感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第109話(シーズン5 第5話)「“山猫”の正体」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第109話 “山猫”の正体 Flight (シーズン5 第5話)

 

あらすじ

“山猫”という殺し屋に大統領を暗殺させ、次期政権を奪おうとする保安長官。フェルプス(ピーター・グレイブス)たちはニセ航空事故で長官を追い込み、巧妙な作戦で山猫の正体を吐かせようとする。

※DVD版のタイトルは「暗殺スパイ「山猫」」。


【今回の指令】
 今度の水曜日にアメリカ・ワシントンで、南米某国のロハス大統領(Adolfo Rojas)が重大演説を行う予定である。ところがロハス大統領の部下で国家保安長官のフェラール(Manuel Ferrar, Chief of Internal Security)は、演説の前に「山猫」(Plato)という暗号名の殺し屋にロハス大統領を暗殺させ、政権乗っ取りを企んでいる。そして「山猫」の正体を知っているのはフェラールしかいない。IMFロハス大統領の演説開始までに「山猫」の正体を突き止めなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ダグ
 ゲスト:名も無き囚人役複数


【作戦の舞台】
 南米の某国


【作戦】
 IMFはフェラールがアメリカに向かうため飛行機に乗ったところを機内で眠らせ、病気だと偽って外に運び出す。そして救急車で隠れ家まで運ぼうとするが、途中で事故を起こしそうになってしまい、目撃者にナンバープレートを書き留められて警察に通報されてしまう。

 IMFは倉庫の中に飛行機のセットを作って、そこでフェラールを起こし、飛行機が事故を起こして墜落しそうだと思い込ませてから、また眠らせる。そしてまた別の場所に連れて行こうとするが、フェラール誘拐犯を追ってきた警察が倉庫に踏み込んでくる。ダナは逃げ遅れて警察に捕まり、フェルプスはやむなくダナを置いて脱出する。

 捕まったダナは尋問され、自分はアメリカのスパイだと説明するが、仲間の居場所は知らないので、ホテルで待っていれば連絡が来るはずだ、と言う。警察はダナが脱走したというニセ情報を流した後、ホテルの一室に連れて行き仲間からの接触を待つことにした。

 一方、フェルプスたちは今度は海岸でフェラールを目覚めさせ、ここは孤島でフェラールは飛行機の墜落で流れ着いたと信じ込ませる。そして自分たちは近くの島の刑務所に流刑になっていた囚人たちで、逃げ出してここに住んでいるのだと説明する。

 フェラールはその刑務所にスパイを潜入させており、パリスこそそのスパイだと信じ込む。(※フェラールが知っているのはスパイの名前だけで顔は知らない)。パリスはフェラールに、刑務所で仕入れた情報だと言って、「山猫」はアメリカの送り込んだスパイで、フェラールのクーデター計画をアメリカに知らせるつもりだと嘘を教える。また島から逃げ出すためにボートを用意しているとも説明する。

 慌てたフェラールはボートで逃げ出そうとするが、パリスが泣き言を言ってボートを渡さないので、仕方なくパリスに山猫の正体が「新聞記者ホセ・サントス」なので、自分の部下にそう伝えるように言い含めて逃がそうとする。それを聞いたフェルプスはワシントンに連絡を取り、次の瞬間フェルプスたちは姿を消す。フェラールが「孤島」を探索してみると、なんと住宅街のすぐそばにある海岸だと気が付き呆然となる。

 一方ダナはバーニーの手引きで逃走し、最後に落ち合ったIMFメンバーが車で逃走するシーンで〆。


監督: バリー・クレーン
脚本: ハロルド・リビングストン(原案: リー・ヴァンス)

感想

 評価は△。

 『対象を極限状況に追い込み、本人しか知らない秘密を聞き出す』というあらすじ自体は1~4シーズンに見られたパターンだが、展開がだるく、とてもまともに見ていられない駄作エピソードだった。第5シーズンのシナリオの質の低下を如実に示した一作と言っても過言では無い出来栄えで、見ていて気分が暗くなりそうだった。


 序盤、IMFが飛行機内で薬でフェラールを眠らせたあと、カツラをかぶせて別人に見せかけ、病人だと言って機外に運び出す、という展開はそこそこ面白かったのだが、それ以降がおかしくなってきて、見ていてとてもついていけなかった。

 まずIMFは、飛行機から連れ出したフェラールを救急車に乗せ、秘密のアジトに向かうのだが、途中で自転車にぶつかりそうになってしまい、その自転車に乗っていた男に救急車のナンバープレートを目撃され、あまつさえその場で警察に通報されてしまうのである。おかげでIMFが倉庫でフェラールを騙しているところに警察がやってきて踏み込まれてしまう。こういうアクシデントだらけの展開になる時点で、もう過去のスパイ大作戦らしさを放棄していていて、見ていて全く楽しくない。

 さらに警察にダナが捕まってしまうのだが、その理由というのが、その場に残してたテープを回収しようとして、フェルプスの制止を無視して取りに戻ったため逃げ遅れた、というのだから、もう何をか言わんである。

 番組スタッフは、第5シーズンは、それまでのIMFが精密機械の如くミッションを遂行していくパターンを放棄し、様々なトラブルを引き起こすことで視聴者を引き付けようとしたらしいが、初期から見ていた視聴者としては、IMFリスク管理もできない無能な組織に転落していくさまを見せられているようで、とても我慢できない展開だった。

 その後、フェルプスたちが「孤島」で囚人のふりをしてフェラールの相手をしている間に、ダナは警察に尋問されるという、二つのストーリーが交互に展開されるが、どっちの展開もだるさが漂い、退屈極まりなかった。

 最後にパリスたちは上手くフェラールに口を割らせた後、とっとと姿を消し、最後にフェラールが自分が孤島などではなく住宅街のすぐそばにいることに気が付く、という展開は、やはり今まで散々見てきたパターンだったが、もう痛快さも何も感じなかった。こんな低品質エピソードを見ていると、過去のシーズンのシナリオが如何に出来が良かったかを痛感させられた。


 ところで、今回IMFが正体を暴こうとやっきになっている殺し屋だが、日本語では「山猫」と呼ばれているが、原語では「Plato」となっている。これは英語では「哲学者プラトン」、スペイン語では「料理」で、原語版のコードネームも意味が解らないが、それがなぜ和訳されると「山猫」に化けてしまったのかも訳が分からなかった。

 とまあ、謎と不満しか残らない回であった。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが遊園地に行き、乗り物の操作員と会い言葉を交わしてから、鳥かごのような乗り物に乗りこみ、空中にぶら下げられる。フェルプスは乗り物の中に隠されていた大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。来る水曜日、南米のロハス大統領が我が国に招かれて重大演説を行う。ところが、その演説が始まる前に、ロハス大統領を暗殺し政権乗っ取りを企んでいるのが、その国の現国家保安長官フェラールである。大統領暗殺の命を受けたのは、暗号名を「山猫」という殺し屋で、その正体を知っているのはフェラールだけである。以上の情報にもかかわらず、ロハス大統領はわが国訪問をやめようとはせず、またわが国も今さら招待を取り消すわけにもいかない。

 そこで君の使命だが、殺し屋「山猫」の正体を掴み、それをロハス大統領の演説が始まるまでに、ワシントンへ急報することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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