感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第90話(シーズン4 第12話)「凶悪な時限爆弾」


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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ
 

第90話 凶悪な時限爆弾 Time Bomb (シーズン4 第12話)

 

あらすじ

不治の病にかかり自暴自棄になり、原子炉の爆発を企てる元スパイ。爆発時刻は明後日午後4時!彼の計画を阻止するため、IMFチームは核施設への潜入を開始する。作戦が失敗すれば、メンバーもろとも首都が塵となってしまう…。

※DVD版のタイトルは「時限原子爆弾」。


【今回の指令】
 12年前、アメリカのスパイのアントン・マレック(Anton Malek)は、連邦人民共和国(The Federated People's Republic)の原子力研究計画を探るため同国に潜入した。ところがマレックは最近不治の病に侵されたため、独断行動が目立ち始め、ついには研究所の原子炉を明後日午後4時に爆発させようとしている事が判明した。もしこの計画が実行されれば、連邦人民共和国の首都は消滅し、これを引き金に核戦争が勃発することは必至である。IMFはマレックの計画を阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:ウェイ・リー、無名の劇団員たち(「グローブ・レパートリー劇団」所属)


【作戦の舞台】
 連邦人民共和国


【作戦】
 マレックは研究所の原子炉に特製のタイマーを仕掛けており、それは解除しようにも、六個のボルトを正しい順番で外さないと即座に爆発してしまう、というものだった。マレックは病気の治療でスイスに行くことになっており、午後三時の飛行機で飛び立った後、四時に爆弾が爆発するように設定していた。

 IMF原子力研究所に、共和国の首相の肝いりで特製のステンドグラスが搬入されることを利用し、芸術家や運搬員に化けて研究所に乗りこむ。そして飛行機の衝撃波でガラスの一部が割れたというふりをしたあと、芸術家役のフェルプスは修理のためにはモデルとなった女性を連れてこないと無理だとごねる。

 直後、「首相のお気に入りの女性であり、ステンドグラスの絵柄のモデルになった女性」という設定で、IMFメンバーのウェイ・リーが到着する。IMFはマレックに、一時的に体調が悪化するが、すぐに回復する薬を盛る。そのあと、ウェイ・リーはマレックが重病であることを言い当て、自分なら治せると持ち掛ける。マレックは最初は取り合わないが、薬の影響で倒れた後に、ウェイ・リーの治療で回復した(ように騙された)ことで、彼女を信じる気持ちになる。

 一方バーニーは、研究所の建物の梁に細工をして、壁にひび割れを発生させる。そのあと建物の専門家という設定で現れ、調査のためだと言って研究所から人払いさせる。

 IMFは昏睡状態だったマレックを研究所そっくりに作ったセットに運び込む。そこでウェイ・リーはマレックに、病気は治るので生きる希望を持つようにと伝える。マレックは爆弾を解除することを決め、原子炉に仕掛けたタイマー(にそっくりな偽物)のボルトを外し始める。フェルプスはそれをカメラで監視して、本物の原子炉の側にいるバーニーに伝え、バーニーが本物のタイマーのボルトを外す。

 やがてマレックは自分が偽物のセットの中にいることに気が付き、かく乱行動をとり始めるが、フェルプスはそれを見抜き、正しい解除順を勘で判断してバーニーに伝え、バーニーは無事タイマーを解除する。最後、騙されていたことに気が付いたマレックを縛り上げて、IMFメンバーが車で走り去るシーンで〆。


監督: ムレイ・ゴールデン
脚本: ポール・プレイドン


感想

 評価は△。

 設定と話が上手くつながっておらず、緊迫感に乏しい外れエピソードだった。

 IMFは原子炉爆発を阻止するためにタイマーを取り外す必要があるが、タイマーを外すにはボルト六本を正しい順番で抜く必要があり、それをマレックから白状させなければならない。ということで、そこまでどう持っていくかが今回のミッションの肝なのだが、そのあたりが回りくどく、かつぼんやりしており、全く緊迫感がなかった。

 IMFメンバーの一人ウェイ・リーが、難病を治療できる神秘的な女性という設定で登場するが、マレックに彼女の事を信じさせる過程もメリハリが効いておらず、対して面白くない。こういう心霊キャラを持ち出すのなら、大げさなくらい派手な話にしてほしかった。

 さらに眠らせたマレックを研究所そっくりのセットに運び込み、原子炉のセットのニセのタイマーからボルトを抜かせることで、正しいボルトの抜き取り順を確認しようとするが、このあたりも仕掛けが大掛かりな割には、「ターゲットを見事にだまして痛快」という感覚に乏しく、見ていて退屈の極みだった。

 しかも途中でマレックにだましていることがばれてしまうのだから、もう面白みもへったくれもない。この手の展開は、最後の最後までターゲットが騙されていることに気が付かず、それを見て視聴者が神の視点で楽しむ、というのが楽しいのであって、トリックが見抜かれてしまったらぶちこわしである。

 と、最初から最後までどうにものりきれないエピソードだった。


 今回のIMFの助っ人となる女性エージェントはウェイ・リー Wai Lee(バーバラ・ルナ)。占い師風の恰好をした神秘的なキャラを演じたが、あまり印象には残らなかった。


 このエピソードのサブタイトルの原題「Time Bomb」とは当然時限爆弾のこと。

参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスがテニスコート側の芝生の公園にやってきて、机とベンチに近づくと座っていた男が立ち去る。男の座っていた場所には紙袋が置いてあり、フェルプスは袋から大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。十二年前、その男アントン・マレックは、原子力研究計画を吸収するため連邦人民共和国に潜入した。ところが最近になって不治の病におかされたマレックには、本国の命令を無視した独断が目立ち始め、ついに明後日午後4時を期し原子炉を一大原子爆弾と化して爆発させようと謀るに至った。もしこれを許せば、連邦人民共和国の首都は一瞬にして壊滅、ひいてはそれをきっかけに核戦争を招くことは必至である。

 そこで君の使命だが、マレックのこの計画を阻止することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

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海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ