感想:アニメ「キャプテンフューチャー」第24話「未知のミクロ宇宙」

コロムビア・サウンド・アーカイブス キャプテンフューチャー オリジナル・サウント・トラック-完全盤-

東映チャンネル | キャプテンフューチャー http://www.toeich.jp/program/1T0000010881/201705
放送 CS放送東映チャンネル。全52話。1978年~1979年作品。

【※以下ネタバレ】
 

第24話 未知のミクロ宇宙 (「太陽系七つの秘宝」より)

 

あらすじ

 「太陽系七つの秘宝」編・第4回(全4回)

 キャプテンフューチャーは、ラジウムルーレットを操作する機械を使用して、同様にウル・クォルンが使用するイカサマ機械のパワーを上回り、見事勝負に勝つ。しかし次の瞬間ブーバス・ウームにイカサマを見抜かれ、フューチャー&ジョーン、クォルン&ヌララの四人は捕まってしまった。

 クォルンはウームと取引し、ルーレットのイカサマ機械の秘密を教える代わりに、ウームが持っている神秘の石二個を渡すように持ち掛ける。ウームはそれを了承し、クォルンは遂に神秘の石七個を全て集めてしまった。クォルンは宇宙服に着替えると、特殊な発振機を身につけてミクロ人間になり、七個目の石の中に入り込んでしまった。

 そこにウームに変装したオットーが現れ、ヌララたちを捕まえ、フューチャーたちを解放した。フューチャーたちは七個の石をコメット号に積み込み宇宙に飛び立った。


 20万年前の古代ケルス星の科学者スロ・スウンが神秘の石に残した秘密とは「ミクロ宇宙」であった。20万年前、スロ・スウンは滅びつつあるケルス星に代わる移住先を研究しているうち、宝石の中に一つの宇宙・ミクロ宇宙があることを突き止めた。そして発振機を使って縮小化し、ミクロ宇宙に突入したが、この宇宙は既にエネルギーを失って冷却化しつつあり、移住先には向いていなかった。スロ・スウンはこの宇宙の生物から救援を求められるが、彼らが自分たちの宇宙に来れば混乱が起きると考え、彼らを見捨てたのだった。しかしミクロ宇宙を含む宝石と、発振機の作り方を記した六個の石を、神秘の石として後世に残したのだった。

 フューチャーは、クォルンの目的が、ミクロ宇宙を拡大することだと推測する。発振機の効果を逆にすればミクロ宇宙を拡大し、今フューチャーたちがいる宇宙を押しつぶしてしまうことが出来る。つまり、宇宙全体を乗っ取ろうとしているに違いなかった。


 フューチャーは自分も発振機を身につけ、ミクロ宇宙に突入した。クォルンはミクロ宇宙の住人に、助けてやる代わりに自分を王としてあがめるようにと迫っていた。そこにフューチャーが現れ、死闘の末クォルンを失神KOした。フューチャーはミクロ宇宙の住民に援助を確約して、クォルンを抱えて自分の宇宙に戻った。

 フューチャーは別の石のエネルギーをミクロ宇宙の神秘の石に照射した。そのエネルギーでミクロ宇宙は蘇り、ミクロ宇宙の住民はフューチャーに感謝するのだった。


脚本:金子武郎


感想

 宝石の中に全く別の宇宙があり、恒星や惑星があり、ミクロ種族が住んでいる、というイメージは、なんとも目がくらむような感覚です。「きっとハミルトンはこのネタを伝説の作品『フェッセンデンの宇宙』に応用したに違いない!」とか思っていたら、

フェッセンデンの宇宙:1937年
太陽系七つの秘宝:1941年

という発表順でした。逆だったのか。


 今回もツッコミどころが多く、しょっぱなにフューチャーはクォルンたちと一緒に、カジノでイカサマをやらかした罪でウームに捕まります。そしてフューチャーは、本当にイカサマをやっていたので、まったく申し開きができないという……(笑) 正義のために法を守ってはいられない、という非常措置ということだったのでしょうが、正直にウームに掛け合ってみるという選択肢は無かったものか。

 七つの石を集めたクォルンは、体を小さくしてミクロ宇宙に向かいますが、その時の恰好がカジノで着ていた蝶ネクタイを含むびしっとしたスーツにヘルメットをかぶっただけ(笑) このまま宇宙に出たら即死しそうな格好ですが、多分クォルン流の超科学により服の周りに見えないバリアとかそれ的な物が展開されているのでしょう。何せ《銀河系の魔術師》だしね。

 アニメオリジナルの設定で、コメット号の内部に「胴体だけの」作業用ロボットが用意されており、サイモン教授が首のところに合体して、そのロボットボディを操作し、機械を作るというシーンがありました。これは日本のアニメのオリジナル設定にしては、結構気が利いている設定だったと思いますね。謎のビームでいちいち操作するより実際に手があった方が作業がしやすいのは当然ですし。

 最後にフューチャーがミクロ宇宙を救う手段は、てっきり「石をバーナーの上に乗せて下から火であぶったら、宝石の中が温かくなる」とかいう手を使うと思っていましたが(笑)、さすがに宇宙最大の科学者のフューチャーはそんな即物的な手は使いませんでした。おみそれしました。

 結局ウル・クォルンは原作とは違い、死なないままで終わりました。やはり悪党と言えども殺さない、というNHK子供向けアニメ的な配慮だったのでしょうか。
 
 

キャプテンフューチャー」の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下からどうぞ

アニメ「キャプテンフューチャー」あらすじ・感想まとめ
 
 
太陽系七つの秘宝/謎の宇宙船強奪団 <キャプテン・フューチャー全集3> (創元SF文庫)