感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第112話(シーズン5 第8話)「国外脱出」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第112話 国外脱出 Decoy (シーズン5 第8話)

 

あらすじ

極秘情報を持つアンナと、それを狙う兄。フェルプス(ピーター・グレイブス)は彼女を極秘情報と共に亡命させるため、仕方なくアメリカのスパイを引き受ける役を演じ、敵側の注意を引きつける。次第に惹かれ合うフェルプスとアンナ。2人は無事、国境を越えられるか。


極秘情報を持つアンナと、それを狙う兄。フェルプス(ピーター・グレイブス)はアンナを極秘情報と共に亡命させるため、仕方なくアメリカのスパイを引き受ける役を演じ、敵側の注意を引きつける。次第に惹かれ合うフェルプスとアンナ。2人は無事、国境を越えられるか。

※DVD版のタイトルは「罠」


【今回の指令】
 昨年死んだ東側某国のカコスカ首相(Premier Kerkoska)は、国内にいる西側に友好的な人物のリストを娘のアンナ(Anna)に遺した。しかし、アンナの兄アレクセイ(Alexi)は、その情報を手に入れようと、妹を騙し共に西側に亡命すると申し出てきた。アレクセイの真意は、妹から機密情報を奪い取ると同時に、亡命を助けようとする西側工作員を捕える事である。IMFは、この状況において、アンナを亡命させ機密情報を入手しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 東側某国


【作戦】
 東側某国。兄のアレクセイは妹のアンナに、党に粛清されそうなので、もう自殺するしかないと拳銃を手に持って訴える。慌ててアンナは兄に、機密情報を持って一緒に西側に亡命しようと提案し、アメリカ大使館に向かう。そのあとアレクセイはペトロビッチ大佐と会い、機密情報を手に入れてやると笑いあう。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 IMFはまずパリスがあからさまにアンナと接触し、それを見てペトロビッチ大佐たちは、パリスがアメリカのスパイだと思い込み(事実そうだが)、厳重に監視する。一方フェルプスは妹役のダナと入国し、ビジネスマンとしてアンナたちに近づく。

 やがてバーニーはフェルプスに「妹(ダナ)を誘拐したので、返してほしければ自分たちのいう事を聞け」と脅す芝居をして、フェルプスも仕方なく従うという演技を始める。そしてフェルプスはアメリカのスパイたちとアンナたちの連絡役になり、ペトロビッチ大佐たちはその全てを把握していると信じ込む。アンナとフェルプスはやがて親密な関係になる。

 やがてフェルプスはアンナとアレクセイに一緒に葬儀会場に行こうと言い、アンナは唐突にシガレットボックスを持っていくと言い出す。アレクセイはその箱に機密情報が入っていると見抜き、箱を壊し、中のオルゴールの機械を見て曲が暗号だと看破する。しかしそこにアレクセイに変装したパリスが現れ、本物のアレクセイはフェルプスに失神させられる。

 一行は葬儀会場に入ると、ペトロビッチ大佐たちの監視をごまかし、フェルプスとアンナは霊柩車で会場を脱出する。アレクセイ(実はパリス)は、アメリカのスパイたちが自分たちを縛り上げてアンナを連れ去ったとウソを伝える。慌ててペトロビッチ大佐たちは車で追跡するが、すぐさま霊柩車の中からゴーカートのような特殊車両が飛び出し、フェルプスとアンナはそれに乗って国境警備の柵の下を通り抜けて西側まで脱出してしまう。

 最後。アンナは自由であることに戸惑うが、フェルプスになれるまで待っていてほしいと頼み、フェルプスはもちろんと答える。


監督: セイモア・ロビー
脚本: ジョン・D・F・ブラック


感想

 評価は△。

 第1~4シーズンに頻繁に登場した「東側の要人を亡命させるエピソード」だったが、ミッションよりフェルプスと亡命対象のアンナと恋愛がクローズアップされており、満足には程遠い内容だった。


 IMFが最初から敵に監視されていることを承知でターゲットを亡命させる、という困難なミッションで、わざと相手にばれるように作戦を展開し、敵方を安心させておいて、その裏で真の計画を進める、という展開はそれなりに面白い。

 葬儀会場でフェルプスがカーテンの向こう側で、自分そっくりのダミー人形をボンベで膨らませて身代わりにして座らせ、そのあと床を四つん這いで逃げ出す、といった展開も、かつてのスパイ大作戦のノリを彷彿とさせてくれたりもした。

 しかし、今回のエピソードも、ミッションの描写には重点を置いておらず、フェルプスとアンナの恋愛が燃え上がるさまが繰り返し描かれ、かつてのスパイ大作戦のノリが好きな視聴者としては辟易させられた。

 クライマックスは、霊柩車から飛び出した二人乗りのゴーカート的車にフェルプスとアンナが乗って道路を疾走する。そして追手との猛烈なチェイスを展開するが、ゴーカートは車高が低いため、国境に置かれている横棒(バー)の下をそのまま潜り抜けて走り去ってしまい、追手が呆然とそれを見送る、というシーンはいささか面白かった。

 もっともその後、西側に脱出したアンナが、自由という物がよく解らなくて不安だと訴え、フェルプスは君の事を待っているとと手をしっかり握りしめるシーンでエンド、ということで「こんなのは求めているスパイ大作戦じゃない」感が有った。このシーズンのスパイ大作戦は実に安っぽいドラマになり果ててしまっているのが、毎度のことながら不満である。

 今回のサブタイトルの原題「Decoy」とは「罠にかける」あるいは「おとり」の事。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが山のふもと(?)に行き、子供たちを率いている男に合言葉を言う。男は子供たちを引き連れて山を登っていき、後にリュックが残されている。フェルプスはリュックから大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。昨年カコスカ首相は、その娘アンナに極秘情報を託して死んだが、その極秘情報を見れば、かの国においてわが西側世界に友好的な者の氏名がすべて解るという。一方、わが国にアンナとその兄のアレクセイが亡命したい旨を寄せてきたが、これはアンナの持っている極秘情報を入手したいがための、と同時に、亡命を助けるわが国の諜報員を捕らえるための、アレクセイの罠である。

 そこで君の使命だが、その罠を承知で潜入し、極秘情報を入手するとともに、アンナを無事亡命させることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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