感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第111話(シーズン5 第7話)「日米関係を護れ!」


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【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第111話 日米関係を護れ! Butterfly (シーズン5 第7話)

 

あらすじ

実業界の重鎮トシオ・マサキは私恨から実の妹を殺害し、その罪を妹の米国人夫に着せ、日米関係を悪化させようと企む。異国の地、日本を舞台にウイリー(ピーター・ルーパス)が体を張り、大胆なパリス(レナード・ニモイ)の変装がトシオの野望を打ち砕く!

※DVD版のタイトルは「"怪物"粉砕作戦」


【今回の指令】
 日本在住のビジネスマンで、日米経済協定評議会の責任者(chairman of the new Economic Treaty Council)のハリー・ケレム(Harry Kellem)が、自分の妻を殺した容疑で逮捕された。しかし真犯人は、ケレムの妻の兄であり、日本各界に影響力を持つ大物の某国人マサキだと思われる。マサキは親日家であると同時に反米主義者であり、日米関係を破壊する腹だと推測される。IMFはケレムの無実を証明し、マサキの企みを粉砕しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 日本


【作戦】
 冒頭。マサキ邸。人々が庭で行われている柔道の試合に興じている間に、マサキは妹のミヨシを別の場所に呼び出し、刺し殺してしまう。やがてミヨシの夫ハリー・ケレムがやってきて妻の死体を発見するが、すぐに妻殺しで捕まってしまう。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 IMFは日本に乗りこみ、まずパリスが歌舞伎役者ナカムラタイゾウとしてマサキ邸に入り込み、マサキの姪であり、ケレムとミヨシの娘であるノブに接近する。ノブは母親が殺され父親が殺人容疑で逮捕されたことにショックを受けている状態である。

 パリスはさりげなくマサキに「アメリカ人の柔道家(ウィリー)が日本人の挑戦者を募っているが、けしからん」と新聞の記事を見せる。それを見て怒ったマサキは、ボディーガードとウィリーの試合を早速行わせる。ウィリーとボディーガードが試合をして人を引き付けている間に、パリスとダナはそれぞれマサキとミヨシのマスクを被って変装して庭を歩き、それを屋敷の外からバーニーが撮影する。

 続いてダナはマサキに連絡し、殺人事件の起きた日に外から庭の映像を撮影していたので買い取ってもらいたい、と強請をかける。またダナはノブにも連絡し、フイルムを競売にかけるので欲しければ落札するようにと言う。

 ノブはパリスのアドバイスで早速警察に連絡し、アキタ警部はダナを尾行すると、ダナはマサキ邸に入っていったので警察も屋敷に乗りこむ。警部はマサキにそのフィルムを上映してくれと言うが、マサキは言い訳もできずフィルムをくしゃくゃにしてしまう。そして警部を買収しようとするが、警部はマサキを逮捕する。

 最後、ケレムは釈放され、IMFメンバーが車で立ち去るシーンで〆。


監督: ジェラルド・メイヤー
脚本: エリック・バーコビッキ&ジェリー・ラドウィグ(原案:シェルドン・スターク)

感想

 評価は△。

 IMFが日本に遠征してくる、日本人にとってはスペシャルなエピソードだが、内容は今一つで特に面白くも無かった。

 番組の序盤に日本の警視庁の外観を写した映像が放送されるが、もちろん日本ロケをしている訳もなく、その他のシーンは全てセットである。そして庭園に設置された台の上で柔道の試合が行われたり、畳の上に豪華な机と椅子が置かれていたり、埴輪の馬が美術品のように置かれていたり、と日本人にとっては違和感のある描写が目白押しである。多分中東やそのあたりを舞台にしたエピソードの際には、現地の人たちも同様に、異国を描写する設定にはいろいろ言いたいことが有ったのかもしれない。

 今回なんといっても傑作なのは、パリスが堂々と日本人の歌舞伎役者ナカムラタイゾウとしてマサキの屋敷に乗りこみ、誰もそれについて何も言わないことである。いくら何でもパリスが日本人という設定は無理がありすぎ、この一点だけでも今回のエピソードはストーリーが破たんしているとしか言いようがない。

 またIMFの作戦も、第5シーズンに入ってからは殆どひねりが無く、今回もまた偽のフィルムを餌にマサキに思わず犯行を自白させてしまうだけである。途中でマサキは「これは偽造フィルムだ。本物の私は手に傷が有るが、フィルムの中の人物は傷が無い」と食って掛かるが、ダナは「フィルムが粗いから見えないだけ……、ほら、ここに見えるじゃない」と強引に押し切ってしまう。

 以前のIMFならマサキの手の怪我などあらかじめ調べておいたに違いないが、このシーズンからはミッションの際下調べもろくにやっておらず、メンバーの口先でしのぐような体たらくである。マサキがダナに押し切られてフィルムが本物だと信じてくれなかったら、今回の作戦は失敗していたのではなかろうか。

 今回のサブタイトルの原題「Butterfly」とは「蝶」のことだが、この内容と蝶とどのような関係が有るのか全く不明である。

参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが港に行き、沖から戻ってきたモーターボートの操縦者に合言葉を言ってボートを借りる。そして沖に出てからボートを止め、足元の工具箱を開いて大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。そして指令を聞き終えた後、テープを海に投げ捨てる。

参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。日米経済協定評議会の責任者である、日本在住のハリー・ケレムは、この度妻殺しの容疑で日本の官憲に逮捕されたが、実はこれは大の親日家の某国人で日本の各界に隠然たる勢力を持つ一種の怪物的存在である、ケレム夫人の実の兄マサキがケレムに無実の罪を着せるための犯行であると我々は見ている。病的な反米主義者であるマサキは、それによって個人的な腹いせをするとともに、新しい経済協定による日米関係にひびを入れようという腹であると思われる。

 そこで君の使命だが、このマサキの意図を挫き、ハリー・ケレムの無実を立証することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。成功を祈る。
 
 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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