【ゲームブック】感想:「ALL ABOUT GAMEBOOK Vol.6 エトセトラ編Part.1」(2017年)

冒険王―総統の遺産を探せ! (アドベンチャー・ゲームコミック)
 

ALL ABOUT GAMEBOOK VOL.6 エトセトラ編Part.1 オールアバウトゲームブック6 - ゲームブックのオンラインショップ トレーダーズ・ギルド
http://tradersguild.cart.fc2.com/ca45/1996/p-r45-s/


■ 概要
世界文化社東宝出版、白泉社大都社アポリア出版、曙出版、秋田書店飛鳥新社の各出版社のゲームブック全18作品を収録して解説した、当店オリジナルのデータベース書籍。
A5判 レーザープリンター出力本 カラー印刷 全88ページ。


■ 内容
幻の一品とも言うべき東宝出版のゴジランドゲームブックから、疑惑の著者満載の世界文化社RPGロマンス「愛のアドベンチャー
かのフーゴ・ハル氏が嘆いたという刀根氏が手がけたアポリア出版の奇書「SF'環状世界」
色々と噂の多い小森豪人(馬場祥弘)氏が手がけた魔界城の冒険など、コレクター垂涎の稀少品を集約して完全データベース化。
ゲームブック界に燦然と輝く(?)珍書・奇書の赤裸々な実体とは?

 

オールアバウトゲームブックとは?

 「ALL ABOUT GAMEBOOK」(オールアバウトゲームブック)シリーズは、中古のゲーム書籍やTRPGを扱うオンラインショップ「トレーダーズ・ギルド」のオリジナル商品の書籍で、1980年代に数年だけ大ブームとなったゲームブックのカタログ本です。

 内容は、まず対象の出版社がブーム当時どういう会社だったかという概要から入り、その会社のゲームブックの傾向を分析して、どのような方針で当時のブームに対応したかを記述。さらにブランドが有れば、そのブランド毎にも傾向を説明、そして最終的にブーム時やブームが去った後にどのように対応したか、そして現在会社がどうなったか、という事を説明しています。

 ここまででも十分な読みごたえが有りますが、その後が本番で、個々の作品毎に、タイトル・作者・発売日などの基本情報から入り、さらに内容紹介・評価・備考などこれでもかと詰め込んでいます。原作付きの作品の場合には、その原作についても十分に触れられているので、もう「至り尽くせり」としか言いようが有りません。
 

本巻の内容

 初版:2017年12月8日。

 「火吹き山の魔法使い」の大ヒット後、日本中の出版社が我も我もとノウハウも何もないままゲームブックの出版に飛びつきましたが、それなりに成功した会社と同時に、ほんの数冊出版しただけで撤退してしまった会社も少なくありませんでした。そういう会社から発売された、知名度ほぼ皆無的な作品を取り上げた巻です。


 本書で取り上げられているのは

世界文化社
東宝出版
白泉社
大都社
アポリア出版
曙出版
秋田書店
飛鳥新社

の各社。


世界文化社

 4冊。海外TSR社が出版していた『テーブルトークRPGD&D」の世界を舞台にした恋愛もの』を「愛のアドベンチャーゲームブック」というタイトルで発売。テーマからしてニッチ過ぎたが、さらにイラストも海外のD&D系イラストレイターのものをそのまま使ったため、日本人は全く受け入れられず。


東宝出版

 3冊。あの東宝の関連会社が「ゴジランドゲームブック」というブランドで漫画ゲームブックを発売。しかしテーマが恋愛・SF・探偵物と、すべてゴジラと何の関係も無い肩透かしの物ばかりで、すぐに撤退。


白泉社

 3冊。少女漫画誌花とゆめ」などで有名なあの会社。「アドベンチャーゲームコミック」と銘打ったブランドで参入。それぞれ時代劇物、冒険、オカルト、という統一感の無いテーマで、即座に撤退。


大都社
 3冊。あの「ファンロード」を出版していたこともある会社。「チャレンジゲームコミックス」という漫画ゲームブックで参入。テーマは、アクション、ナンパ、ラリー。即座に撤退。


アポリア出版
 2冊。「アポリア・プレイブック」ブランド。第一弾「SF'環状世界」は、面白いとかダメという以前に、内容が異常すぎて読者に理解不可能な狂気の一冊。


●曙出版
 1冊。「PAPER EXPERIENCE コンバット・ゲーム 君はコマンド!!」というコミックゲームブックを出版。内容は第二次大戦の欧州戦線を振台に、アメリカの兵士として戦っていくという物。


秋田書店
 1冊。「少年チャンピオンホビー」ブランドで゛「魔界城の冒険」というファンタジー物を一冊だけ発売。


飛鳥新社
 1冊。「アスカゲームブック」ブランドで「妖魔ハンター」という魔界都市新宿の真似っぽい本を出した。


感想

 マイナー過ぎて聞いたことも無いような本のオンパレード。(「SF'環状世界」はその異常ぶりが話題になってそれなりの知名度はありますが……) ゲームブックブーム勃発時の1985年頃は、本の出版経験がある会社はだれもかれも「柳の下のドジョウ」を狙って参入していたんだなぁとしみじみ実感できました。
 
 

他の巻の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「オールアバウトゲームブック」シリーズまとめページ

perry-r.hatenablog.com
 
 
幻影の島 (愛のアドベンチャー・ゲームブック (1))