【映画】感想:映画「王になろうとした男」(1975年:アメリカ)

王になろうとした男 [DVD]

映画|NHK BSオンライン http://www.nhk.or.jp/bs/t_cinema/
放送 NHK BSプレミアム 2017年7月25日(火)

【※以下ネタバレ】
 

1880年代のインド。新聞記者キプリングに、英国人カーネハンが数奇な体験を語る―。彼と友人のドラボットは、秘境の地カフィリスタンの“王”になることを決意し、現地へと旅立つ。冒険を重ね、ついに部族のもとにたどり着いた2人は、村の男たちに英国式の軍事教練を行うなどして信頼を得ていくが…。ノーベル賞作家R・キプリングの冒険小説を、名匠ジョン・ヒューストンが映画化。S・コネリーとM・ケインの演技が光る。

 

あらすじ

 19世紀後半のインド。イギリスの新聞記者キプリングの前に、みすぼらしいなりの男が現れる。キプリングは男が三年前に知り合った英国人のピーチー・カーネハンだと気が付く。カーネハンはキプリングに過去三年の事を語る。


 ピーチー・カーネハンと友人のダニエル(ダニー)・ドラボットは、イギリス軍を退役した後もインドに残り、密輸他の犯罪に手を染めていた。しかし二人はインドですら自分たちには小さすぎるとの結論に達し、アフガニスタンよりさらに奥地にある幻の国「カフィリスタン」に乗りこみ王になる、という野望を抱いて旅立つ。

 二人は苦労の末、カフィリスタンにたどり着き、この国で遭難していた英語を解するグルカ兵のグルン(通称ビリー・フィッシュ)と出会う。そして村人にライフル銃の威力を見せて神に近い存在だと納得させ、敵を倒してやると言って村人に軍事訓練を行う。

 ピーチーとダニーは村人を率いて別の部族に侵攻し勝利したあと、征服した部族と同盟を結び勢力を拡大する。ダニーは戦闘中矢を受けたが、たまたま体に刺さらず血が出なかった。それを見た村人は、ダニーが神シカンダーだと言い出す。シカンダーとは紀元前にこの国を征服したアレクサンドロス大王の事で、大王は国を離れる際にやがて息子を遣わすと言い残していた。ピーチーとダニーは示し合わせて、ダニーがシカンダーの息子と名乗ることにする。

 二人の軍は次々と村々を占領して勢力を拡大した。やがて国の最高僧が二人を招くが、偶然からダニーを本物のシカンダーだと認め、蓄えていた金銀財宝の全てを渡すと言う。二人は大富豪になったことに狂喜し、国を出られる季節になったら財宝を持って立ち去ることを決める。

 しかし、ダニーは王としての仕事をしているうちに、自分が本当にアレクサンドロスの息子だという考えに取りつかれ、この国に残ることを決意する。そしてかつて見かけた美女ロクサネを妻にめとろうとするが、僧たちは神と人の結婚に猛反対する。

 結婚式で、神との結婚に怯えるロクサネはダニーにかみつき、ダニーは血を流す。それを見た最高僧はダニーは神ではなくただの人間だと気が付き、民衆は暴徒化してダニーたちに襲いかかってきた。グルンは殺され、ダニーは谷底に落とされ、ピーチーははりつけにされるが次の日も生き残っていたため解放された。


 ピーチーはキプリングに、一年かけてインドに戻ってきたといい、ダニーと自分は互いに見捨てなかったと言って、ダニーの白骨化した頭を置いていく。その頭にはカフリィスタンの王冠がはめられていた。

感想

 評価は○。

 古いタイプの映画。この手の話が1980年代以降に映画になることはまずありえないストーリーで、1975年制作というのは納得である。

 陽気な二人の男が「未開の国の王になる」という途方もない目標を掲げて旅立つ、という話だが、冒頭で既にピーチーが元の人相も解らないような傷だらけの姿となり、相棒のダニーは居ないことから、二人の冒険が破滅的な結末を迎えたことが明示されている。そのラストがどんなものだったのか、観客を不安にさせながら話を進めていくという構成で、もうこれだけで1980年代ハリウッドがとても作りそうにない内容である。

 監督のジョン・ヒューストンは、「主人公たちが目標を追い求めるものの最終的に挫折する」みたいな話が得意らしいが、まさしくそういう話だった。

 途中でダニーたちが「神の息子」と名乗りだしたあたりで危うい空気が漂ってくるが、ラスト10分で正体がばれ、実にあっさりと悲劇的な結末になだれ込む。とは言っても不快ではなく、軍歌(?)を歌いながら谷底に転落していくダニー(ショーン・コネリー)の姿はカッコ良くもあった。


 明らかに「冒険映画」というより文芸系の作品ではあったが、それなりに満足できる内容ではあった。
 

王になろうとした男
BSプレミアム7月25日(火)午後1時00分~3時10分


【製作】
ジョン・フォアマン
【監督・脚本】
ジョン・ヒューストン
【原作】
ラドヤード・キプリング
【脚本】
グラディス・ヒル
【撮影】
オズワルド・モリス
【音楽】
モーリス・ジャール
【出演】
ショーン・コネリーマイケル・ケインクリストファー・プラマー ほか


製作国:
アメリ
製作年:
1975
原題:
THE MAN WHO WOULD BE KING
備考:
英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ


【キャスト】
ドレイボット:ショーン・コネリー
カーネハン:マイケル・ケイン
キプリング:クリストファー・プラマー
ビリー:サイード・ジャフリー
ログザンヌ:シャキーラ・ケイン

 

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