のびのびTRPG 辺境紳士社交場
先日、初心者向けTRPG「のびのびTRPG ザ・ホラー」が発売されたという記事を見たのですが、内容説明が漠然としていて、どういう商品なのかイマイチ解りませんでした。
調べてみたところ、このゲームには元となった「のびのびTRPG」という同人ゲームがあるそうで、そちらの内容を見てみると、これがなかなか興味深くて……
公式サイト のびのびTRPG 辺境紳士社交場
http://frontierpub.jp/books/novi-trpg/
こんなゲームだよ
のびのびTRPG
https://www.boardwalk.co.jp/iogm/products/detail.php?product_id=22576
【メーカー】辺境紳士社交場
【著 作 者】今野隼史
【種別仕様】TRPG基本セット
【プレイ人数】3-5人
【プレイ時間】30-60分
【対象年齢】10歳以上
【商品説明】予習も筆記用具も知識も知略も必要なく、想像力と何人かの仲間だけでのびのび遊べるTRPGです。
1人1枚ずつPCカードを取り、適当な方法で最初のGMを決めます。
GMは場面カードを1枚引き読み上げます。GMの左隣のプレイヤーは場面カードに応じて、サイコロを振っての判定か、相応しいロールプレイを行います。PCは成功したら光カードを、失敗したら闇カードを引きます。
GMを左隣のプレイヤーに交代して続けます。
全員が3場面ずつ行ったら、代表がクライマックスカードを引いて全員でその判定に挑戦します。
判定の成否に応じてみんなで結末を話し合い、ゲームを終了しましょう。
ふんふん、どう見てもカードゲームですね(笑)
さらによく解る説明がこちら
こちらとか
gokurakism.com
こちらとか
blog.risouf.net
を読めば、ほぼノリが解ります。
具体的にはこんな感じのゲーム
0.カードの種類
PCカード … プレイヤーキャラクター(戦士・僧侶etc)が書いてあるカード
場面カード … 場面設定が書いてあるカード
光カード … 能力の強化やNPCが書かれているカード
闇カード … 同上
クライマックスカード … 最終イベントが書かれているカード
1.プレイの流れ
1)参加者がそれぞれPCカードでキャラクターを決める
3)GMは場面カードを読み上げる。
4)GMの左隣の人がその場面に対応する。大きく分けて対応方法は二つ
・「サイコロを振ってXX以上の値を出せば成功」と書かれていれば、サイコロふりで成功したか失敗したかを決める
・「XXしますか?」という場面でどうするかを決める。成功か失敗かはGMが判定する
5)成功すれば「光カード」、失敗すれば「闇カード」、を一枚もらう。光が良くて闇がダメ、ということはなく、どちらも能力を向上させてくれたりする感じ
6)GMが左の人に交代し、3)~5)の手順を繰り返す
7)三周したら「クライマックスカード」を引く。このカードはいかにも最終決戦風のシチュエーションが書かれており、全員参加でサイコロを振って条件を満たせば勝利! となります。
シンプルながら、本質はバッチリつかんでます
プレイの流れを見ると、ほぼカードゲームですよね。「親がカードを引く」「隣の人が対応する」をワンセットにして、それをぐるぐる繰り返し、決まった回数をこなしたら、ラストバトルに突入して終了。やることが明確に見えているから、プレイの際に何も迷いも起きません。
それでいて「各人が特定のキャラクターを担当する」「だんだん能力が向上する」「それなりにロールプレイ」「最後は盛り上がるラストバトル!」というTRPGのポイント的な部分はしっかり押さえてあり、雰囲気というかそういう物は十分体験できますね。
クライマックスの最終決戦は勝てればそれに越したことはありませんが、たとえクリアできなくても、「まあ次のプレイでは勝てると良いね」みたいに締めればいいらしい。「TRPGの楽しみは最終的な勝ち負けではないんだ」という点を教えてくれるというのも教育的です(笑)
カードTRPGは他にもありますけど……
実はカードを使ってTRPGを行う、というアイデアはこのゲームが最初ではなく、2002年に既に
という物が存在していましたし、2010年代前半から一つのジャンルとして定着したようで、
Pathfinder基本セットRise of Runelords[英語版・日本語ルール・シール付]
ソード・ワールド2.0 カードアドベンチャー
といった作品がずらずら見られます。
もっともこれらはカードを使うと言っても別に手軽ではなく、「ガチ」にTRPGするゲームばかりなので、「のびのびTRPG」とは方向性が違いますね。まあソード・ワールド2.0 カードアドベンチャーに「クライマックスカード」というカードがあるので、ちょっとは影響を受けているのかもしれませんけど、「のびのびTRPG」は、あくまで「TRPG風味のお手軽カードゲーム」というスタンスであるところが違います。
作者はゲームブック「シュレディンガ・フォークス」を書いた人だった!
この「のびのびTRPG」の作者さん今野隼史氏は、調べてみたら以前に買ったゲームブック「シュレディンガ・フォークス パラグラフの迷路」を書いた人でもありました!
シュレディンガ・フォークス-パラグラフの迷路
http://frontierpub.jp/books/1405shf3/
時間が切り刻まれた奇妙な世界を冒険して、出口を探す、武装メイドと迷子のファンタジーなライトノベル&ゲームブック。
職業イラストレーターが一人で書いて挿絵も描いた、誰にも遠慮しない奇妙な創作本です。
ほほう、道理で場面カードのとぼけた雰囲気の文章に見覚えがあったわけですよ。
となると新作「のびのびTRPG ザ・ホラー」も、(詳細がいまいち不明ですけど)期待できそうな感じですよねぇ。