【映画】感想:映画「ブラジルから来た少年」(1978年:イギリス/アメリカ)

ブラジルから来た少年 [DVD]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム 2018年8月17日(金)

【※以下ネタバレ】
 

南米パラグアイナチス残党のメンゲレ博士は同志を集め、2年半で94人の男を殺害する奇妙な計画を企てる。有名なナチ・ハンターのリーベルマンは、次々と起こる殺人がメンゲレの仕業だと知り調査をはじめるが、被害者の遺族を訪ねるうち、ある共通点に気づく…。「ローズマリーの赤ちゃん」のベストセラー作家I・レヴィンの小説を映画化したサスペンス・スリラー。メンゲレ博士を圧倒的存在感で熱演するのは名優G・ペック。

 

あらすじ

 南米パラグアイに潜伏しているナチス残党の一人メンゲレ博士(グレゴリー・ペック)は、残党による組織「同志会」のメンバーに対し、今後2年半の間に世界各地で65歳の男94人を殺すように指示する。

 過去多くのナチス戦犯を捕らえてきた「ナチ・ハンター」のリーベルマン(ローレンス・オリビエ)は、偶然からこの計画の存在を知り、調査に乗り出す。そして犠牲者と思しき人々の遺族を訪ねるうち、彼らの息子が揃って色白・黒い髪・青い目の、そっくりの容姿をしていることに気が付く。

 リーベルマンは、過去に捕らえたナチス戦犯の一人から、14年前にブラジルから送られて来た赤子たちを養子として斡旋していた事を突き止める。また科学者を訪ね、ある生物の細胞からオリジナルそっくりのコピー「クローン」を作り出す技術の存在を教えられる。リーベルマンは、そっくりの子供たちはアドルフ・ヒトラーの複製であることを悟る。

 クローンは生物学的にはオリジナルと同一だが、育った環境が異なればオリジナルと同じ存在にはならない。メンゲレはヒトラーとそっくり同じ家庭環境になるような夫婦を見つけ出して養子に出し、オリジナルのヒトラー同様に14歳の時に父親を失わせようとしていた。

 同志会はリーベルマンに計画が漏れたため、計画を中止することを決める。しかしメンゲレはそれに反発し、姿をくらますと、次の殺害対象のアメリカ人男性の元を訪れ射殺する。そこにリーベルマンが現れ、両者は争って共に大怪我をし、にらみ合い状態となる。

 メンゲレは、かつてヒトラーは息子を作っても自分を超えることは出来ないと考えていたため、メンゲレのクローン作製計画を支持し、自分の血と細胞を提供したことを語りだす。そこに息子のボビー(=ヒトラーのクローン)が帰宅してきた。メンゲレはボビーが将来偉大な事をなす人物だと持ち上げるが、ボビーはメンゲレが父親を殺したことを知り、飼い犬たちにかみ殺させる。

 リーベルマンは病院に収容され。仲間からメンゲレが持っていたヒトラーのクローンのリストを渡すように迫られるが、リーベルマンは子供に罪はないと言ってリストを焼き捨てる。最後は、ボビーが自分で撮影したメンゲレの死体の写真を現像して、目を輝かせているシーンで〆。

感想

 評価は○。
 
 タイトルは超有名な映画。メンゲレ博士(実在の人物)が謎めいた命令を下し、ナチ・ハンターのリーベルマンが単身それを調査する、というサスペンス物。

 謎が謎のままの頃は結構面白いのだが、「クローンたちをヒトラーと同じ家庭環境にするためにいちいち親を殺して回っている」と謎がばれた時点でかなりガッカリきた。ヒトラーのクローン云々はともかく、「それだけのために人を殺して回るの?」という残念感が否めず、暗殺チームの一人が、「こんな仕事をやっていられるか」と愚痴をこぼすシーンがあったが全くもって同感だった。

 しかもメンゲレ渾身の大計画の割に、同志会の他のメンバーは全くやる気が無く、あっさりと作戦を中断してしまい、メンゲレが一人で仕事を続けなければならなくなるなど、終盤になって盛り上がるどころか話のスケールが縮小してしまい、盛り上がらないことおびただしかった。

 ラストはボビー(ヒトラーのクローン)が死体の写真をみて目を輝かせている場面で締めるので、「将来この子がヒトラーの再来になるのかも……?」とか観客に思わせたかったのだろうが、別にそう怖さを感じるオチでも無かった。

 という事で、今となっては知名度インパクトのある内容とは思えなかった。しかしまあ、グレゴリー・ペックの存在感は在りましたね。さすが大物俳優。
 
 

ブラジルから来た少年
BSプレミアム8月17日(金)午後1時00分~3時06分


【製作】
マーティン・リチャーズ、スタンリー・オトゥール
【監督】
フランクリン・J・シャフナー
【原作】
アイラ・レヴィン
【脚本】
ヘイウッド・グールド
【撮影】
アンリ・ドカエ
【音楽】
ジェリー・ゴールドスミス
【出演】
グレゴリー・ペック、ローレンス・オリビエ、ジェームズ・メイスン ほか


製作国:
イギリス/アメリ
製作年:
1978
原題:
THE BOYS FROM BRAZIL
備考:
英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ

 

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