感想:科学番組「コズミックフロント☆NEXT」『恐竜絶滅 隕石説の真相』


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コズミックフロント☆NEXT http://www.nhk.or.jp/cosmic/
放送 NHK BSプレミアム(毎週木曜 22:00〜23:00)。

【※以下ネタバレ】

恐竜絶滅 隕石説の真相 (2016年7月14日(木)放送)

今回の内容

http://www.nhk.or.jp/cosmic/broadcast/160714.html
恐竜絶滅 隕石説の真相


太古の昔、繁栄をきわめていた恐竜。その絶滅の原因は、巨大隕石衝突説が広く知られている。しかし、生命の絶滅は気候変動による地球環境の変化や自然淘汰によって起こると信じられていたため、当時は支持されなかった。そうした中、無名の地質学者たちが生命進化に大きな影響を与えた隕石衝突説の真相を解明したのだ。6600万年前、地球に一体何が起こったのか、地質学者たちはいかにして証拠をつかんだのか、その歴史に迫る。


アルバレス仮説

 恐竜が6600万年前に滅びたのは地球に巨大隕石が衝突したため、というのは今では常識となっている。しかしこの説はすんなり受け入れられたわけではなかった。

 恐竜が繁栄した「白亜紀」(Kreide)と、哺乳類の時代「第三期」(Tertiary)の間に位置する6600万年前の薄い地層を「KT境界」と呼ぶ。白亜紀に栄えたプランクトンがKT境界ではいきなり見られなくなるなど、謎の多い地層だった。

 地質学者ウォルター・アルバレスは、父親ノーベル賞を受賞した核物理学者のルイスにこの地層の話をしたところ、ルイスはこの地層のイリジウムの量を調べることを提案した。イリジウムは地表には殆ど存在しないが、宇宙には豊富にあり、常時地球にチリの形で降り注いで、地表にたまっている。その量を調べて地球環境の変化を分析しようと考えたのである。ところが驚くべきことに、Kt境界には他の時代の30倍ものイリジウムが含まれていた。ルイスはこれは巨大な隕石が地球に落下したことでもたらされたと考えた。計算してみると、隕石の直径は10Kmにもなった。

 アルバレス親子は、6600万年前に地球に巨大隕石が衝突し、その結果環境が激変して恐竜が滅びたという「アルバレス仮説」を1980年に提唱した。



●仮説の証拠を求めて

 しかしアルバレス仮説は簡単に受け入れられたわけではなかった。隕石が恐竜を滅ぼしたというアルバレス仮説は、SFまがいの話と反発する者もおり、この仮説を支持するか否かで学者は真っ二つに割れた。この仮説の問題は、隕石が落下した際のクレーターが見つからないことだった。もしクレーターがあるならば直径200Kmになるはずで、地上にあるなら見つからないはずが無かった。反対派は、火山の噴火でも同様にイリジウムが堆積すると反論した。

 しかし、メキシコ湾で石油探査をしていた技術者が、偶然にもユカタン半島の陸地と海の磁気異常地点をつなぎ合わせると、直径180Kmものリングが出来ることを発見していた。そして地下から「衝撃石英」と呼ばれる、隕石衝突の証拠が見つかり、このリングがクレーターだと確定し、ついにアルバレス仮説は受け入れられることとなった。このクレーターは「チクシュルーブクレーター」と名付けられた。



●その後

 2016年にクレーターの調査のため、メキシコ湾の海底の掘削が行なわれた。サンプルの分析は今年9月から行なわれる予定である。


感想

 KT境界の話は一応知っていましたが、筋道だてて説明されたのは初めてだったので興味深かったですね。