感想:アニメ「planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜」第5話(最終回)「ゆめみの願い」


Twinkle Starlight/Worlds Pain

配信・劇場アニメ「planetarian(プラネタリアン)」公式サイト http://planetarian-project.com/
放送 WEB配信。全5話。

【※以下ネタバレ】


※他のエピソードの感想はこちら→第1話 第2話 第3話 第4話 

第5話(最終回) 『第5章 ゆめみの願い』 (2016年8月4日(木)配信)

あらすじ

封印都市を脱出するために、最後の障壁シオマネキへの奇襲に失敗した屑屋。
ゆめみが遠くから見守る中、屑屋は反撃にもひるまずに、シオマネキを倒すべく対峙することになる。
屑屋が放った第二発目の砲弾は、敵の動きを止めることに成功するが、反撃で屑屋も足を負傷してしまう。
万策尽きたと思われたその時、屑屋の目の前に驚きの光景が広がる。

 屑屋は戦闘用ロボットの反撃に身動きできなくなるが、気がつくとゆめみが現われロボットに向かって近づいていた。ゆめみは機銃掃射で体の半分が破壊されるものの、その隙に屑屋はロボットにロケット弾を打ち込み破壊に成功した。

 ゆめみは人間の命を守るという基本ルールを優先して屑屋の命令を無視したといい、稼働時間が残り数分になったため、過去の思い出を語りだす。屑屋はこの都市に来た目的はゆめみを連れ出しに来たのだと言い、壁の外には新しい職場が用意されていると嘘をつく。ゆめみは屑屋に自分の記憶データが記録されているメモリの取り出し方を教えて機能を停止した。屑屋はメモリを持って都市の外へと立ち去った。最後、屑屋が他の人間と出会い、屑屋かと問われて「いや、星屋だ」と答えるシーンで〆。


脚本:津田尚克 コンテ:中山勝一 演出:中山勝一 作画監督小林亮 横山謙次 山本晃宏 アクション:才木康寛 海老原雅夫


感想

 放送時間は約24分。

 ほぼ予想通りの結末だったものの、20分超の時間をお別れの会話だけに費やし、かつちゃんと間を持たせたのには感心しました。結構出来は良かったと思いましたよ。わりと満足です。


総括

 評価は○。


 感動系ゲームで一時代を築いたKeyから2004年に発売されたSFゲーム原作のアニメ。「美少女アンドロイドが登場する感動モノ」という事で、概ねストーリー展開の予想は付いていましたし、実際の内容もその想定の範囲内だったものの、終わってみればなかなかの良作でした。


 大戦勃発から30年が経過した世界。廃品回収を生業とする若者「屑屋」(小野大輔)は、住民に見捨てられ朽ち果てた「封印都市」に入り込むが、そこで「ほしのゆめみ」(すずきけいこ)という少女型ロボットと出会う。ゆめみはデパートに設置されたプラネタリウムの接客・案内担当用ロボットで、戦争で都市が廃墟となっていることも知らず、ただひたすら来客を待ち続けていた。ゆめみは30年ぶりに現われた「客」の屑屋を歓待し、プラネタリウムの上映を見せると張り切るのだが……


 ストーリーは「廃墟の街で屑屋がゆめみと出会い、そして悲しい別れを迎えるまで」といういたってシンプルなもので、登場人物も事実上屑屋とゆめみだけの二人芝居。極限まで無駄な要素を削ぎ落としたストイックな内容でしたが、これが意外にも面白かった。全5話構成で、毎回20分前後の尺なのですが、どの回も屑屋とゆめみが会話をしているだけ、という展開にも関わらず、毎回引き込まれるように見せられてしまうのには驚きました。


 ゆめみが外界の現状を認識しておらず、ピント外れの言動を繰り返すのに対し、屑屋は最初は呆れて適当に相手をしているだけだったのに、やがて少しずつ情が移っていって、投影機の修理を引き受けたり、都市から連れ出そうとしたり、そして最後には機能停止寸前のゆめみの為に嘘をついて安らかに逝かせようとしたり、という心情の変化がなかなか上手く描かれていました。正直に言えば「お約束の展開」では有ったものの、鼻に付くようなあざとさも無く、あまり感情移入を強要しないゆえに、自然に視聴できました。その当たりは上手かったというべきですね。


 かつて放送されたKeyのゲーム原作のアニメ「Kanon」や「Air」が、音楽とストーリーの相乗効果で強烈な感動を生み出していたのと比較すると、遥かに素朴な内容で、比較するのにはやや厳しいものがありますが、それでもこの手の「ロボットとの別れ系」ストーリーのアニメとしては、なかなかの出来でした。良作として評価したいと思います。


※他のエピソードの感想はこちら→第1話 第2話 第3話 第4話 

スタッフ情報
【原作】「planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜」(VisualArt's / Key)
【原作シナリオ】涼元悠一
【原作音楽】戸越まごめ
【監督】津田尚克
【脚本】ヤスカワショウゴ、津田尚克
シリーズディレクター中山勝一、町谷俊輔
【原作協力】Key/ビジュアルアーツ
【キャラクター原案】駒都えーじ
【キャラクターデザイン】竹知仁美
メカニックデザイン海老川兼武
【プロップデザイン】内田シンヤ
【美術設定】泉寛
色彩設計】佐藤裕子
美術監督】竹田悠介、杉山祐子
【3Dディレクター】長澤洋二
【撮影監督】渡辺有正
【編集】廣瀬清志
【音響監督】山口貴之、津田尚克
【音響効果】小山恭正
【音楽】折戸伸治、どんまる、竹下智博(ビジュアルアーツ
【アニメーション制作】david production


音楽
【ED】佐咲紗花「Twinkle Starlight」
【イメージソング】Ceui「Worlds Pain」


キャスト
ほしのゆめみ:すずきけいこ
屑屋:小野大輔
櫛田泰道
滝知史
佐藤利奈
篠塚勝
福沙奈恵
日笠陽子
津田美波
石上静香
桑原由気
竹口安芸子
大木民夫

2006年版
planetarian ~ちいさなほしのゆめ~ 初回版

2010年版
planetarian ちいさなほしのゆめ メモリアルエディション

2016年版
planetarian~ちいさなほしのゆめ~ HDエディション