【歴史】感想:NHK番組「BS世界のドキュメンタリー」『タイタニック 新たな真実』

タイタニック百年目の真実

BS世界のドキュメンタリーNHK BS1 http://www6.nhk.or.jp/wdoc/index.html
放送 NHK BS1

【※以下ネタバレ】
 

タイタニック 新たな真実 (2018年12月10日(月)放送)

 

内容

タイタニック 新たな真実
[BS1] 2018年12月10日(月) 午後11:00~午後11:46(46分)


タイタニックはなぜ沈没したのか? 出航前に船倉部の石炭庫で火災が発生し、鎮火せぬまま航海を続けたのが原因とする説を、豪華客船や乗組員の動きをCGで再現しつつ検証。

 
 1912年の豪華客船タイタニック沈没の謎を追うジャーナリストは、ある写真を発見する。それはタイタニック号の建造関係者が撮影した進水式や出港直前の時期の写真で、100年以上知られていなかったものだった。そして写真で、出港する前の新品のタイタニックの右側面に黒い汚れが確認できた。

 これは場所から見て石炭倉庫の火災の跡だと推測される。タイタニックが出港直前から石炭倉庫で火災を起こしていたことは既に知られていたが、これは沈没とは関係無いとされ、特に重視されていなかった。

 石炭の火災というのは、大量の石炭が集まると火種が無くても勝手に発火し、しかも鎮火するには石炭を取り除くしかない。そしてその温度は500度から1000度にも達する。ところが火災は出港するまで鎮火できず、タイタニックは火災を起こしたまま客を乗せて大西洋へ乗り出していたのである。もちろんこの事実は厳重に口止めされ、乗客は知ることは無かった。

 石炭火災は出発直前に発見されたが、その性質上さらに前から燃えていた可能性がある。事実タイタニックの石炭は、火事が確認されるより三週間前には積み込まれていた。もしそうならタイタニックの船体は何週間も1000度の熱で熱せられていたことになる。タイタニックの石炭倉庫は隔壁、つまり船体を仕切る壁に隣接していた。隔壁とは船に浸水した時に他の個所に水が広がらないようにする重要や役目を持つ壁だが、それが熱で劣化していた。実際鎮火に当たった労働者たちは、壁が熱でゆがんでいたと証言している。

 タイタニックを建造したホワイトスターライン社は、当時激化していた大西洋航路の競争の切り札としてタイタニックを建造した。そのためタイタニックと姉妹舩オリンピックはかなりコストカットして建造されており、船体は質の低い鋼鉄で作られていた。また、火災を理由にタイタニックの出発を延期すれば、社の評判はがた落ちとなり倒産の可能性もあった。社の経営陣にタイタニックの出港の延期という選択肢は無かった。

 タイタニックは、進路上に氷山が有ると警告されていたにも関わらず、速度を落とさないまま進み、その結果氷山に衝突した。何故タイタニックは速度を落とさなかったのか? それは燃料の石炭の不足が原因の可能性が高い。元々タイタニックはギリギリの石炭しか積んでいなかったうえ、石炭火災を起こしたため、燃えた石炭を次々とボイラーに放り込むしか無かった。つまり石炭に余裕が無かった。もし速度を落とせば、大西洋上で石炭切れになってしまう可能性が有ったと思われる。

 経営陣はそんな事態を避けるため、ぶつかるかどうかもわからない氷山の危険を軽視し、タイタニックの速度を落とさなかった。そして氷山に激突し、しかも隔壁は石炭火災で劣化していたため浸水を食い止めきれなかった。そのためにタイタニックはあっけなく沈んでしまったのではないか。


感想

 評価は○。

 2016年のイギリスの番組。「タイタニック沈没100年目の真実」みたいなノリの番組で、ジャーナリストが古い写真を手掛かりに石炭火災が思ったより重要な出来事だったのでは?と推測し、石炭の研究者だとか船の動力の研究者だとかを訪ね歩いて自説を補強していきます。まあ今回の話が正解なのか?というのは、結局答えは解らないでしょうが、一つの説としては面白かったですね。

 あと最新CG技術のたまものなのか、古い一枚の写真をもとに、色を付け、さらに写り込んでいる人たちに動きをつけ、まるで当時撮影した動画みたいにグイングイン動かして見せてくれていました。最新の映像技術って素晴らしいですわぁ。
 

http://www6.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/?pid=181210

乗組員だった電気技師が撮影した船体には、側面に焦げ跡が見て取れる。会社は負債を抱え、出航延期は即、倒産。ボイラー作業員は少人数で、火がついた石炭は動力炉に投げ込むしかない…巨大な氷山を目前にしてもスピードを上げ続けたタイタニックの謎も解ける。火災により鋼鉄の強度も極端に低下し、史上最大の豪華客船が、浸水開始から2時間で沈没する悲劇につながったという。1912年当時の資料を再発掘し徹底検証。


原題
TITANIC: THE NEW EVIDENCE
制作
Blink Entertainment Distribution
What Iceberg Pruductions(イギリス 2016年)


初回放送
2018年12月10日(月)午後11時00分~
再放送
2018年12月18日(火)午後5時00分~

 
タイタニック号の最期 (ちくま文庫)