感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第150話(シーズン7 第1話)「ハスラー対決!」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第150話 ハスラー対決! Break! (シーズン7 第1話)

 

あらすじ

潜入中に身元が割れ殺された仲間の捜査官が着けていた時計型カメラの情報を奪回するため、ニューオーリンズIMFリーダーのフェルプス(ピーター・グレイブス)がビリヤードの達人に扮し近づき、ビリヤードのイカサマ賭け勝負に誘い込む。

※DVD版のタイトルは「対決!ハスラーの決戦」。
 
 
【今回の指令】
 ダッチ・クレッブ(Dutch Krebbs)は、アメリカ南部における最大の非合法賭博組織を支配している。当局は情報収集のため潜入捜査官フレッド・ステンロック、通称トレド(Fred Stenrock, known as Toledo)を送り込んでいたが、クレッブの用心棒プレス・アレン(Press Allen)に殺害されてしまった。その際トレドは腕時計型カメラに重要な証拠書類を撮影し、マイクロフィルムに収めたと思われる。IMFはフィルムを回収し、また組織を壊滅させなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:ミミ


【作戦の舞台】
 アメリカ国内・ニューオリンズ


【作戦】
 冒頭。トレドがこっそり重要書類を撮影しているところにクレップとプレスが現れ、プレスがトレドを射殺する。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 IMFはプレスの元恋人ミミ・デイビスからクレップやプレスの情報を教えてもらう。ミミはプレスに嵌められて4年も刑務所にいる羽目になったため、プレスとクレップを恨んでおり、作戦にも参加すると申し出る。バーニーは、ビリヤードの手玉(キュー・ボール)に仕込んだ機械とコンピューターを組み合わせ、ビリヤードの実力をアップさせる装置を用意する。

 フェルプスは流れ者のハスラーとして、恋人役のミミと共にクレップの店に行き、装置の力でビリヤードの達人を演じる。クレップはフェルプスをお抱えハスラーとして雇い、フェルプスはすぐに信用を得る。またウィリーもクレップに雇われ、プレスの子分となる。

 ミミはプレスに、フェルプスが冷たくなったので秘密をばらしてやると言い、フェルプスのビリヤードの強さは、実はバーニーが車に積んだコンピューターにあることを教える。

 その後、フェルプスたちは強盗に化けて、プレスが店から回収していた売上金を強奪する。プレスはクレップから盗まれた金の弁償を迫られ、そこにバーニーが現れ一緒に大金を稼ごうと持ち掛ける。二人はクレップの商売敵のシャーキーのところに行き、フェルプスのコンピューターのイカサマの事を明かす。その上で、シャーキーがクレップにビリヤードの大勝負を持ち掛け、バーニーがフェルプスを裏切ってシャーキーの部下を勝たせて儲ける、という計画を立てる。

 そしてビリヤード勝負が始まるが、バーニーはシャーキーの部下を勝たせると約束しておいてから、勝負の途中で車ごと消えてしまう。フェルプスは最後は手玉を普通の物にすり替え、機械を使わず自分の実力で勝利する。シャーキーはイカサマだといって手玉を調べるが、何も細工が無いので文句が付けられず、プレスに殺してやると言って立ち去る。またクレップは、シャーキーがフェルプスイカサマの事を知っているのはプレスがばらしたからだと気が付く。

 プレスはクレップとシャーキーの二人共を敵に回してしまい、身動きできなくなるが、ウイリーはプレスはクレップのシャーキー潰しの計画に利用されたのだという。そして大金が有ればやり直せると言って、死んだトレドの腕時計カメラに、ある人が大金を払うと提案するが、プレスはウィリーを追い払う。そしてプレスは、シャーキーに時計カメラの写真が有ればクレップを潰せるともちかけ、一緒にトレドの死体を掘り出す。しかしプレスが時計カメラを掘り当てたところで、IMFが銃を突き付ける。

 最後、新聞にクレップが起訴されたという記事が出ている。フェルプスはミミに、今回の任務で助けてもらったので、今後も力を借りたいと言い、ミミも喜んで了承する。


監督: ポール・クラズニー
脚本: サム・ローカ&ジェームズ・L・ヘンダーソン

感想

 評価は○。

 シーズン7の記念すべき第一話。IMFがビリヤード勝負に秘密メカを投入して作戦を遂行するという、見た目に派手なエピソードで、クオリティもまずまずだった。


 今回は、冒頭からシーズン6からとは様々な点で番組に変更が加えられており、かなり驚かされた。

 まず何といっても、長年親しんで来たテーマ曲が別バージョンに変更されてしまったのが大ショックだった。新バージョンは曲そのものは同じだが、かなり「軽い」メロディに変えられており、イメージがすっかり変わってしまっている。毎回あの勢いのあるテーマを聞いて番組視聴に向けて気分を高揚させるのが習慣だっただけに、何故曲をを変えてしまったのか残念で仕方がない。

 また曲を変更した影響か、テーマ曲と共に流れていた日本語ナレーション『スパイ大作戦。実行不可能な指令を受け、頭脳と体力の限りを尽くしてこれを遂行する、プロフェッショナルたちの秘密機関の活躍である』も無くなってしまい、悲しさ倍増だった。


 また番組の始まり方も変更になり、シーズン5~6では、
 

1)ターゲットの悪事シーン
2)フェルプスがテープを見つけて指令を受けとる
3)テーマ曲が流れる
4)部屋にメンバーを集めて打ち合わせし、作戦開始

 
 という流れだったが、今回から
 

1)テーマ曲が流れる
2)ターゲットの悪事シーン
3)フェルプスがテープを見つけて指令を受けとる
4)部屋にメンバーを集めて打ち合わせし、作戦開始

 
 と、番組開始早々テーマ曲が流れる構成に変更になっている。まあ元々シーズン1~4ではテーマ曲から始まる構成で、
 

1)テーマ曲が流れる
2)フェルプスがテープを見つけて指令を受けとる
3)部屋にメンバーを集めて打ち合わせし、作戦開始

 
 という流れだったので原点に戻ったと言えなくもない。


 さらに、冒頭のキャスト紹介ではケイシー役リンダ・デイ・ジョージが映し出されるが、劇中には一秒も姿を見せず、代わりにゲストのミミ・デイビス(バーバラ・アンダーソン)がケイシーの代役的ポジションで作戦に参加する。実はリンダ・デイ・ジョージはこのシーズンは産休を取っていてフル参加できなかったため、その代わりとしてバーバラ・アンダーソンが出演したそうである。


 今回の作戦におけるIMFの目玉は、久々に登場した秘密メカの「コンピューター誘導装置」である。仕掛けとしては、ビリヤードの白い手玉(キュー・ボール)に慣性を利用する装置を仕込んでコンピューターで誘導するというもので、また他の的玉にはそれぞれ特殊スプレーを噴射して印をつけ、台の裏側に基盤を取り付けておくと、離れたところに有るコンピューターの画面上に、台上の各玉の位置が表示される。

 使用方法としては、バーニーが画面上の各球の位置を見ながら最適のショットを決め、それをフェルプスに無線で伝え、フェルプスが指示通りに突くと、バーニーが手玉を操って最適な動きをさせ、これにより最終的にどんな難ショットでも成功する、というもの。手玉はともかく、的玉はスプレーを噴霧するだけでなんとかなるとか、基盤装置はスイッチ一つで消滅させられるとか、かなり雑にも程が有る設定だが、劇を盛り上げる小道具としてはなかなかに面白い。

 もっともバーニーによれば、この装置は元々のプレイヤーの能力を5パーセント引き上げるだけなので、そもそものフェルプスのビリヤード技術が必要となる、という微妙な装置ではある。しかしまあ、突かれた手玉が傍目に気が付くほどに異常な動きをしたら問題なので、この程度の数値が現実的な落しどころかもしれない。

 この秘密メカは、フェルプスのビリヤード能力を高めるためだけではなく、この装置の存在そのものがターゲットのプレスを罠に引きずり込むためのエサになっており、そういう意味でシナリオがなかなか練られていたと感心した。

 また劇中でビリヤード勝負が展開されるだけでも見た目に華やかで、過去のカジノでの勝負をテーマにした回とは違った面白さが堪能できた。ちなみに劇中ではフェルプスのビリヤードシーンは、別人ではなく、フェルプス役ピーター・グレイブス自身がプレイしているように見えたのだが、実際の腕前はどうなのか、いささか気になるところではあった。

 IMFが秘密メカと計略で悪党を上手く嵌め、首尾良く作戦を成功させる、という基本パターンが上手く描かれており、スタートとしては上々のエピソードだったと言えよう。


 今回のサブタイトルの原題「Break!」とは、ビリヤードの最初の「ブレイクショット」の別の呼び方。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが建物の道路に面したテラスのようなところを歩いてきて、絵を描いている女性に合言葉を言うと、女性は絵や荷物を残して立ち去る。フェルプスは置いてある道具箱を開け、中から大きめの封筒を取り出し、また箱の中のオープンリール式テープレコーダーのスイッチを入れる。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。この男ダッチ・クレッブは、南部における最大の非合法賭博組織を支配している。当局は情報収集のため捜査官フレッド・ステンロック、通称トレドを潜入させていたが、ついに発覚、クレッブとその用心棒プレス・アレンに殺されてしまった。ところで、その時トレドは重要な証拠書類を撮影したマイクロフィルムを腕時計の中に隠し持っていたと思われる。

 そこで君の使命だが、そのマイクロフィルムを回収し、あわせて組織を壊滅させることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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