【経済】感想:NHK番組「NHKスペシャル マネー・ワールド ~資本主義の未来~」第1集「お金が消える!?」

週刊ダイヤモンド 2018年 9/29 号 [雑誌] (乗り遅れるな! キャッシュレス)

NHKスペシャル http://www6.nhk.or.jp/special/index.html
放送 NHK総合

【※以下ネタバレ】
 

第1回 『第1集 お金が消える!?』 (2018年10月6日(土)放送)

 

内容

NHKスペシャル | マネー・ワールド ~資本主義の未来~第1集お金が消える!?
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2018-10-06&ch=21&eid=02423&f=46


爆笑問題とともに最前線の「マネーの秘密」に迫る経済エンターテインメント・シリーズ第3弾。初回は、世界中から現金が消えていくキャッシュレス化の“深層”に切り込む。


スマホ決済、仮想通貨、ICチップ…。いま私たちの暮らしから、どんどん現金が姿を消している。その理由は単に「便利だから」だけではなく、資本主義の大転換が関わっている!?現在のお金の歴史や“限界”、そして「時間通貨」など、世界中で次々生まれる“新時代のお金”を探求していく。人類誕生後、進化を続け、世界経済の血流を生み出してきた「現金」は、このまま消えてしまうのか?そして未来のお金の姿とは?


【司会】爆笑問題太田光田中裕二),【ゲスト】経済学者…安田洋祐,IT企業社長…佐藤航陽,【語り】守本奈実

●現金が上手く機能していない

 現在世界では「現金」が上手く機能しなくなってきている。昔は中央銀行がお金を大量に発行して市場に流せば、経済は活性化した。しかし最近はお金が上手く世の中に回らなくなっている。

 理由の一つは、企業も個人もお金をため込んで使わないこと。そのためにお金が循環しない。また増やしたお金は犯罪がらみの税金が課せられない「地下経済」に流れ込んでしまっている。

 もう一つの理由はお金の信用低下。例えばベネズエラではお金を発行しすぎて通貨の価値が低下し、コーラ一本買うのにも札束が必要な有様。さらに市場にお金が出回らなくなり、国民の手元に現金がなくなり、物々交換で暮らさざるを得なくなっている。



●お金を使ってもらう方法

 お金をため込まずに使ってもらうにはどうするか? スウェーデンでは国を挙げて「現金お断り」状態にして、代わりになんでもかんでもスマホアプリ「Swish」で決済するようにした。するとみんながお金を使う様になりGDPが24%向上した。現金ではなくデジタルのお金になると、みんな財布のひもが緩むようになるからだという。

 ドイツではデジタルの地域通貨「キームガウアー」を使う試みが行われている。これはユーロと一対一で対応する通貨で、一年間に6パーセント目減りするので、みんな損をしないように早めに使おうとする。何故このキームガウアーを使うかというと、交換した額の3パーセントが寄付として使われるから。

 キームガウアーのヒントは、大恐慌時代に経済学者シルビオ・ゲゼルが提唱した「スタンプ通貨」。通貨に使用期限を設け、期限が来ると国からスタンプを購入して貼らないと使えなくなるという物。この通貨は期限が来る前にさっさと使用しないと無駄になるので、みんながお金を使うようになる、とされた。現実的には手間がかかりすぎて実現はしなかったが、デジタル時代の通貨なら簡単に実現できるようになった。



●仮想通貨

 現在は仮想通貨という物も出現している。かつては通貨の価値は金と交換できるかどうかで決まり「兌換紙幣」と呼ばれていた。やがて無制限にお札を印刷するため、金の価値とは無関係に国が通貨の価値を保証するようになった。仮想通貨は価値は国などのシステムには依存せず、テクノロジーで信用を支えるようになっている。

 ただ、仮想通貨は今のところ99パーセント投機目的で使用されており、本来の通貨として使用されているのは1パーセント未満。まだ簡単に盗まれたりするが、使う方が防御手段をよく理解していない。普通のお金と同様に使われるようになればまた見方も変わるかも。



●時間通貨

 今までの通貨と異なる「時間通貨」も生み出された。これは、誰かに30分英語を教えると「30分」分の時間通貨が手に入り、その「30分」分で誰かから料理について教えてもらう、という風に使う。人は誰でも1日24時間の時間を持っているという発想。この通貨は一万時間分とかため込んでも意味が無いので、みんながさっさと使用することになる。


感想

 爆笑問題の二人が司会なので、また笑えもしない事を延々喋り倒すくだらねー番組かと思っていたら、意外にもいけました。二人とも笑えないギャグは封じて、結構まともなことを喋ってましたよ。キャッシュレス云々は最近の流行ですが、専門家を解説に呼んで、テーマを分かりやすく説明していて、結構好感が持てる内容でした。


 太田の方が「経済を回すためにお金を使えというけど、大半の人は使う程お金を持っていない」と鋭い事を言っていたのには感心しましたね。そう、収入がかつかつで、ジャブジャブ使う程お金が無いのに「金を使わないから経済が回らないんだよ!」とか言われても困るのですよね。まず金持ちがドバドバ使って経済の車を回してくれて、その後に俺たちに余裕が出来たら使ってやんよ! くらいな気持にしかならないわけでして。


 スウェーデンではスマホを出すのもめんどくさいという人のために、皮膚の下に注射器でICチップを埋め込むことも行われていて、田中の方が顔をしかめていたのですが、全く同感。もっともそれを「気持ち悪い」と思うのはそれが無いころを知っているからで、そういう世代が死に絶えて、生まれた時からICチップのある世代ばかりになれば普及するだろうとも。おお怖い。


 と色々ありましたが、結構面白い番組でしたよ。
 

http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20181006

爆笑問題とともに、最前線の「マネーの秘密」に迫る経済エンターテインメント・シリーズ第3弾。初回は、世界中から現金が消えていくキャッシュレス化の“深層”に切り込む。ポイントカードやモバイル決済、仮想通貨やブロックチェーンの拡大・・・。いま私たちの暮らしから、どんどん現金が姿を消している。スウェーデンでは、街中からATMが撤去され、現金流通量の割合は1%台にまで激減。中国では、のべ13億人がスマホ決済を利用、ヨーロッパでも高額紙幣の廃止が進むなど、キャッシュレスへの動きが加速。その理由は単に「便利だから」だけではなく、現在の貨幣の“限界”も指摘されている。一方、国家に代わって、世界中のユーザー自らが信用を支える「仮想通貨」や、お金という概念そのものを見直し“時間”の交換に着目した「時間通貨」など、史上類を見ない“ネクスト・マネー”も次々と生まれ始めた。人類誕生後、貝殻、硬貨、紙幣へと進化を続け、世界経済の血流を生み出してきた「現金」は、このまま消えてしまうのか?そして未来のお金の姿とは?

 

参考

第2回の内容
perry-r.hatenablog.com
第3回の内容
perry-r.hatenablog.com
 
 
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