【ゲームブック関連本】感想:「ALL ABOUT GAMEBOOK VOL.1 ケイブンシャ編」(2011年5月)

ドルアーガの塔 外伝 (アドベンチャーヒーローブックス)

 今回ご紹介するのは、ゲームブックのカタログ「オールアバウトゲームブック」の第一弾「ケイブンシャ編」です。ケイブンシャ、懐かしいですね。
 

ALL ABOUT GAMEBOOK VOL.1 ケイブンシャ編 オールアバウトゲームブック1 - ゲームブックのオンラインショップ トレーダーズ・ギルド
http://tradersguild.cart.fc2.com/ca45/618/p-r45-s/


■ 概要
勁文社ゲームブック全48作品+αを収録したデータベース書籍。
A5判 レーザープリンター出力本 カラー印刷 全113ページ。


■ 内容
勁文社ケイブンシャ)より出版された全ゲームブック作品を、各種のデータ共に解説した当店オリジナルの冊子です。
ドルアーガの塔 外伝」などで知られる勁文社アドベンチャーヒーローブックスを中心に、ノンレーベルのゲームブックや、ケイブンシャ大百科のおまけゲームブックなどを紹介。
データベース、コレクションのチェック用、当時を懐かしむ読み物、今後購入するゲームブックの前知識、一種のカタログとして……など、用途は様々。

 

オールアバウトゲームブックとは?

 「ALL ABOUT GAMEBOOK」(オールアバウトゲームブック)シリーズは、中古のゲーム書籍やTRPGを扱うオンラインショップ「トレーダーズ・ギルド」のオリジナル商品で、1980年代に数年だけ大ブームとなったゲームブックのカタログ本です。

 出版社毎に、その会社が発売したありとあらゆるゲームブックを網羅し紹介するという、ゲームブック好きなら泣いて喜ぶような企画の産物です。

 内容は、まずその出版社が当時どういう会社だったか、という概要から入り、その会社のゲームブックの傾向を分析し、さらに個々の作品毎に、内容紹介・評価・備考などを記載しているという、至り尽くせりの内容となっております。

 これだけの内容で1000円台とは破格の安値と言っても過言ではないでしょう。ゲームブック好きなら必携!と太鼓判を押す内容です。


ケイブンシャ編」の内容

スーパーマリオブラザーズ外伝 (アドベンチャーヒーローブックス)

 第一弾で取り扱っているのは、今は亡きケイブンシャ勁文社)のゲームブック群。勁文社は子供向け書籍「大百科」シリーズの発売元でもあり、昭和や平成初期までに小学生時代を送った世代なら一度は世話になっただろう会社でした。こういう子供向けジャンルの本ってもう絶滅しちゃいましたよねぇ。

 さて、同社のゲームブックは、ファミコンゲームを元にした安っぽい感じの作品ばかり、というイメージが強く、ゲームブックブーム当時も今も全く手に取ったことは無く、ゆえにこの冊子自体も特に内容には期待していておらず、単なる興味半分で購入したのですが……

 しかし、これが予想に反して面白かった!! もちろん個々のゲームブック自体の紹介にそれほど興味が惹かれたという訳ではないのですが、全体を貫くテイストがかなり気に入りましたよ。



ケイブンシャの解説

 まず、ケイブンシャ勁文社)がどういう出自の会社か、という事から始まり、どういう経緯でゲームブックに参入したか、どういう傾向の作品が多かったか、どんな人たちが作っていたのか、そしてブームの終焉をどう乗り切ったか、その後どうなったか、といったことが手際よくまとめられており、この部分だけでも読みごたえありでした。



・個々作品の解説

 続いて個々の作品の紹介に入り、原作の紹介・ゲームブックの内容の紹介・備考、の三つの項目が記載されていますが、ファミコンゲーム原作のゲームブックが多数を占めつつも、そのほとんどが「前史」「外伝」「続編」と原作ゲームに関係ないものばかりという状況に苦言を呈していて、そのあたりの辛辣な評価が不快ではなく却って痛快だったりします。

 またゲームブックの説明のために、原作となったゲームにもかなり詳しく触れており、そういう意味で意図せずしてファミコンゲームの解説本としても結構面白い、という側面があったするのも儲けた気分でした。「未来神話ジャーヴァス」への批評なんか、ゲームブック関連部分抜きでも面白かったりしましたし。

 また、基本的に辛い評価が多いだけに「この作品は手に取ってほしい」的な好意的な評価が下されていると、物凄い名作感が感じられたりしましたね。

 個人的には「逆襲のシャアゲームブックの批評で、シャアの行動を「若い女の子を道連れにして不幸に巻き込む『いつものシャア』である」とか皮肉めいて書いているのがバカウケしました(笑)


 また備考で、製作にかかわった人物の当時の立ち位置や現在の状況などがなかなか詳しく説明されていますが、漫画「ドラゴンハーフ」とかで有名だった見田竜介氏が不敵万才の名前でイラストを描いているとか、ナイトライダー本のイラストを描いている人が、のちにアニメ業界で色々デザインの仕事をしている武半慎吾氏だった、とか小ネタも豊富で、そういう意味でも堪能できました。


評価

 大満足。「別にケイブンシャゲームブックなんか興味ないですし……」という人でも、ゲームブック好きなら楽しめる事請け合いです。
 
 
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