【プレイバイメイル】Togetterまとめ『PBM「蓬莱学園の冒険!」はなぜいまだにスゴいと囁かれ続けるのか』で懐かしさに震えてしまった

試験に出る蓬莱学園!

PBM「蓬莱学園の冒険!」はなぜいまだにスゴいと囁かれ続けるのか - Togetterまとめ
https://togetter.com/li/1111849

 
 いやはや「蓬莱学園」とは懐かしい(というかそもそもPBMが懐かしい)。個人的には「蓬莱学園」は、1990年代のオタク系コンテンツを振り返るとき、外せないものの一つだと思ってます。PBMから始まって、TRPGと小説とコンピューターゲームへと勢力範囲を広げて一大コンテンツになりましたからね。中村博文氏のイラストもまた懐かしい。
 

そもそも「PBM」って何なのさ?

まずPBMというのが大変説明しにくいんですが、ざっくりいうと「郵便でやりとりするゲーム」で、中でも「1年間くらいかけて数千人で同時に遊ぶRPGタイプの企業運営ゲーム」のことをここでは指します。

 
 今となっては信じがたい話なのですが、PBM(プレイバイメイル)というのは、おおざっぱに言うと「オンラインRPGをコンピューターではなく人力で運営する。連絡は郵便で行う」という感じのゲームでした。

 まず運営会社に『有料で』申し込むと、ゲームを始めるためのスタートブックとでもいうべき冊子が届きます。その中には、このゲームはどんな世界観で、どんなキャラクターが選択できて、プレイヤーは何ができるか、という事が書かれています。また、物語世界のあちこちでは、今こんなこんなことが起きていますよ、といったニュース的な情報も与えられます。

 プレイヤーはまず自分のキャラクター(名前とか所属とかそういうもの)を設定し、続いて取らせたい行動を「ハガキに書いて」(!)送ります。すると運営会社の方で、あなたのキャラクターには何が起きましたよ、と、返信してくれるわけです。


 例えば、ニュースで「XX町の△△ビルには夜な夜な怪しい人影がうろついているのが目撃されている」と書かれていたとします。そしてハガキには選択肢で

「1番 △△ビルを調べる」
「2番 □□新聞社を訪ねる」
「3番 自宅で体力を回復する」
(以下略)

とか書いてあるので、「今回は△△ビルを調べよう」と思えば、おもむろに1番を選択してハガキを返送します。翌月になると、またゲーム世界のニュースを記載した冊子と、キャラクターに何が起きたか、という回答が届きます。ちなみに、自由記入欄もあり、選択肢以外の行動をとりたい場合はそれを文章で書く、という事もできました。


それって面白いの?

 とまあ、すごいゲームシステムなんですよね。やりようによっては、自分のキャラクターが物語世界の重要人物となって、ゲームの流れを左右できるわけです。例のニュース冊子に、自分のキャラクターが活躍したことで爆弾テロが未然に防がれた、とかなんとか書かれる可能性があるんですよね。夢がありますよね。

 ただし……、問題は「可能性」が有っても、現実にはそううまくはいかない、という点でした。先に書きましたが、参加者は「物語世界の情報を得て、適切な行動をとる」の繰り返しです。そして、活躍したいと思えばニュース冊子の情報だけではとても足りず、参加者同士で情報を交換し合い、ゲーム世界で何が起きているかを十二分に把握し、物語の焦点となる局面に参加して、適切な行動をとる必要があります。

 となると……、とにかく参加者同士で何人も何十人ものネットワークを作り、互いに知っている情報を交換し合い、物語の流れを把握し、そのうえで自由記入欄にコレという行動を記入して送る、くらいまですれば面白いのでしょうが、田舎で細々と一人でプレイしているような人間はとてもついていけないんですよね。

 ゲームは半年から一年という単位で展開されるのですが、下手をすると十二か月全て「あなたのキャラクターには何もおきませんでした」で終わってしまうことになります。私が参加したのは「蓬莱学園」のひとつ前に展開された「ネットゲーム88」という物でしたが、キャラクターに何も起きず、世界で何が起こっているのかもわからないまま、で終わってしまいました。

 当時は「PBMという凄く斬新な試み」がどんなものか知りたかったので、払った大金は見物料として割り切れましたが、娯楽にはなってなかったなぁというのが強烈な印象として残っています。

 まあ、逆に言えば、他のプレイヤーとの交流がたやすい都市圏の人には楽しめる娯楽だったんだろうなとは思いますけどね。


蓬莱学園」とは?

蓬莱の設定的な特徴は「巨大学園」であることと「随所にあふれる東洋趣味」だと思います。まず巨大学園。とにかくでかい。10万人の高校生が狭い島に押し込まれている。何が起こるか。混乱と狂騒に決まっています。毎日がコミケみたいなもん。

 全寮制の大人がいない学園物で、学校が一つの都市ほどの規模があり、色々なクラブ活動があって、軍隊すら存在する、とかいう、何でもありの世界観。聞いただけでめちゃくちゃ面白そう。しかもイラストは中村博文氏の魅力一杯の絵。(中村博文氏って今でも有名なんですかね?) 世界設定の勝利でした。

 ゲームは1990年の一年間実施され、ゲーム終了後に総集編(?)みたいな本が発売されて、ゲームで何が起こったかを後追いで読んだのですが、とても楽しそうでした。いや、つまり参加はしてないんですよね。ネットゲーム88で懲りたんで。

 蓬莱学園は、この魅力的世界を終わらせるのはもったいないとばかり、その後、TRPG版が発売され、小説が発売され、ファミコンゲームが発売され、と世界観を猛烈に拡大させました。PBMもその後続編的な物がいくつも展開されましたしね(その頃にはゲーム雑誌というのものが無くなり情報が上手く伝わってこなかったのでよく知らないのですが……)

 という事で個人的には「蓬莱学園」モノは1990年代と密接に結びついているコンテンツなのです。でもまあ、末路は多分作りすぎて飽きられてしまったんじゃないかなぁと推測しているのですが、どーなんでしょうかね?


という事で

 PBMという娯楽がまず懐かしいし(もう30年前の話だよ……)、蓬莱学園というコンテンツも懐かしいし、二重にノスタルジーに襲われて大変でしたよ。個人的にも良い時代でしたしねぇ……、あの頃は自分も若かったよ……


蓬莱学園ワールドツアー
なんでもかんでも蓬莱学園!