感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第73話(シーズン3 第20話)「地下百メートルからの脱出 (後編)」

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【※以下ネタバレ】
 
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海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第73話 地下百メートルからの脱出 (後編) The Bunker Part2 (シーズン3 第20話)

 

あらすじ

ウイリー(ピーター・ルーパス)の活躍で科学者の妻の救出に成功するIMF。シナモン(バーバラ・ベイン)が夫人に変装し、彼女の身代わりとなる。しかし既に基地へ潜入していた殺し屋が、次に変装する相手に選んだのは、医師となり基地に入り込んでいたローラン(マーティン・ランドー)だった!


ウィリー(ピーター・ルーパス)の活躍で科学者の妻の救出に成功するIMF。シナモン(バーバラ・ベイン)が変装し、夫人の身代わりとなり基地に残る。しかし殺し屋は既に基地内へ潜入していた…。科学者に近づこうと彼が変装する相手に選んだのは、医師となり基地に入り込んでいたローラン(マーティン・ランドー)だった!

※DVD版のタイトルは「地下百メートルの円盤 (後編)」。


【今回の指令】
 承前


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 某敵性全体主義国家


【作戦】
 ウイリーとアンナは煙突を上手く脱出した。

 一方、地下研究所では連れてこられたアンナ(実はシナモン)が、ロジャック博士に通風孔の中を覗くように耳打ちする。バーニーはフェルプスが地下研究所に持ち込んでいた無線操縦の小型円盤を操り、地下100メートルのロジャックのところまで飛行させる。円盤には心臓発作を偽装する薬が積まれており、ロジャックはそれを自分に注射し、心臓発作そっくりの症状で倒れる。

 研究所は大騒ぎになるが、フェルプスは、丁度心臓外科の権威(ローラン)が学会でこの国に来ているといって、ローランを地下研究所に呼び寄せる。ローランは、ロジャックを助けるためには緊急手術が必要なので病院に運ぼうと提案するが、直後にブレイドー大尉(実は殺し屋ベントロス)に殴り倒されて失神してしまう。そしてベントロスは、ローランそっくりに変装して、ロジャックに毒を注射しようとするが、その前にフェルプスに正体を見破られる。

 正体がばれたベントロスは、研究所を破壊するため、ロケット燃料の混合設備をでたらめに操作するが、直後に射殺される。ベントロスの操作のせいで、基地は7分後に爆発することが確実となり、所員たちは慌てて脱出を開始する。IMFメンバーは、ロジャック博士を連れてミサイル専用エレベータで脱出し、間一髪で地上に逃れる。そして大爆発する研究所を背後に、車で逃走するのだった。


監督: ジョン・モクセイ
脚本: ポール・プレイドン


感想

 評価は○。

 『スパイ大作戦の前後編は、一作分のアイデアを水で薄めて二話分にした中身の薄い引き伸ばし回』という伝統に基づいた回。後編の今回も前編同様に「普段の話のテンポを半分にして時間稼ぎしているだけ」だったが、まあ、ストーリー自体は悪くなかった。

 今回大活躍するのが、バーニーが開発した秘密小道具の、無線操縦の空飛ぶ円盤メカ。底にプロペラが六個ついて飛行し、上部についたアンテナがくるくる回っているという、20世紀の特撮メカ風味が満載である。これをバーニーが遠隔でコントロールして、通風孔を辿って地下100メートルにあるロジャック博士の元まで飛行させるのだが、途中で電波が上手く届かなくなりコントロールを逸脱しそうになるなど、定番の展開だがハラハラさせてくれた。

 ちなみに、このメカでロジャック博士に特別な薬をいれた注射器を届けるのだが、その運び方が「機体の上部に養生テープ的な物で注射器を貼り付けている」という恐ろしく無造作な物なので、ちょっと笑ってしまった。考えにくいだろうが、途中で注射器が転がり落ちるような可能性も考慮すれば、機体にちゃんとした物入れを用意しておくべきだったのではなかろうか。バーニーのお手製なのだから、それくらい簡単だったと思うのだが……

 ローランは、この前後編では殆ど出番がなく、後編の中盤くらいにフェルプスのアイデアで医者役で研究所まで連れてこられるが、なにも活躍しないうちにベントロスに殴り倒されて失神してしまう、と良い所なしであった。普段はチームの主力として大活躍するだけに、珍しいエピソードだったと言える。また、そもそもIMFメンバーが途中で敵にのされて計画が狂ってしまう、という展開は初めて見るパターンで、ささやかではあるが、前後編ならではのスペシャル感を盛り込みたかったのかもしれない。

 また普段は他人のマスクをかぶって別人に変装するローランが、今回は自身のマスクを取られてしまう、という展開がちょっと皮肉だった。変装名人ベントロスが他人に変装する過程をじっくり見せていたが、

1)相手の顔に透明なゼリーのようなものを塗り付ける
2)ゼリーが固まったら取り外すと、透明なデスマスクのようなものが出来ている
3)マスクの内側に肌色のスプレーを吹き付ける
4)吹きつけた物が固まったところではがすと、変装用マスクが出来ている
5) 4)のマスクをかぶると変装完了

という具合である。ローラン役マーティン・ランドーは顔全体にゼリーみたいなものをべたべた塗り付けられて、さぞ気持ち悪かったのではあるまいか。

 もっとも、ベントロスの変装はフェルプスにすぐに見破られる(顔の横にしわが寄っていたのでマスクだとばれた)ため、IMFの計画が大破綻することはなかったのは、IMFにとっては幸いであったが、視聴者的にはいささか拍子抜けであった。

 劇中で心臓発作(そっくりの偽の病気)で倒れたロジャックを病院に運ぶ際、医者たちが「ライフサポートを作りましょう」と言うのだが、ライフサポートとはいったい何なのだろうか。結局画面に登場しなかったので、全く正体が解らず、どうにもモヤモヤしてしまった。

 ラストは、いつものようにIMFメンバーが車で逃走するのだが、今回はそこに至るまでに、荒野に作られた地下研究所が大爆発する中を急いで脱出する、というシチュエーションがあり、ここもちょっとスペシャル回ぽかった。IMFのメンバーが爆風に吹き飛ばされながら崖を降りてきたり、そこいらじゅうから爆炎が吹き上げる中、車で逃げ出すなど、結構豪華な感じだった。たまにはこういう派手な回も良いかもしれない。


参考:今回の指令の入手方法

 承前

参考:指令内容

 承前
 

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