【科学】感想:NHK番組「神の数式 完全版」第4回(最終回)「異次元宇宙は存在するか ~超弦理論“革命”~」(2013年12月27日)

神の数式 完全版 DVD-BOX

NHKオンデマンド | 神の数式 完全版 第4回 異次元宇宙は存在するか~超弦理論“革命”~
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2014053662SA000/
放送 NHK BS1。全4回。

【※以下ネタバレ】
 

この世は何でできているのか。人類の究極の謎を解くとされる「神の数式」。ヒッグス粒子の発見で、その輪郭に迫った天才達の100年の苦闘を描く、4回シリーズ完全版。


出演者ほか
【出演】オジェル・ノザキ,【語り】小倉久寛


人類の思索の歴史。それは、全宇宙の謎を解く唯一無二の“神の数式”を追い求めた歴史でもあった。ニュートンアインシュタイン以来、科学者たちは「あらゆる自然現象は、最終的には一つの数式で説明できるはずだ」と信じてきたのだ。そしてノーベル賞を受賞したヒッグス粒子の発見によって、人類はその究極の数式の輪郭をつかもうとしている。2013年9月に放送し大きな反響を得た番組を4回シリーズの完全版として届ける。

 
前回 「完全版 第3回」
perry-r.hatenablog.com
 

第4回(最終回) 異次元宇宙は存在するか~超弦理論“革命”~ (初回放送:2013年12月27日)

 

内容

神の数式 完全版 第4回「異次元宇宙は存在するか~超弦理論“革命”~」
[BS1] 2018年3月17日(土) 午後1:00~午後1:50(50分)


宇宙はなぜ始まったのか。アインシュタインやホーキングら物理学の巨人たちが挑んできた究極の謎。新たに登場した超弦理論は果たしてそれを説き明かす「神の数式」なのか。


ヒッグス粒子の発見によって、人類の「神の数式」の探索は新たな段階に入った。残された最後の難問「宇宙誕生の謎」に迫る物理学者たちの闘いを追う。素粒子の世界を支配する素粒子の数式と、大宇宙を統べる数一般相対性理論の統合は、アインシュタイン以来の夢だった。そのカギを握るのがブラックホール。新たに登場した超弦理論がその唯一の統合理論ではないか、と注目されている。車いすの天才ホーキングら天才たちの苦闘を追う


【出演】オジェル・ノザキ,【語り】小倉久寛

 
●異次元は存在するか

 「神の数式」かと思われた超弦理論だったが、現実と食い違っている部分が有り、大抵の学者たちからは無視された。その問題とは「次元」。

 現代物理学では重さを作り出す粒子の重さは「ゼロ」とされているが、超弦理論では粒子の重さが存在してしまい、ゼロにならない。超弦理論でこの粒子の重さをゼロにしようとすれば、この宇宙は「4次元」ではなく「10次元」と考えなければならなかった。しかしこの宇宙が「縦・横・奥行き・時間」の4次元であることは明白で、そのため超弦理論は長い間見向きもされなかった。

 しかし最新の研究では、この宇宙には4次元より上の次元も存在するというのは常識となっている。その次元は素粒子のミクロの世界に存在するため、我々には意識することは出来ないのである。科学者はその次元を「カラビヤウ多様体」と呼んでいる。

 ミクロ世界に異次元が有るとはどういうことか? 例えば綱渡りをしている人がいるとすると、その人は前後にしか移動できない。つまり綱は一次元の世界である。ところがその綱にテントウムシが止まったとすると、小さな虫からすればその綱は平面と見なせる。つまり二次元となる。

 また広大な野原は人間にとっては二次元だが、地面に近づけば草が生えている。つまり小さなテントウムシにとっては高さが有る三次元世界なのである。このようにミクロの世界にはより上の次元が隠されているのである。



●隠されていた完全数

 また、超弦理論の提唱者の一人ジョン・シュワルツは、超弦理論と、宇宙を扱う「一般相対性理論」・ミクロの世界を扱う「素粒子の数式」との関係を突き止めるため、式を細かく分解しはじめた。すると「496」という数字が何度も現れた。496とは「完全数」の一つで、古代ギリシャ時代から天地創造に関わる数値として崇められていた。

 さらに最終的に、超弦理論の式の中に、「一般相対性理論」「素粒子の数式」の両方が含まれていることが確認された。これをきっかけに、超弦理論は宇宙の全てを説明する「神の数式」だとして世界中の研究者が飛びついた。



●ホーキング・パラドックス

 しかし、車椅子の天才」ホーキング博士は、超弦理論にある難題を突き付けた。博士の理論ではブラックホールは長い間に蒸発して消滅する。蒸発するという事は熱が有るという事である。しかしブラックホールの奥底は重力で素粒子は完全に動けないのだから、熱が起きるはずがない。この矛盾は超弦理論では説明できないと指摘したのである。

 しかしこの難題もやがてクリアされた。輪ゴムのような「弦」は、10次元世界では多数の弦がくっついた膜(Dブレーン)だと見なし、それが4次元世界では折りたたまれて点として存在すると考える。そしてブラックホールの奥底にも折りたたまれた異次元が存在するので、この膜は異次元を動き回り、また膜の中の弦も動く、と想定する。この動きで熱が発生すると考えると、つじつまが合ったのである。

 2004年、ホーキングは自らの誤りを認め、ホーキング・パラドックスは解決された。



超弦理論の次へ

 物理学者エドワード・ウィッテンは、超弦理論をさらに発展させた「M理論」を提唱している。M理論は宇宙は11次元だと考え、また10の500乗という数の宇宙が今も生まれ消えているという。物理学者たちは神の理論を求め今も研究を続けている。


感想

 
 2013年9月21日・22日に、NHK総合NHKスペシャル枠で「神の数式」という番組が二夜連続で放送されたあと、同年12月に最新の情報を加えて全4話にアップグレードした「完全版」が全4回でBS1で放送されました。「完全版」の後半第3・4回は「車椅子の天才」ホーキング博士が登場していたのですが、先日3月14日に博士が亡くなったので、この度再放送されました。

 NHK総合で二夜連続バージョンを見た時、この番組はすんごい面白いと思っていたのですが(その時の感想がこちら)

感想:NHK番組「NHKスペシャル 神の数式」『第1回 この世は何からできているのか ~天才たちの100年の苦闘~』(2013年9月21日(土)放送)
http://perry-r.hatenablog.com/entry/20131006/p22

感想:NHK番組「NHKスペシャル 神の数式」『第2回 宇宙はどこから来たのか ~最後の難問に挑む天才たち~』(2013年9月22日(日)放送)
http://perry-r.hatenablog.com/entry/20131006/p21

 今回の「完全版・第4回」は「NHK総合版・第2回」を「BS1完全版・第3&4回」と仕立て直したバージョンの後半に当たり、既に一度見た内容ではありましたが、この手の宇宙論話は大好物なのですんごく面白かったです。数学も物理学もさっぱりですが、「全てを説明できる究極の理論」云々というのは門外漢でもロマンを感じますね。
 
 

参考

NHK総合版 第1回
perry-r.hatenablog.com
NHK総合版 第2回
perry-r.hatenablog.com

 
神の数式 完全版 VOL.2 [DVD]