感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第96話(シーズン4 第18話)「12歳国王一座」


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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ
 

第96話 12歳国王一座 Gitano (シーズン4 第18話)

 

あらすじ

将軍が12歳の国王暗殺を画策、叔父である隣国王の仕業に見せかけようとしている。王を追っ手の暗殺者から守るため、旅芸人に扮したパリス(レナード・ニモイ)とウイリー(ピーター・ルーパス)が接触、彼を保護する。国王を女装させ追っ手の目を欺くことができるのか。


将軍が自国の12歳国王暗殺を画策、叔父である隣国王の仕業に見せかけようとしている。王を追っ手の暗殺者から守るため、旅芸人に扮したパリス(レナード・ニモイ)とウィリー(ピーター・ルーパス)が接触し、彼を保護する。国王を女装させ、追っ手の目を欺くことができるのか。

※DVD版のタイトルは「暗殺路線」。


【今回の指令】
 サルデア王国(The Kingdom of Sardia)では、摂政のアラガス将軍(General Aragas)が12歳の少年王ビクター(King Victor)を暗殺し、さらにその罪を王の叔父であるモンテゴ国のクレメント大公(Grand Duke Clement of Montego)になすりつけようと計画している。アラガス将軍は王族を全員殺害した後、独裁者となり、近隣諸国を征服する野望を抱いている。IMFはアラガス将軍の野望を阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:オルカ


【作戦の舞台】
 サルデア王国


【作戦】
 クレメント大公は、甥のビクターの身を案じ、ビクターを強引にモンテゴに連れてこさせていたが、世間からは誘拐行為だと非難を浴びていた。さらにアラガス将軍は、これを利用し、モンテゴ国内でビクターを暗殺する事で、大公への罪のなすりつけを確実に行うつもりだった。そして大公の腹心であるモイヤ大佐は、実はアラガス将軍と手を組んでいた。

 ビクターはアラガス将軍を慕っているため、大公の言う事を信じず、強引に車で帰国することにした。アラガス将軍は、ビクター暗殺チームを帰国ルートの途中に配置させて待ち構えさせていた。IMFはまず、国王が乗る車に細工して遠隔操縦装置と麻酔ガス噴射機を取り付けた。モイヤ大佐は車の中でビクターに正体を明かし、お前を殺すと予告するが、次の瞬間ガスで車の中の人間は全員眠ってしまう。IMFは暗殺チームの待機場所より手前で車を止めさせ、ビクターはパリスたちが引き取り、モイヤ大佐たちは病院に運び込む。

 病院では、医者役のフェルプスがモイヤ大佐を目覚めさせ、車の事故で大佐の部下二人は死に、また子供は現場にはいなかったと説明する。モイヤ大佐は慌ててビクターを捜索するように部下に命じる。

 一方、ジプシーに変装したパリス・ウィリー・オルカの三人は、目覚めたビクターに対し、正体を知らずに車に乗せたと説明する。ビクターは国王だと名乗り、自分を無事アラガス将軍の元に送り届けてくれたら礼金をはずむと約束したので、パリスたちはそれを了承したふりをする。そしてビクターをかつらと化粧とドレスで女装させる。

 パリスはアラガス将軍のところに行き、金と交換でビクターの居場所へと連れて行くと交渉する。アラガス将軍はパリスを拷問して居場所を聞き出そうとするが、パリスは口を割らない。同じころ、ウィリーとオルカはわざとビクターのカツラをずらして追手の目に正体がばれるようにしてから倉庫に隠れる。そしてモイヤ大佐たちは倉庫を包囲し、アラガス将軍も駆け付けてくる。

 倉庫の中でアラガス将軍はビクターを救いに来たふりをして、目の前に現れたビクターに発砲する。ところがビクターの前にはIMFが用意した防弾ガラスが置いてあったため、ビクターは無事だった。アラガス将軍は大公に反逆罪と殺人未遂で逮捕される。アラガス将軍はビクターにこれは陰謀だと弁解するが、殺されかけたビクターはもうアラガス将軍を信じようとはしなかった。

 最後、IMFメンバーが車で倉庫から撤収するシーンで〆。


監督: バリー・クレーン
脚本: ローレンス・ヒース


感想

 評価は○。

 全然ダメという訳ではないが、特に面白みも無い、ぎりぎり合格点、というレベルのエピソードだった。


 あらすじ自体はわりと単純で、ビクターにアラガス将軍の正体を見せつけて目を覚まさせる、という展開は最初から予測できた。ただ、スパイ大作戦で子供が重要キャラとして出て来るエピソードというのは初めてなので、その点はちょっと印象的だった。序盤に、ジプシー役のパリスが、ビクターが王だという事を信じないふりをして適当にあしらう場面などはちょっと面白かった。

 ちなみにビクターの声を当てているのは、古谷徹氏らしい。しかしこの配役のため、普段のシーンは問題ないものの、ビクターが女装した姿でモイヤ大佐と顔を合わせるシーンでは、ビクターが男の声で返事しているのに、モイヤ大佐は全く気が付かない、という妙なことになってしまっている。これではモイヤ大佐はただの間抜けである。ビクターは12歳という設定でもあるし、女性の声優が吹き替えをした方が良かったのではなかろうか。

 それにしても、今回はパリス一人がキツイ目にあわされたミッションだった。パリスはジプシーのふりで単身アラガス将軍のところに乗りこみ、金をくれたら国王の場所まで案内する、と提案するのだが、当然悪党のアラガス将軍はそんな提案には乗らず、パリスを拷問して口を割らせようとする。そのシーン自体は描写されなかったが、アラガスの部下が「どうしてもしゃべりません」とか言っていたので、パリスが何をされたのか想像したくもない。

 そもそも、パリスがアラガス将軍のところに直接乗りこむ必然性はあまりなかったし、終盤アラガス将軍とモイヤ大佐たちが倉庫に乗りこむ場面でも、スマートに話が運んだとは言えず、どうもごたごたしていてあまり痛快感が無かった。このあたりのキレの無さが、今回のエピソードの評価を落としたという感じである。

 今回のIMFの助っ人となる女性エージェントはオルカ Zorka(マルガリータコルドバ)。しかし、劇中で華麗なフラメンコの踊りを披露したほかは、別段スパイらしい仕事はしていなかったので、印象はイマイチである。

 このエピソードのサブタイトルの原題「Gitano(ジターノ)」とは「スペイン人のジプシーの男性」のこと。パリスやウィリーの変装を指していると思われる。ちなみにサルデア王国は、どうみてもスペインである。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが鍵のかかった倉庫(手荷物預かり所だと思われる)のドアを開けて入り、置いてあるトランクを開けて大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。サルデア王国の摂政アラガス将軍は、若い国王ビクターを暗殺し、その罪を国王の叔父であるモンテゴのクレメント大公になすりつけようと計画している。このようにして次々に王室一族を亡き者にした末、アラガス将軍は独裁者の座に就き、戦争によって近隣国家を征服しようという野望を持っているのだ。

 そこで君の使命だが、将軍のこの野望に終止符を打つことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

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