感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第39話(シーズン2 第11話)「黒の壊滅命令(前編)」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
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第39話 黒の壊滅命令(前編) The Council Part 1 (シーズン2・第11話)

 

あらすじ

アメリカ経済に甚大な損失を与えているシンジケートを破滅すべく、ボスのウェインに扮したローラン(マーティン・ランドー)が組織へ潜入する。


アメリカ経済に甚大な損失を与えるまでに成長した犯罪シンジケートを、破滅させるよう指令されたIMFチーム。まずは上院調査委員長となったフェルプス(ピーター・グレイブス)が彼らの前に現れ、ボスのフランク・ウエインを挑発する。次に組織の金を横領し、死の制裁として生き埋めされたジミーを救出、ウエインに変装するローラン(マーティン・ランドー)にアドバイスさせる。
その後、フェルプスがジミー殺しの容疑でウエインを逮捕、仲間が救出しにきたところを入れ替わってローランが組織に潜入する。当局の捜査を恐れた側近たちから海外逃亡を促されたローラン扮するウエインは、整形するためといってシナモン(バーバラ・ベイン)を呼び出し、側近たちの見守る中で整形手術を開始する――。

【今回の指令】
 フランク・ウェインという男が率いる犯罪組織は、非合法行為でだけではなく、社会の表側の事業にも進出し、莫大な利益を上げている。さらに最近ウェインは、シンジケートの利益100億ドルを、ひそかにスイスの銀行に預金する計画を進めており、これはアメリカの所有する金が国外に流出することを意味する。IMFはシンジケートの機密資料を当局に引き渡し、さらに組織を壊滅させなくてはならない。



【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:リース医師


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 フェルプスは「上院調査委員長」に扮し、警官役のバーニーと共に令状を持ってウェインの屋敷に乗り込み、家宅捜索を行うふりをしてこっそり隠しマイクを仕掛ける。直後、ウェインの旧友で組織の一員であるジミーが組織の金を使い込んだたため生き埋めにされることになり、それを見張っていたIMFはジミーを掘り出し蘇生させる。そしてフェルプスたちはジミーを脅して、ウェインの癖などを徹底的に聞き出す。

 別の日。フェルプスは委員長として、ウェインを強引に安ホテルに連れて行き、悪事を白状するように強要する。その間、ローランは隠し部屋からウェインの様子を観察しており、ウェインの顔そっくりの変装マスクを作る。その後、IMFはわざと隙を作ってウェインに部下たちを呼び寄せさせるが、すぐにローランの変装したウェインとすり替わる。ウェイン(ローラン)は、到着した部下たちの前で、警官のバーニーを撃ち殺したふりをして、部下と共に逃げ出す。

 屋敷に戻ったウェイン(ローラン)に対し、部下たちは警官を殺したのだから、すぐさま国外に脱出しろ、と詰め寄ってきた。続く。


監督: ポール・スタンレイ
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は○。

 IMFチームが国内のシンジケート壊滅のために投入されるというエピソード。スパイ大作戦の前後編は、えてして一本分の話のアイデアを水で薄めて二話分にした、という物ばかりだが、これもまた同様だった。


 序盤、フェルプスたちが医者を用意してじっと何かを待ち構えているので、どんな作戦なのかと思ったら、生き埋めにされたジミーを掘り出して蘇生するだけだった、という展開にはもう崩れ落ちそうになった。IMFはしっかり医者を待機させ、酸素マスクやその他の蘇生用の用意もしていたが、そもそも、殺し屋がジミーを射殺とか刺殺とか、生き埋め以外の方法で完膚なきまでに殺してしまったら、どうする気だったのだろうか。

 また生き返らせたジミーをどう活用するのかと思いきや、「ウェインの癖を聞き出すだけ」というのだから、開いた口がふさがらなかった。さらにフェルプスがウェインを連れてきて、安ホテルで尋問をする間に、ローランがウェインの顔マスクをじっくり作るシーンが描写される。つまり、今回は、普通のエピソードであれば、「既に準備済み」として描かれる、ターゲットの身辺調査やマスクの作成といった雑事で放送時間稼ぎをしているだけであった。これはあまりといえばあんまりである。正直言って、前編がこのレベルでは、後編にもあまり期待が持てそうにない。


 ところで謎の上司が指令の中で「金の国外流出」を懸念していたが、調べてみると放送当時(1967年)はまだアメリカは金本位制だった。だから、金について気にしていたのだろうか。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で建物に乗り付け、ある部屋に入る(マイクなどがあり、ラジオ局の一室のようである)。フェルプスが箱を開けると、中には大きめの封筒とレコードプレイヤーが入っている。フェルプスはレコードを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこの録音は自動的に消滅する」といい、レコードから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはようフェルプス君。写真の男はフランク・ウェインといって、シンジケートのボスである。彼の率いる犯罪帝国は、わが国経済の癌となりつつある。彼は賭博を始めとする種々の社会悪を牛耳るばかりか、まともな事業にも広く手を染め、利益を上げている。最近ウェインは、シンジケートの100億ドルに上る収益をスイスの銀行に預金する体制を整えたが、これはわが国が持つ金の国外流出を許すゆゆしき問題である。

 そこで君の使命だが、ウェインがその別荘に保管しているシンジケートの記録を手に入れ、それを関係当局に引き渡すとともに、ウェインとその組織に終止符を打つことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音は自動的に消滅する。成功を祈る。

シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

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