウモリ男」を捕獲したものの、コウモリ男は関係者を殺して逃げ出した、という古い新聞記事を見つけ出してくる。

 その後謎の生物による殺人が二件発生し、調査の結果、犠牲者は少し前に川から引き上げられた女性の死体に接していたことが解る。スカリーたちは死体を見つけたという男マイロンを監視し、最終的に44年前にコウモリ男を捕まえた男たちの最後の一人、マイロンの兄のアーニー・ステファニアックにたどり着く。アーニーはコウモリ男の復讐を恐れ川の中の小島に妻と二人で隠れ住んでいたが、妻が死んだので埋葬のため遺体をマイロンに引き渡した。ところが死体についていたアーニーの匂いを追って、コウモリ男が次々と人間を殺していたのだった。結局スカリーやドゲットの反撃も虚しくアーニーも殺されてしまう。

 二週間後。FBIにはマイロンからのFAXで、コウモリ男から身を守るため姿を消すという連絡が届いていた。そしてスカリーとドゲットの仲が少し改善されたという会話シーンで〆。


監督 クリス・カーター
脚本 クリス・カーター


感想

 評価は△。


 X-ファイルでは定番のモンスターの襲撃話だが、内容はいま一つ。クリス・カーターが監督のエピソードは大抵ハズレなのだが、今回もまたしかりだった。


 今回の怪異は「コウモリ男」で、文字通り人間とコウモリの合体の様な生物が人間を襲うという話だが、コウモリ男のデザインがあまりにもひどすぎて、怖いというより笑ってしまった。なにせクオリティが、初代仮面ライダーに出てきたコウモリ男と殆ど同じレベルで、絶対空を飛べそうも無い着ぐるみ体型なのだから、まともに受け入れろという方が無理である。しかも、いつものように怪物を殆ど写さないようにして不気味さを維持していれば良かったのに、序盤から人を襲う際に姿をどんどん現してしまうので興ざめの一言。もう怪奇性も何も無く、「超常ホラー」というより「昭和の特撮ヒーロー物」の様なノリになってしまっていたのはいただけなかった。

 またシナリオの構成もいま一つで、手がかりの出し方が下手なため、ストーリーがいま一つ頭にすんなり入らず、要所要所で頭の中で展開を整理しなおす必要があったため、話にのめりこめなかった。「人間が次々と襲われる」→「唐突に川で上がった女性の死体の話が出てくる」→「唐突に川の中の小島で隠れ住んでいる男が登場」→「44年前から妻と隠れていた」→「そういえば川で上がった死体は44年前から行方不明とか言っていたな……」→「ああ、焼死体がこの男の妻なのか」、等々と一々頭の中で組み立てなおしつつ見なければならず、どうにも面倒くさかった。


 このように、テーマやシナリオ構成などはイマイチで評価するところもなかったが、スカリーの描写についてだけはそれなりに見所があった。序盤は超常現象懐疑派のドゲットに徹底的に挑戦的な姿勢で臨んだり、事件について結構無理のある推理を組み立てたりするのだが、途中でそれらは自分がモルダーの代わりにならないといけないという気持ちからの行動と告白する辺り、結構かわいいところが有った。また、事件解決後、コウモリ男から命を救ってくれたドゲットに多少歩み寄る姿勢を見せたところも、なかなかいじらしかった。今後の二人の仲の進展に期待、というところだろうか。


 今回のオープニング映像には、番組史上初めてデビッド・ドゥカブニーの名前が出てこない。今シーズンからドゥカブニー(モルダー)は主役を降りてゲスト扱いになってしまったためだが、いざそれをはっきりした形で突きつけられると、結構衝撃的では有った。


一言メモ

 サブタイトルの原題「PATIENCE」は「忍耐」という意味。今回のエピソードとの繋がりが全く解りません。