感想:アニメ「タイガーマスクW」第38話(最終回)「仮面タイガー スプリンガー」

テレビ朝日系アニメ「タイガーマスクW」オリジナルサウンドトラック

テレビアニメ「タイガーマスクW」公式サイト http://www.toei-anim.co.jp/tv/tigermask_w/
2016年10月~2017年7月放送。全38話。

【※以下ネタバレ】
 

第38話(最終回) 仮面タイガー スプリンガー

 

あらすじ

 新日とGWMの最終決戦後。GWMは日本から撤退し、GWMを退職したミスXは日本に残って、自分が社長となり女子プロレス団体の旗揚げを目指していた。そして春奈に声をかけ、レスラーとして自団体に参加するように勧誘する。春奈は母親や叔父の拳太郎からブロレスラーになることを固く禁じられていたため躊躇するが、結局こっそりプロレスラーになる決心をする。団体には春奈の友人のミルクとミントのキャンディペアや、GWM時代のミスXの秘書レディも参加していた。

 一か月後、ミスXは新団体「GWM(ガールズ・レスリング・ムーブメント)」(ガーム)の旗揚げをマスコミに発表した。春奈はエースとして「スプリングタイガー」改め「スプリンガー」として紹介される。旗揚げ戦の相手は、女子プロレスで最強とのうわさも高い「マザーデビル」がマッチメイクされるが、マザーデビルはスプリンガーをなめてかかり、負けたらマスクを脱げと条件を付けてくる。スプリンガーは思わずマスクを脱ぐくらいならお尻をさらす方がまし、と言ってしまい、メインはお尻を賭けた試合になってしまった。

 春奈は海外にいるナオトにアドバイスを求め、キックに活路を見出すことにした。そして旗揚げ戦、人手が足りずミスXみずから「Xウーマン」としてリングに上がることになるなどドタバタの中で、ついにメインのスプリンガー対マザーデビル戦が始まる。スプリンガーは体格でも経験でも勝るマザーデビルに一方的に攻め立てられるが、起死回生のヒップアタックからのキックでマザーデビルから勝ちを収める。

 最後、海外にいるタイガーマスクW(ナオト)が「ミスターNO」とリングで対峙しているシーンで〆。


脚本:千葉克彦  演出(絵コンテ):鎌谷悠/渡邊巧大  作画監督:渡邊巧大  美術:杦浦正一郎/斉藤信二/中林由貴

感想

 「事実上の最終回のあとに、番外編をもってきておしまいにする」という形は、一時期TBSの深夜アニメが連発していた手法ですが、「終わった気がしない」という点においてあんまり好きじゃないやり方です。しかしまあ、今回の話はそれをさし引いても面白かったなと。

 サブタイトルが東映特撮「仮面ライダーストロンガー」のあからさまなパロディなのはひっかかるものの、今まで無意味に突っ込んでいたと思われた春奈のプロレス挑戦話がきちんとオチが付いたわけで、番外編としてわりといい出来だったなぁと思います。ミスXの本名(サンドラ)がここに来て明らかになったり、「うちには資金がありません!」とかぶっちゃけ話を展開したり、また女子プロ旗揚げ物語としても面白かったり、と、やっつけ仕事じゃないのが良かったですね。

 しかし、ラストが(笑) 昭和のタイガーマスクアニメの登場キャラの中で一番危険なデザインと評判の「ミスターNO」を見せて来るとは(笑) いやー、さすがに肌色じゃなくてグレーの全身タイツでしたが、よくこのキャラを出したよなぁ。勇気ある挑戦に感服しました(笑)


総括

 評価は○(面白かった)。

 放映前は、「昭和アニメのタイガーマスクを2016年に復活させるなんて……」と批判的な目で見ていたのですが、実物は予想以上の面白さでした。やったね。\(^o^)/


 伊達直人タイガーマスクが「虎の穴」を壊滅させてから半世紀。虎の穴は復活を果たし、表向きは「GWM(グローバル・レスリング・モノポリー)」という団体として、各国のマットへの侵攻を図っていた。日本の弱小団体ジパングプロレスのエース藤井大介は、GWMのトップレスラー・イエローデビルに再起不能の大怪我を負わされて引退する羽目になり、団体は崩壊した。団体の新人レスラーだった東ナオトと藤井タクマは、イエローデビルへの復讐を誓う。そして三年後、タクマは二代目のタイガーマスク、タクマはGWMのレスラー・タイガー・ザ・ダーク、にそれぞれ変身していた……


 新日本プロレスの親会社のブシロードがプロレスブームをさらに発展させるために作らせたアニメ。今更あのタイガーマスクを復活させるなんて時代錯誤にも程がある、と思ったのですが、スタッフはちゃんと21世紀に対応した内容に作り替えていました。

 前作は、主人公が孤児であるとか、組織を裏切ったので刺客を送り込まれて毎回デスマッチとか、リング外でも殺し屋が狙ってくるとかの、昭和テイスト満載の梶原一騎ワールドだったわけですが、「W」はその古臭い要素は一切切り捨ててスマートな内容に改変。

 タイガーは正体不明のフリーのレスラー、GWMは悪の組織ではなく日本マット独占を狙う外国資本の団体、そして興行戦争相手の新日本プロレスタイガーマスクと接近する、といった感じで、今風の現実のプロレスの要素をベースにタイガーマスクの世界を上手く組み合わせる感じで物語を構成していて、さすがという作りでした。

 しかしそれでは「タイガーマスク」を名乗るだけの全くの別作品ですが、登場するレスラーたちは、前作の昭和アニメに登場したキャラ(と同名)がぞくぞく復活していて、このあたりが前作好きにも配慮してあって嬉しい所でした。イエローデビルだのレッドデスマスクだのタイガー・ザ・グレートだのが出てきたのは大ウケでしたが、最高だったのはミスターXまで復活させたことでしょう。しかも声が前作と同じ柴田秀勝という人選には感涙でしたね。

 あと、オープニング曲が昭和アニメ版のアレンジバージョンだったところもポイント高かったです。21世紀にあの「白いマットのジャングル」云々が聞けるとは思わなかった(笑)


 ストーリーは、明らかに本筋を外れた番外編(スイーツ真壁が主役の話とか、地方巡業でドタバタするコメディ話とか)が結構多くて、そのあたりは不満も感じましたが、タイガーとダークの虎対決とか、覆面レスラーオンリーのトーナメント戦とか、特設リングでの一大決戦「ウォーゲーム」とか、バトル物として押さえるべきところはきちんと押さえていて、さすが東映は解っているという感じでした。ラストバトルも五対五の団体対抗戦という仕掛けで大盛り上がりでしたね。


 まあ、はっきり言ってアニメ誌などのメディアからは完全に無視されていたし、またこのアニメで子供の間にプロレスブームが巻き起こったとも思えませんが、「前作を知っていて、かつ今でもプロレスに興味があるアニメ好き」という極々狭い層(つまり私)には大ウケでした。いやー、ホント良かったよ。

現代のタイガーマスクは2人いる――!?
主人公は「東ナオト」「藤井タクマ」、2人の若きプロレスラー。彼らは小さなプロレス団体「ジパングプロレス」の練習生だったが、「ジパングプロレス」は悪質プロレス団体「GWM(グローバルレスリンモノポリー)」に潰されてしまった。報復のためナオトは富士の裾野で訓練を受け「新タイガーマスク」となり、一方タクマは「GWM」を裏で操る組織「虎の穴」にあえて入り「タイガー・ザ・ダーク」となる。「光のタイガー」「闇のタイガー」2人を待ち受ける戦いと友情の行方は――!?
リング上では敵だが、目的は同じ。「虎の穴を潰せ!」



制作会社
東映アニメーション


スタッフ情報
【原作】梶原一騎辻なおき
シリーズディレクター小村敏明
【シリーズ構成】千葉克彦
【キャラクターデザイン】香川久
【アクション作画監督羽山淳一
【美術デザイン】渡辺佳人
【音楽】高梨康治(Team-MAX)、刃-yaiba-


音楽
【主題歌】湘南乃風行け!タイガーマスク
【ED】湘南乃風「KING OF THE WORLD」


キャスト
東ナオト/タイガーマスク八代拓
藤井タクマ/タイガー・ザ・ダーク:梅原裕一郎
高岡春奈:三森すずこ
オカダ・カズチカ森田成一
棚橋弘至鈴村健一
藤井大助:草尾毅
山科ルリコ:千葉千恵巳
高岡拳太郎:田中亮一
来間ヒカリ:橘田いずみ
若松龍:岸尾だいすけ
永田裕志:てらそままさき
ミスターX  柴田秀勝
ミスX 小林ゆう
イエローデビル 島田敏
ケビン・アンダーソン 福山潤
マイク・ロドリゲス 内匠靖明
オーディン 竹本英史
真壁刀義 真壁刀義
レッドデスマスク 三浦祥朗

 
300ピース ジグソーパズル タイガーマスクW 二頭の虎(26x38cm)