【経済】感想:NHK番組「NHKスペシャル マネー・ワールド ~資本主義の未来~」第2集「仕事がなくなる!?」

AIは人間の仕事を奪うのか?~人工知能を理解する7つの問題

NHKスペシャル http://www6.nhk.or.jp/special/index.html
放送 NHK総合

【※以下ネタバレ】
 
前回第1回の内容
perry-r.hatenablog.com
 
 

第2回 『第2集 仕事がなくなる!?』 (2018年10月7日(日)放送)

 

内容

NHKスペシャル マネー・ワールド~資本主義の未来~第2集▽仕事がなくなる!?
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2018-10-07&ch=21&eid=03642&f=46


爆笑問題が司会の経済エンターテインメント。AIやロボットが人間の仕事を担うようになる時代、私たちはどのようにして生きていけばよいのか? ゲスト・孫正義新井紀子


爆笑問題と共にお届けする、経済エンターテインメント。第2回は、AIやロボットが私たちの懐に与える衝撃。人間の仕事をAIやロボットが担うようになり、私たちは富を生み出せなくなるという時代が目前に迫っている。AIロボットが幅を利かせる近い未来、私たち人間はどのようにして生きていけばよいのか、知恵を振り絞って考える。ゲストは、ソフトバンクグループ社長の孫正義さんと、国立情報学研究所教授の新井紀子さん。


【司会】爆笑問題太田光田中裕二),【ゲスト】孫正義国立情報学研究所教授…新井紀子,【語り】守本奈実

●AIロボットの発達が資本主義を変える

 資本主義では、起業家は「土地」「資本(工場とか)」「労働(労働者)」の三つが必要。ところがAIロボットの発達で、労働者が必要ない時代が来ようとしている。

 ロボットの発達により、イチゴの収穫、ビルの掃除、倉庫の荷物の箱詰め、といった作業はどんどんロボットに置き換えられている。2030年代半ばには雇用の30パーセントはロボットに奪われるという予測がある。

 ロボットは人間にとってきつい仕事を代替してくれる、と考えがちだが、そうはならない。たとえはきつい介護の仕事などは、一人一人異なる人間を相手にしないといけないので単純に機械で代替できない。逆に知的作業はAIが得意なのでどんどん奪っていく。ホワイトカラーの仕事は奪われないと考えそうになるが、公認会計士司法書士、翻訳家、といった仕事もどんどんAIに奪われていく。



●ロボットに奪われない仕事は?

 AIに奪われない仕事は、AIそのものを開発する仕事や、機械に真似できない人の心に訴える芸術分野など。しかし0.1パーセントの才能のある人々はそういう仕事が出来ても、残り99.9パーセントの人はどうすれば良いのか。



●技術的失業

 経済学者ケインズは、技術の発達で仕事が奪われることを「技術的失業」と呼んだ。過去に三度の産業革命があり、その度に失業が発生した。

 第一次産業革命で「蒸気機関」の出現で人々は職を奪われ、機械の打ちこわし運動なども起きたが、新しく製造業が生まれたことで人々は新しい仕事についていった。

 第二次産業革命「石油・電気」の時代には、自動車の登場で馬車の御者たちは失職したが、車を作る仕事が新しく生まれた。

 第三次産業革命「コンピューター・トランジスタ」の時代には電話の交換手が仕事を失ったが、エレクトロニクス産業が生まれた。

 このように産業革命で無くなる仕事が有っても、別の仕事が生まれることで、結果的に労働生産性は向上し、賃金も上がった。ところが21世紀にはいると、労働生産性は上がっているのに賃金は上がらないという事態が発生した。

 さらに第四次産業革命でAI・ロボットの登場により、仕事は無くなり賃金も上がらない、という、資本主義を根本から揺さぶる事態が発生しようとしている。ごく一部の資本家だけがすさまじく儲け、大多数の人間は仕事が無くて貧しくなる、という極端な貧富の格差が発生しかねない。



ベーシックインカム

 労働者に仕事が無くなり収入が無くなれば、物が買えなくなる。つまり資本家が商品を作っても売れない。資本主義の基本である「お金の循環」が起こらなくなってしまう。

 そのために、新しい資本主義の形が模索されている。その一つがベーシックインカム自治体が住人にお金を配る。生活保護とは違い、収入の有無に関係なくお金を配るやり方。カナダで実験されていたが、金がかかりすぎるというので中止された。

 ベーシックインカムを実施するには財源が必要。つまりお金を配るためには国がそれを実施できるほど裕福でなければならない。


感想

 今回はネット勢が大好きなベーシックインカムネタ(ネット勢は右翼左翼の対立の延長で、貧富の拡大とか生活保護とかベーシックインカムとかの話題が大好物です)。


 そして、この貧富の格差問題の回に、資本家の代表選手の孫正義を呼んでくるNHKのセンスがイイネ。

 孫が「仕事を奪われると嘆いても仕方ないですよね、前向きに生きましょう」とか能天気な事を言っていると、大学の先生の新井さんが「仕事を奪う資本家の孫さんがそんな『前向きに生きましょう』とか気楽な事言っているのは無責任でしょ」と突っ込みまくっているのが痛快でした。

 あと、孫が「ベーシックインカムは賛成」と言いつつ「財源は法人税をあげて作ると言われたらどうするんですか?」と切り返されたら、税をあげるとグローバルな競争に負けるから云々とか言ってまともに答えないのも笑えたです。

 しかしねぇ。今から機械に奪われない新しいスキルを身につけろとか言われても、AI技術者になれとか、芸術の仕事をしろとか無理だっての。ホント未来はどうなってしまうのか。心配で今夜は眠れそうにないや。
 

http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20181007

マネー・ワールド~資本主義の未来~第2集 仕事がなくなる!?
2018年10月7日(日) 午後9時00分~9時49分


爆笑問題と共にお届けする経済エンターテインメント。第2回はAIやロボットが私たちの懐具合に与える衝撃。AIやロボットが、これまで人間が行っていた仕事を担うようになり、私たちは富を生み出せなくなる、当然収入も減る…。そんな時代が、もう目の前に迫っている。ラスベガスでは、カジノホテルの従業員たちがAI・ロボットに仕事を奪われることを危惧し、大規模なデモを展開。アメリカでは、ホテルなどのサービス業や農業、金融業といった様々な分野にAIやロボットが進出し、人間の雇用に置き換わっている。中国もまたAIやロボットによる自動化を積極的に進め、無人スーパーや無人宅配便などが続々と誕生している。その激しいうねりは、日本にも押し寄せている。大手銀行が昨年発表した大規模なAI導入と従業員削減のニュースは、日本中の金融関係者に衝撃を与え、多くの人が転職の道を探り始めた。AIやロボットが幅を利かせる近い未来、私たち人間はどのようにして生きていけばよいのか? 知恵を振り絞って考える。


ゲスト: 孫正義ソフトバンクグループ社長) 新井紀子国立情報学研究所教授)

  

参考

第1回の内容
perry-r.hatenablog.com
第3回の内容
perry-r.hatenablog.com
 
 
仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること (講談社+α新書)