【18禁ゲーム】何故エロゲ業界は2001年から衰退し続けなのか

PUSH (プッシュ) !! 2014年 11月号 [雑誌]


 1990年代からエッチいゲームのシナリオライターをやっていて、また小説家でもある鏡裕之氏はかつてこのようなことを書かれていました。
 

エロゲーが売れなくなった4つの理由|鏡裕之|note
2016/03/17
https://note.mu/kagamihiroyuki/n/nf2d471dcbb10

フロントウイングの山川氏は、2001~2011年の10年でエロゲー市場が50%縮小し、2011~2015年の5年でさらに市場が50%縮小したとツイートしている

 
 これを読んだ当時は凄く意外に感じられました。というのは2000年代前半を見れば、

・2000年 Air(Key)
・2004年 Fate/stay nightタイプムーン
・2004年 クラナド(Key)(※エロは無いけどまあ似たような物)

 というウルトラスーパーメガトンハイパーヒット作が存在している訳で、2000年代前半から業界が縮小していた、等とは当時微塵も察せられなかったからです。何せFateなんか、発売日には秋葉原に行列が出来て、最終的に10万本!売ったと騒ぎになっていたのですから。


●忍び寄る衰退

 しかし、その理由らしい物が見つかりました。ゲームソフトではなく、ゲーム関連雑誌についての書き込みなのですが、関連性はあると思っています。

 こちら
 ↓

その昔、エロゲ雑誌が10万部以上発行されていた時代があってね… - spring efemeral
http://d.hatena.ne.jp/efemeral/20100523/1274623856

d.hatena.ne.jp
 

つまり美少女キャラクター誌の発行部数は2001年までドカーンと増えて、2002年からはズドーンと減ったようです。

 
 その詳細はこちら。

◆2001年

【2001 出版指標年報】
美少女ものは好調維持。ビジュアルを重視したソフトな表現の新雑誌『カラフルピュアガール』(ビブロス)は好売れ行き。

 
 
◆2002年

【2002 出版指標年報】
美少女系は同24.9%増と好調。『TECH GIAN』や創刊誌『電撃姫』(メディアワークス発行/角川書店発売)といったジャンルトップ誌は10万部近くを発行している。特にストーリー性重視のソフトH系ゲームは、女性ユーザーも少なくない。また、ゲームのみならずコミックやアニメ市場においても、美少女需要は拡大基調だ。以前はマニア男性向けとして捉えられていたジャンルだが、若い世代には抵抗なく受け入れられている。

 
 
◆2003年

【2003 出版指標年報】
成長市場だった美少女関連は同12.0%減と頭打ち。本来マイナーだからこそ光るジャンルだけに、メジャー展開には自ずと限界があったのではないか。

 
 
◆2004年

【2004 出版指標年報】
創刊20周年を迎えた『コンプティーク』は9月号より美少女キャラクター誌にリニューアルした。美少女系は同3.1%減、1月に『メガミマガジン』(学習研究社・推定4万部)が創刊し、計14誌が競合する激戦区だ。全体的には伸び悩み状態だが、美少女ニーズは依然底堅い。キャラクターに対する嗜好表現として“萌え”という言葉が流行、ソフトな表現の雑誌も増え、ゲーム情報というよりキャラクター誌としての性格が強まってきた。

 
 
◆2005年

【2005 出版指標年報】
<美少女系>は同14.5%減と低落傾向、『ディアマイ…』など2誌が休刊した。アニメやコミックなどで“萌え”が氾濫しており、このジャンルならではの特色が薄れてしまった感がある。

 
 
◆2006年

【2006 出版指標年報】
アダルト誌やキャラクター誌を含む<美少女系>は同9.1%減と下げ止まらない。“萌え”があらゆるメディアに浸透し特色が薄れていく一方だ。ゲーム情報や美少女のヴィジュアル以外で、いかに差別化を図るかが課題となっている。

 
 
◆2007年

【2007 出版指標年報】
<美少女キャラクター誌>は推定発行部数前年比11.4%減。02年以降、5年連続で低落している。ゲーム情報よりもCGヴィジュアルが主力のジャンルだが、CGはむしろインターネットの方が相性が良く、雑誌の訴求力が低下している。

 
 
・『アニメやコミックなどで“萌え”が氾濫しており、このジャンルならではの特色が薄れてしまった感がある。』
・『“萌え”があらゆるメディアに浸透し特色が薄れていく一方だ。ゲーム情報や美少女のヴィジュアル以外で、いかに差別化を図るかが課題となっている。』
 
 といった記述がヒントなのでは。

 もちろんこれは「雑誌が売れなくなった理由」の分析ですが、「ゲームを紹介している雑誌が売れない理由」なのだから、紹介する対象の「エロいゲーム」が売れなくなる理由でも有るのでは? という気がしています。

 まあこれがメインの理由ではないにしても、「エロいゲームでしか体験できなかった萌えとかなんとかが、アニメでも漫画でもラノベでも楽しめるようになってきたから、エロゲでなくても良くなった」ということもあるんじゃないかな、と思えてきました。

 でもないと、2000年代前半から実は業界は斜陽化し続けていた、なんてこと納得できませんよ、うん。
 
 
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