感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第153話(シーズン7 第4話)「愛しのレオナ」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第153話 愛しのレオナ Leona (シーズン7 第4話)

 

あらすじ

犯罪組織に潜入していた特別捜査官パーネルの盗聴がバレて、捕われの身に。捜査官救出のため犯罪組織幹部のエピックとアポロを対立させようと、ケイシー(リンダ・デイ・ジョージ)はエピックの亡き妻に扮し、亡霊となって現れる。

※DVD版のタイトルは「極秘指令地獄からの救出」。
 
 
【今回の指令】
 政府の秘密捜査官ルー・パーネル(Louis Parnell)は、シンジケート幹部の一人マイク・アポロ(Mike Apollo)の右腕にまで上り詰めたが、36時間前に正体がばれ、どこかに連れ去られてしまった。IMFはパーネルの居場所を探し出し、救出しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。パーネルがアポロとの会話を録音していることがばれ、どこかに連れていかれる。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 シンジケート幹部で、アポロの親友にして仕事上のライバルであるジョー・エピックは、聖パトリックデイに妻レオナを事故で亡くしていた。IMFは聖パトリックデイにアポロとパーネルが仕事でどこかに出かけたことを利用することにした。

 フェルプスは保険調査員という設定でエピックを訪ね、エピックが生命保険金目当てで妻レオナを殺したと決めつけ、証拠をつかんでやると言う。またバーニーたちはエピックの家に忍び込んで偽の心霊現象を起こし、ケイシーはレオナの幽霊に扮して、復讐してくれと訴える。

 そのあとフェルプスはエピックにレオナは浮気していたらしいという偽情報を伝え、エピックは独自に調査を始めるが、IMFが用意した偽の証拠をつかまされ、レオナはアポロと浮気していたと信じ込んでしまう。一方、アポロはエピックの弱みを握ろうとフェルプスを捕まえ、フェルプスはエピックが自分と組んで縄張りを広げる計略を進めている、と嘘を伝える。

 エピックは緊急幹部会を招集し、アポロは裏切り者で、妻のレオナと浮気していた上に殺してしまったと告発する。しかしアポロは逆に、エピックが言いがかりをつけて自分を失脚させ、縄張りを奪おうとしていると反論する。その場に呼び出されたフェルプスは、レオナは殺された疑いが有り、犯人は夫か浮気相手かどちらかだと言う。

 アポロは自分の無実を証明するため、レオナが死んだ聖パトリックデイには自分は部下のパーネルと一緒にいたのでアリバイがあると言い、パーネルを連れてこさせる。その瞬間、フェルプスの合図で警官隊が踏み込み、幹部たちは一網打尽にされ、パーネルは救出される。フェルプスは連行されるエピックに、レオナの浮気は全て作り話だと言う。


監督: レスリー・H・マーティンソン
脚本: ハワード・ブラウン

感想

 評価は○。

 IMFがターゲットに偽の心霊現象を見せて心理的に揺さぶっていく、という愉快系のエピソード。IMFは意外とこの手のオカルト的な作戦が好みらしく、毎シーズンに一回は幽霊話が登場するが、今回もなかなか面白い話に仕上がっていた。
 
 今回のシナリオの面白い所は、IMFはターゲットのマイク・アポロに直接何かを行うのではなく、一見全く関係ない幹部仲間のジョー・エピックの方に策略を仕掛けていくところである。そのため、ただでさえ難解なIMFの計略の目的が今回はより分かりにくくなっており、最後まで視聴者をヤキモキさせてくれた。それだけに、クライマックスで、殺人容疑で告発されたアポロが、アリバイの証人としてパーネルを連れて来る、という展開は、ようやくIMFの狙いが解って、あっと驚かされると同時に非常に痛快だった。

 今回はIMFの作戦がいちいち面白く、まず前半はエピックの家にマイクやカメラを仕掛けて、人工的に心霊現象を引き起こすオカルト作戦が楽しい。ケイシーが死んだエピックの妻レオナに扮し、青白い映像効果を付けて鏡に顔を写し、エピックに復讐を訴えるシーンなどは、種が解っている視聴者からするともう爆笑物だった。

 後半は、フェルプスが保険調査員、ウィリーがタクシー運転手、バーニーがアパートの門番、にそれぞれ扮し、全員でグルになってエピックにレオナの浮気を信じ込ませていくという展開が、これまたたまらない面白さだった。フェルプスは、無礼だが実績は十分なベテランの保険調査員というキャラクターでエピックに付きまとっていく辺りが、なにやら探偵ドラマの主人公を連想させて、実にいい味を出していた。

 今回の話は、あまり大仕掛けを必要としない展開のため、舞台劇として演じても面白いのではないか、と感じさせられた。1~3シーズンの頃のエピソードと比較すると、かなり作戦のスケールは小さくなった感はあるが、これはこれで面白い話だったことも間違いなく、それなりに満足度は高いエピソードだった。

 ケイシー役のリンダ・デイ・ジョージは、このエピソードの撮影当時妊娠していてもう産休直前のため、ほとんどのシーンはただ座っているだけだし、また不自然なくらい上半身しか写さない。そういう映像を見続けていると、スタッフの苦労が偲ばれてしまった。また今回は何故かバーニーが口ひげを生やしており、作戦上の変装なのかと思いきや、オカルト作戦で裏方として色々作業している時もそのままで、いまいち理由が不明である。

 今回の話でキーとなった「聖パトリックデイ」は、劇中では特に説明も無かったため視聴していて気になって仕方なかったが、調べたところ、聖人聖パトリックの命日「3月17日」、とのことである。


 今回のサブタイトルの原題「Leona」とは、当然エピックの死んだ妻レオナの事。解りやすいサブタイトルだった。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが美術品か何かの店の様な部屋に入り、置いてあった木箱を開き、中から大きめの封筒を取り出すと同時に、箱の中のオープンリール式テープレコーダーのスイッチを入れる。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。写真はシンジケート傘下の強力なファミリーのリーダー、マイク・アポロと、彼の右腕として信頼されてきた、実は連邦政府の秘密捜査官ルー・パーネルである。ところがパーネルは素性が発覚し、36時間前にいずこかへ連れ去られた。

 そこで君の使命だが、パーネルを捜し出し救出することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com