感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第89話(シーズン4 第11話)「国王がドナー!?」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ
 

第89話 国王がドナー!? The Brothers (シーズン4 第11話)

 

あらすじ

半年前から幽閉されている中東の国王。救出しようにもその居所がどうしても分からない。首謀者であるプリンスである弟を葬り、国王を権威を回復させるため、IMFチームは弟に薬を飲ませ、腎臓病を偽り、腎臓移植ドナーとして国王を手術に連れてこさせるという作戦に出る。


半年前から幽閉されている中東の国王。救出しようにもその居所がどうしても分からない。首謀者であるプリンスの弟を葬り、国王の権威を回復させるため、IMFチームは弟に薬を飲ませ腎臓病を偽り、腎臓移植ドナーとして国王を手術に連れてこさせるという作戦に出る。

※DVD版のタイトルは「移植手術を演出しろ」。


【今回の指令】
 西側に友好的なカマダン国王セリーム三世(King Selim III of Qamadan)は、半年前から、弟のサマンダル王子(Prince Samandal)によりどこかに幽閉・監禁されている状態である。サマンダル王子は今や王のごとくふるまい、さらに彼の部下ハタフィス大佐(Colonel Hatafis)がその権力を支えている。IMFはセリーム国王を救出し、王権を回復させなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:イリナ、無名の劇団員たち(「ハートフォード・レパートリー劇団」所属)


【作戦の舞台】
 カマダン王国


【作戦】
 IMFは、パリスが大金持ち、フェルプスとイリナがその友人、という設定で堂々とカマダン王国に乗りこむ。パリスは半年以上前から王と約束していたと言って宮殿を訪問し、サマンダル王子と石油取引の話を行う。そしてワイロも含めた提案をして、サマンダル王子と契約について合意する。

 帰り際、パリスは体調不良のふりをして倒れ、医者としてフェルプスが飛んでくる。フェルプスが病院に運ぼうと言うと、サマンダル王子は宮殿に医療設備が整っていると言って、宮殿で治療するように提案する。そのあとイリナは王子と会食し、隙を見て薬を盛り、王子は倒れてしまう。

 フェルプスは王子を診察し、末期の腎臓病なので腎臓移植の必要があるとウソの診断をする。王子は兄のセリーム国王の腎臓を移植させるため、王を眠らせてから宮殿に連れてくる。フェルプスたちは王と王子を手術室に運び、手術のふりを始める。

 一方イリナはハタフィス大佐に、パリス(大金持ち設定)はハタフィスのようなタイプが嫌いなので、貴方はすぐに宮殿から追い出されるだろうと予告する。それを聞いたハタフィスは、王も王子も殺してしまおうと部下に配電盤を細工させて停電を起こすが、バーニーたちが修理してしまう。

 フェルプスたちは手術室の床に穴を開け、王と王子を地下室に降ろし、二人の髭などの見掛けを入れ替えて、二人をすり替えてから、手術室に戻す。手術後、ハタフィスは、セリーム国王(実はサマンダル王子)の病室に忍び込み、酸素吸入を止めて王のつもりでサマンダル王子を殺してしまう。一方、目覚めた本物のセリーム国王は、フェルプスとにこやかに握手していた。

 ハタフィスは国内の有力者である族長たちを集め、サマンダル王子の陰謀でセリーム国王が殺されたので、自分が摂政になって国を預かる、と宣言する。ところがそこにセリーム国王が現れ、ハタフィスは愕然として立ち尽くし、そんなハタフィスを族長たちが取り囲む。最後、IMFメンバーが車で立ち去るシーンで〆。


監督: ムレイ・ゴールデン
脚本: リー・ヴァンス(原案: ロバート・C・デニス)


感想

 評価は○。

 IMFが所在不明の国王を救出するため、腎臓移植手術という大掛かりな仕掛けを展開するエピソード。手術中の患者の入れ替えなど、仕掛けが面白い回だった。


 今回の目玉は、IMFが展開するウソの外科手術シーンである。IMFがミッションに人数が必要な時には、契約しているらしいハートフォード(・レパートリー)劇団の団員を呼んできて仕事をしてもらうが、今回は団員を五人も六人も連れてきて医者や看護師に扮してもらい、大掛かりな手術シーンを展開してくれた。

 しかし、全員が手術着に身を包み、それらしい会話を交わしているものの、やっていることは患者のおなかの上にシートを敷いてその上に赤い染料の入れ物を置き、時たまメスやガーゼにその染料を塗り付けて、手術しているように見せかけているだけ、という展開が実に笑えてしまった。

 しかも隙を見て、人間が寝ている部分ごとエレベーター形式で下の階に降ろし、その間ばれないようにダミー人形をさっさとずらしておいておく、とか、もう視聴者レベルでは茶番としか思えないことを延々とやっていて、神の視点ですべてを把握できる視聴者としては抱腹絶倒モノの展開だった。


 とはいえ、そこまで持っていくまでの手順は緻密で、

1. パリスが王宮を訪問した後、仮病で倒れて、フェルプスが治療に来る
2. パリスの友人役のイリナが王子に薬を盛る
3. 王子が腎臓病と診断され、たまたまフェルプスが腎臓治療の権威だと判明する
4. フェルプスは妻に内緒でパリスについてきたので、ばれたら困るので、病院とかでは手術できないとごねる
5. 王宮でこっそり手術するすることになる

 と、細かい仕掛けを積み重ねて目標までたどり着いているのが、なかなか感心させてくれた。

 また、ミッションに時折邪魔が入り、王子の侍医ラバシが王子の飲んだ酒の中に薬が入っていたことを発見してイリナに銃を突き付けたり、ハタティス大佐が王族を二人とも殺そうと部下に王宮の配電盤を破壊させたり、と、アクシデントが連発するが、その度にIMFはさらっと障害を乗り越えてしまうのがなかなか頼もしかった。

 ところで、冒頭、パリスはすごい有名人としてカマダン王国に乗りこんでくるが、どんな情報操作をしたらこういう状況が作り出せるのか、どうにも気になって仕方がない。

 今回のIMFの助っ人となる女性エージェントはイリナ(ミシェル・キャリー)。しかし海外の情報によると名前は Lisa となっていて、どうも日本語翻訳時に変えてしまった模様である。何故リサでは駄目だったのかよく解らないものがある。しかし名前はともかく、サマンダル王子に近づいて薬を盛ったり、ハタフィス大佐を挑発して暴走を誘ったり、となかなかの活躍ぶりであった。

 このエピソードのサブタイトルの原題「The Brothers」は、もちろんセリーム国王と弟サマンダル王子の事を指している。劇中では単に兄・弟としか語られなかったが、二人を同じ俳優(ロイド・バチスタ)が演じており、かつ二人が入れ替わってもばれない、という展開から、両者は双子という設定だと思われる。そこは説明してくれても良かった気がする。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で公衆電話機の側に乗り付け、故障中の札のかかっている電話の下部の蓋の鍵を開くと、中に封筒と超小型オープンリール式テープレコーダーが入っている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。西側に友好的なカマダン国王セリーム三世は、約半年前からいずれかに幽閉・監禁されており、幽閉の首謀者は王の実の弟サマンダル王子である。そして今や王の権力を代行するサマンダル王子は、その国の主な財源である莫大な石油の利権を自由にしており、それに反対する者を拷問と殺人によって抑えているのはハタフィス大佐といって、中東においてサソリの如く恐れられている秘密警察長官である。

 そこで君の使命だが、国王セリームを救出し、その王権の回復を図ることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

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