金曜ロードシネマクラブ https://kinro.jointv.jp/lineup/160902/
放送 日本テレビ 2016年9月2日(金)
【※以下ネタバレ】
2週連続トム・クルーズの第2夜は、桜坂洋のSF小説にハリウッドが挑んだ超大作。共演は「プラダを着た悪魔」などのエミリー・ブラント。「ボーン・アイデンティティー」シリーズや「Mr.&Mrs.スミス」のダグ・ライマンが監督を務める。エイリアンの攻撃を受けて壊滅寸前の地球が舞台。戦場の最前線で「戦う→死ぬ→生き返る」というタイムループに巻き込まれた男は、滅亡寸前の地球を救うことができるのか!?
あらすじ
ある日ドイツに凶暴な宇宙生物「ギタイ」(※アクセントは「堺」とか「ポパイ」と同じ)の大群が出現し、たちまちヨーロッパを征服してしまった。しかし敗北一方だった人類は「ベルダンの戦い」で勝利し、その勢いを駆って大反攻作戦を実施することにした。アメリカ軍の広報官ウィリアム・ケイジ少佐は、戦場の撮影班に参加するように命じられるが、前線を避けようとして司令官の将軍に脅しをかけたため、怒りを買って二等兵に格下げされた上、反攻作戦の第一陣に参加させられてしまった。奇襲のはずの攻撃は何故かギタイに見抜かれており、戦闘の訓練を何も受けていないケイジは即座に戦死した。
ところが次の瞬間ケイジは作戦の前日、自分が前線基地に二等兵として放り込まれたところで目が覚める。何故か時間が逆戻りして死ぬ前に戻っていたのである。そしてケイジはその後も出撃と戦死を果てしなく繰り返すことになった。そのうちケイジは、戦場で英雄として知られるリタ・ヴラタスキと出会い、彼女はケイジに会いに来いという謎めいた言葉を残す。
いつもの様に戦死して前日に戻ったケイジは、リタに会いに行き、リタがかつて自分と同じような時間を逆戻りする力を持っていたと知らされる。ギタイは大群全体で一つの生物と見なせる生き物で、無数の兵士タイプの他に、ごく僅かに存在する、中枢神経にあたる「アルファ」というタイプと、さらに全体の中心で脳に当たる「オメガ」が存在していた。オメガは時間をループさせる能力があり、何度でも戦いをやり直せるので無敗だった。ケイジは初戦で偶然アルファを殺し、その血を浴びたため、時間ループ能力が身に付いたのだった。ベルダンで人類が勝てたのは、ギタイが人類を油断させ総攻撃を仕掛けさせるための罠だったのである。人類がギタイに勝つにはオメガを殺すしかなかった。
リタもかつてケイジと同様の経緯でループ能力を持っていたが、負傷して輸血したことでその力は失われていた。ケイジはオメガを殺すため、リタの指導の下で死によるループによって果てしないトレーニングを実施し、リタに匹敵する能力を身に付けた。
その後色々有った末に、ケイジは輸血で時間ループ能力を失うものの、フランス・ループル美術館の地下にオメガが潜んでいることを突き止める。ケイジとリタたちはルーブルに突っ込み、ただ一人生き残ったケイジが爆弾でオメガを吹き飛ばし、次の瞬間全てのギタイは活動を停止した。最後、オメガの血を浴びたケイジが気が付くと、一番最初の司令官に会う前に戻っていた。そしてヨーロッパではギタイが活動を停止したことが確認されていた。ケイジは生きているリタに会いに行っておしまい。
感想
評価は△。
トム・クルーズ主演のSF作品。日本のライトノベル(作者:桜坂洋/集英社)をベースに、ハリウッドが大幅アレンジした映画。大まかな背景設定(エイリアンとの戦争で主人公が戦死してはループする)は原作と同じだったが、既に小畑健による漫画版を読んでいたので、それと比較してあまり面白いとは思えなかった。やはり漫画版の「リタが美少女」とか「整備兵も女の子」という世界の方が受け入れやすかったし、結末もハリウッド版より心にしみた。漫画版を読んでいなければ、この映画もそれなりに面白い時間ループ物として受け入れられたかもしれない。
ところで、正直に言って、結末が理解できない。ケイジがオメガを殺した後、血を浴びてまたループ能力を身につけて、舞い戻ったのは「司令官を怒らせる前」の時間だが、この時点ではオメガはまだ死んでいないはずである(ケイジが殺すのはもっと後の時間だから)。つまりギタイが壊滅しました、とみんな喜んでいるというのはつじつまが合わない気がするのだが……、リタを生きている結末にしようとして、何かおかしなことになっていないだろうか。
<ブリガム将軍>
ブレンダン・グリーソン(勝部演之)<スキナー>
ジョナス・アームストロング(西凜太朗)<キンメル>
トニー・ウェイ(金光宣明)<グリフ>
キック・ガリー(山内健嗣)<フォード>
フランツ・ドラメー(田尻浩章)<クンツ>
ドラゴミール・ムルジッチ<ナンス>
シャーロット・ライリー(橘凛)
スタッフ
<監督/製作総指揮>
ダグ・ライマン<脚本>
クリストファー・マッカリー
ジェズ&ジョン=ヘンリー・バターワース<原作>
桜坂洋<製作>
アーウィン・ストフ
トム・ラサリー
ジェフリー・シルバー
グレゴリー・ジェイコブズ
ジェイソン・ホフス<製作総指揮>
デイビッド・バーティス
ジョビー・ハロルド
福原秀己
ブルース・バーマン