感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第105話(シーズン5 第1話)「殺し屋」


スパイ大作戦 シーズン5<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第105話 殺し屋 The killer (シーズン5 第1話)

 

あらすじ

多種多様な手口を持つ殺し屋ローカ。その暗殺を阻止し、依頼主である暗号名“サソリ”の正体を暴けという指令が下る。標的に死の危険が忍び寄る中、チームは暗殺者を食い止め、標的を救うことができるか。

 
【今回の指令】
 プロの殺し屋エディ・ローカ(Eddie Lorca)は、正体不明の暗黒街のボス「サソリ」(Scorpio)の依頼を受け、この金曜日に殺しを行う予定である。しかし、殺しの対象が誰であるかも、いつどこで実行されるかも一切不明である。IMFはこの殺しを未然に防ぐとともに、「サソリ」の正体を突き止めなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ウィリー
 ゲスト:ホテルで偽装を担当する作業員多数


【作戦の舞台】
 アメリカ・ロスアンゼルス


【作戦】
 ローカは殺しに決まったパターンが無く、その場その場で即興で行動するタイプのため、IMFは先回りして準備することが出来ない。しかし、ローカがロスアンゼルスに来ることだけは解っているので、ローカが使いそうな目立たないホテルを丸ごと借り受けて待ち受けることにした。

 ローカは空港で電話帳から適当に「ボアーホテル」を選び、タクシー運転手に変装していたパリスに、そのホテルに行けと指示する。フェルプスたちはそれを聞き、すぐさまホテルの看板から、キーのタグ、便せん、コップ、タオルなどの名前を全てボアーホテルと書き入れる作業を始める。そして時間を稼ぐため、ウィリーはパリスのタクシーを先に進ませない様に、信号を赤信号に変えたり、トラックで道をふさいだりする。

 そしてようやくローカはホテルに到着するが、IMFが監視カメラを仕掛けた部屋に誘導される。ローカはすぐに連絡役の女に電話し、45分後にホテルに来るように指示する。直後、パリスはローカの声色でその女に電話し、予定を変えて30分後にホテル近くの公園で会おうという。そして女から殺しのターゲットに関する資料を受け取る。

 資料から、暗殺の対象は近くのホテルに滞在している労組の幹部だと解り、IMFは資料の写真をバーニーの写真と入れ替える。そしてダナが入れ替えた資料を連絡役の女のふりをしてローカに届け、その間にバーニーが暗殺対象の人物を避難させて自分がホテルの部屋にこもる。

 IMFはボアーホテルから出かけたローカを見失ってしまい、バーニーのいるホテルで待ち構える。ローカはこっそり目標のホテルに忍び込み、バーニーの部屋の上の部屋に侵入すると、まずバーニーに労働組合の事で面会したいと電話をかけて部屋から出ないように仕向ける。続いて通風ダクトからヒモに括り付けた時限爆弾を吊るし、バーニーの部屋の側に届かせる。そのあとホテルを出て、電話ボックスから電話する。

 IMFはようやくローカがホテルから出て来るところを見つけるが、フェルプスは何故ローカがしつこくバーニーに電話するのかといぶかしみ、爆弾の事に考え付き、バーニーにすぐに逃げろという。次の瞬間爆弾が爆発し、バーニーは間一髪で命拾いする。

 その後、IMFの協力者の一人が「ホテルの客が爆発で死んだ」と大騒ぎし、ローカは満足して連絡役の女(実はダナ)に電話し、ダナは報酬を渡すといって待ち合わせ場所を教える。ところが二人が出会ったところに車に乗った男たちがやってきて、銃を乱射してすぐに逃走する。ダナは撃たれて瀕死のふりを倒れ、ローカがダナの持ってきた報酬の札束を改めると全て紙切れだった。ダナは「サソリ」からローカを殺すように言われていた、と嘘を告白してこと切れたふりをする。

 激怒したローカは、ウィリーの運転するタクシーで高級住宅街に向かい、「サソリ」の屋敷に踏み込んで銃を突きつけるが、サソリと相打ちになってしまう。最後IMFメンバーが救急車と警察を屋敷に呼びつけるシーンで〆。


監督: ポール・クラズニー
脚本:アーサー・ウェイズ


感想

 評価は○。

 シーズン5に入り、何か今までのスパイ大作戦とテイストがかなり変わってしまったが、まあ番組としてはそこそこには面白かった(あくまで「そこそこ」ではあるが……)。


 このシーズンから、レギュラーの女性エージェントとして、ダナ・ランバート Dana Lambert(レスリー・アン・ウォーレン)が参加している。担当声優は池田昌子氏。ただ、やはり1~3シーズンにレギュラーだったシナモンと比べると、ややキャラが弱い気がしなくもない。


 今回は冒頭からいきなり驚かされたのだが、過去4シーズンにわたって不動だった番組の始まり方がすっかり変わってしまっていた。今までは

1)オープニング/テーマ曲
2)フェルプスがテープを見つけて指令を受けとる
3)部屋にメンバーを集めて打ち合わせ(※ない事もある)
4)ターゲットたちの登場するシーン

だったのだが、今回は

1)いきなりターゲットの登場するシーン
2)フェルプスがテープを見つけて指令を受けとる
3)オープニング/テーマ曲
4)部屋にメンバーを集めて打ち合わせ

という構成に変えられて仰天した。

 まあ、ドラマで「オープニングの前にまず短いストーリーを見せておく」というパターンは、最近の作品では別に珍しくも無いが、スパイ大作戦はあの超格好良いテーマ曲から番組に入るというパターンを刷り込まれていたので、今回の構成はどうにも馴染めなかった。


 また今回のシナリオ内容もやや微妙で、ターゲットを大芝居で騙して任務を遂行する、というのがスパイ大作戦の醍醐味だと考えているのに、今回はターゲットのローカの出方を一々見てその度にIMFがバタバタする、という展開で、どうも今までの作品とは雰囲気が違っていて、もう一つノリ切れなかった。

 ローカがボアーホテル(画面上の日本語表示はバウアーホテル)に行こうと決め、それを知ったIMFが大慌てで、人海戦術でホテルの看板や備品に「ボアーホテル」という名前を入れる作業をするシーンは多少面白かったが、その展開に全体の1/3、約20分も使うのはどうかという感じだった。

 その後、パリスがいつもの声色を使って暗殺対象の資料を入手したり、ダナが連絡員の女にすり替わってローカと接触したりする辺りはスパイ大作戦の本道に戻った感はあったが、その後ローカを見失ってしまい、暗殺方法が解らなくてじりじりしながら待ち受ける、という展開もやはりスパイ大作戦らしさに欠けているように思えた。

 さらに、ローカが暗殺対象のいるホテルに忍び込み、ゴルフボールに偽装した爆薬にタイマーを差し込み、紐で通風孔を下ろして暗殺の準備を進めているのに、IMFはそういう動きに全く気が付かない、という展開はサスペンス感覚は満載だったが、これも求めていた展開とは違うという気がした。

 まあ、最後は、ダナが偽札と嘘情報でローカに雇い主の「サソリ」に裏切られたと誤解させ、ローカをサソリの屋敷まで直行させる、というのはIMF風ではあったが、椅子に座って読書していたサソリが銃を手元に置いていて、ローカと相打ちになるという展開は都合が良すぎて呆れてしまった。

 どうもシーズン5に入り、今までにない新しい試みをしようとしている模様だが、その方向性がことごとく気にくわないのは、どうにもやりきれない気分だった。シーズン5の作品が全てこんな変則的なストーリーでないことを祈りたいものである。

(備考:今回のエピソードは、新スパイ大作戦でリメイクされており、第1話「ザ・キラー」のタイトルで放送された)。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが海辺の岩場で釣りをしている男に合言葉を言うと、男は釣り用具入れを置いて立ち去る。フェルプスは用具入れから大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。

参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。この金曜日にプロの殺し屋エディ・ローカがこの街に到着する。ローカは「サソリ」という暗号名でしか知られていないある暗黒街のボスから殺しの依頼を受けてやってくるのだが、誰をいつどこでどうやって殺すのかは一切わからない。

 そこで君の使命だが、この殺しを未然に防ぐとともに、暗黒街のボス「サソリ」の正体を暴くことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com