感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第169話(シーズン7 第20話)「ナイトフォール計画」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第169話 ナイトフォール計画 The Pendulum (シーズン7 第20話)

 

あらすじ

ペンデュラムという名の秘密組織が合衆国軍部を狙った“ナイトフォール”という作戦を計画。そのメンバーの1人にケイシー(リンダ・デイ・ジョージ)が近づき、より強い権力を持つグループへ誘う振りをして彼を組織から離脱させようと目論む。

※DVD版のタイトルは「暗殺計画ナイトフォール」。
 
 
【今回の指令】
 ガナー・マルストロム(Gunnar Malstrom)は、アメリカの支配を企む秘密結社ペンデュラム(the Pendulum)の幹部である。ペンデュラムは、暗号名ナイトフォール(Nightfall)なる作戦を開始したが、その内容は不明である。IMFはナイトフォール作戦を阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:無名のメンバー多数


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。マルストロムたちがアメリカ軍のウェストン将軍を射殺し荒地に埋める。そのあとマルストロムが仲間のところに行くと、ウェストン将軍の偽物が座っている。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 ケイシーはマルストロムに接近してすぐに親密になるが、突然合格だと言って、ペンデュラムの一員であることを承知のうえで、自分たちの「組織」に参加するように誘う。そして組織の本部という設定の建物に連れていくと、わざとマルストロムに建物内部をうろつかせる。マルストロムは、ケイシーたちの組織が、戦争を背後から操り、兵器の売買で大儲けしている、世界的な規模の秘密組織だと信じ込む。

 バーニーは、秘密を見られたから代わりにナイトフォール計画について教えろと脅し、嘘発見器を仕込んだ椅子に座らせて色々と質問する。そしてIMF嘘発見器の反応から、ナイトフォール計画とはウェストン将軍暗殺計画の事だと勘違いしてしまう。

 フェルプスは組織の「チーフ」と名乗り、マルストロムに、ペンデュラムの存在は自分たちの組織の邪魔になるので吸収するつもりであり、ナイトフォール計画を中止してくれたら、幹部として迎え入れてやると誘いをかけてから時間を与える。

 ウェストン将軍の偽物は、部下役のペンデュラムのリーダーとともに将軍の自宅に入り込み、統合情報部の高官たちに、会議のため集まってほしいと連絡する。ナイトフォール作戦とは、軍高官たちをまとめて爆殺するというテロ計画のことだった。

 フェルプスはウェストン将軍(実は偽物)に危険を知らせに行くが、偽ウェストン将軍は、フェルプスに会議に同席して護衛してほしいと持ち掛ける。一方、バーニーたちはナイトフォール計画をより詳しく知るため、わざとマルストロムを逃がす。マルストロムはすぐさまウェストン将軍の屋敷に向かい、偽ウェストン将軍とリーダーは鞄に隠した時限爆弾をセットしてから席を外す。

 マルストロムはリーダーに自分が今まで謎の組織に捕まっていたことを話し、ナイトフォール計画は中止して相手の組織を調べたほうが良いと進言する。しかしリーダーはマルストロムが裏切ったと思い、銃で撃ってしまう。

 その会話を盗聴していたバーニーは、ウェストン将軍が偽物であること、爆弾がセットされていることをフェルプスに伝え、フェルプスは鞄を窓の外に放り投げると、すぐに爆弾が爆発する。最後、担架で運び出されるマルストロムが、この場にフェルプスたちがいるのを見て目を見張るシーンで〆。


監督: ルイス・アレン
脚本: カルビン・クレメンス・ジュニア

感想

 評価は(ぎりぎり)○。

 IMFが秘密組織のテロ計画を阻止するため、偽のさらに巨大な組織の存在を信じ込ませる、という話で、設定的には面白くなりそうだったのだが、あいにく今一つ盛り上がらないまま終わってしまう、残念な回だった。

 今回IMFはターゲットのマルストロムを騙すため、自分たちがより巨大な秘密組織の一員であるというふりをするのだが、その芝居の内容が面白い。マルストロムがのぞき見しているのを承知で、「国際会議」との名目で組織の成果報告を行うのだが、ウイリーが真面目な顔で、売っているのが「飛行機、戦車、船舶」に加えてさりげなく「ユーフォー」と言うのには笑ってしまった。

 また「モスク計画」という物も実施したという設定で、その内容は中東で爆弾テロを起こして、とある二国間の戦争を煽ったという説明が行われる。聞いているともう絵に描いたような「悪の秘密組織」で、陰謀論の産物のような設定であるが、まあマルストロム自身が秘密テロ組織の一員なので、こういう荒唐無稽極まりない話でも信じてしまったのかもしれない。

 ちなみにIMFは組織名は語らなかったが、建物のあちこちにマークで「World Resources Ltd」とあり、マルストロム自身もリーダーに「世界資源開発」と説明していた。変にカッコよさを狙わず、地味な名称なのがなんとなくリアル(?)ではあった。

 今回珍しいのは、IMFがミスをするところである。IMFマルストロムからナイトフォール計画の内容を聞き出すため、嘘発見器を仕込んだ椅子に座らせ、バーニーが色々とそれらしいキーワードを質問し、その反応を見て内容を推測する。

 しかしキーワードへの反応頼りの手探り状態なので、反応が強かった「ウェストン将軍」「暗殺」という単語から、「ウェストン将軍の偽物が暗殺を実行する」ではなく、「ウェストン将軍が暗殺される」と誤って解釈してしまう。正直、これは仕方ないとは思うのだが、普段ミスという物を全くしないIMFだけに、痛恨の誤解釈が目立ってしまった。まあそういう多少のミスを犯そうとも、後できっちり対応したところはIMFの優秀さを見せつけたとも言えよう。

 しかし、今回の話は、マルストロムを嘘の秘密組織話で騙すことに大半の時間がとられ、あとはフェルプスが爆弾テロを危機一髪で食い止めるだけ、のため、IMF大芝居で相手を騙して目的を達成する、という、番組のウリとなる部分はさほど堪能できず、満足感もイマイチであった。単なるスパイアクションドラマとして見れば悪くないレベルの話なのだが、「スパイ大作戦」という番組のエピソードとしては物足りなさが強かった。第7シーズンはこのような「破綻は無いし悪くはないが、あまり満足できない」という話が多く、いかにも最終シーズンという雰囲気が感じられるのが寂しい所である。

 劇中で、ケイシーがマルストロムを「秘密組織の本部」という設定の建物に連れていくが、この建物がいかにも怪しげな組織の本拠らしく極めて妙なデザインで、レゴブロックで作った空飛ぶ円盤を下から台で支えるような摩訶不思議な外観をしている。実はこの建物はカリフォルニア大学の図書館で、画像検索で「the library on the campus of the University of California」で調べると、その姿を見ることができる。


 今回のサブタイトルの原題「The Pendulum」は、もちろん秘密組織ペンデュラムの事。ちなみにPendulumとは「振り子」のことである。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で建物に乗り付け、ドアの鍵を開けて、ガラス工芸品などが陳列している部屋に入る。そして木の箱から大きめの封筒を取り出し、また入っていたオープンリール式テープレコーダーのスイッチを入れる。そして録音された指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。ガナー・マルストロムは、わが国の支配を企むテロリストの秘密結社「ペンデュラム」の幹部である。ペンデュラムは、今暗号名「ナイトフォール」なる作戦を開始したが、内容は定かではない。

 そこで君の使命だが、このナイトフォール作戦を暴き、妨害し、彼らの野望を挫くことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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