感想:アニメ「闇芝居 第六期」(2018年)全13話:おなじみオムニバスショートホラー、しかしシナリオの質が低下しているような……

闇芝居 / YAMISHIBAI

闇芝居 6期 テレビ東京アニメ公式 https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/yamishibai6/
放送  AT-X。2018年7月~9月。5分ショートアニメ。全13話。

【※以下ネタバレ】
 

昭和紙芝居×都市伝説
テレビ東京の深夜に放送され、大反響を呼んだ恐怖の都市伝説アニメーション
なかなか寝付けない夏の夜、何気なくつけていたテレビから一風変わった気味の悪いアニメが流れ始めて、ついつい見入ってしまう…それはまるで“都市伝説"かのように若者たちの間で噂になっていく。
昭和レトロな紙芝居に現代のデジタル要素を加え「テレビで紙芝居を見る」という違和感を確立し、都市伝説風なストーリーをのせて贈る大人向けのアニメーション。

 

■内容

 以下全13話の内容とコメント。

◆第一話『雷客』らいきゃく

雷鳴が轟く嵐の夜。
停電した一軒家で、留守番中の高校生・良介に電話が。
そして、稲光とともに窓の外に浮かぶ人影。
そこにいるのは誰…?

 
 主人公の高校生・良介は雷が苦手。しかも幼いころ雷の時に守ってくれた母親は、その後家族を捨て家を出て行ってしまったことも苦手意識に拍車をかけていた。そしてある雷の日、母親から電話がかかり、家に入れてくれ、一緒に父親を驚かそう、という。しかも窓の外から誰かが窓を叩いている。

 良介が窓のカーテンを開けると父親だった。父親を玄関から出迎えて、母親の話をすると、そんな馬鹿なことが有るかと血相を変えて否定する。ふと中を見ると母親がいて、父親が怯えている。主人公が父親に母をどうしたのかと詰問すると、母親がほら父親が驚いたろうと言って冷ややかに笑う。


●コメント
 心霊系の話。最初から母親が死んでいるというのは丸わかりだが、主人公を呪いに来た、というのではなかったのがちょっと良かった。


◆第二話『友無洞』ともなしどう

修学旅行生で賑わう、とある洞窟。
その中に、団体から外れて脇の洞穴に入っていく一団が…。
やがて一人取り残される友子。
すると、洞穴の奥から突如同級生たちの悲鳴が…。

 
 修学旅行中。主人公友子(ともこ)の友人三人は立ち入り禁止の洞窟に入ってしまい、友子も仕方なくついていく。三人は中で友子をダサいとあざ笑い、三人だけで奥に進むがやがて悲鳴が聞こえる。友子が駆け付けると友人のアカネだけがいて、さっきはゴメンとしおらしく謝る。

 次の瞬間透明な手が友子を掴んで奥に引きずり込み、アカネは態度を豹変させて自分だけは助かってやると高笑いする。しかしアカネは首がちぎれているのに、何も無いように高笑いしている。


●コメント
 どうも解りにくいオチ。アカネが裏切ったのはともかく、逃げおおせたつもりでも既に憑りつかれて人間ではなくなっている、とかそういう意味か?


◆第三話『風知』ふうち

公営住宅の一室に住む独り暮らしの会社員・秀明。
ある夜、帰宅すると閉め忘れた窓から隙間風が吹き込んでいた。
秀明の脳裏に一カ月前の忌まわしい出来事が蘇る…。

 
 主人公は一人暮らしのサラリーマン・秀明。帰宅するとなぜか窓が開いていた。すぐに閉めたのに、気が付くとなぜかまた開いていた。秀明は一か月前妻を事故で失くしていた。そこに電話がかかってきて女の声で繰り返し「しね……」と聞こえる。秀明は妻が自分も死ねと言っているのかと苦悩する。ところがよく聞くと「閉めないで」と言っていた。二人は猫を飼っていて、妻は猫が外に出ている時は窓を閉めないで、と言っていたのだった。


●コメント
 この番組には珍しいハートフル系オチ。悪くない。


◆第四話『奉沼』ほうじょう

田舎の村に嫁いで来た春子は、夫から一番大事にしているモノを沼に沈めて災厄の身代わりにするという村に伝わる習わしの話を聞く。
今でも続くこの儀式に参加しなければならなくなった春子だったが…。

 
 春子は田舎にある夫の実家に嫁ぐが、義母は最初から春子につらく当たり、春子の母親の形見の指輪を取り上げる。この田舎には、その人間が最も大事にしているものを沼に捧げる「奉沼」という習慣が有り、適当な物を捧げると沼の中から現れたものが本当に大事な物を持って行ってしまう、という言い伝えが有った。

 儀式の日。義母は春子に断りも無く形見の指輪を沼に放り込んで、お前の大事な物だから入れてやったとあざ笑う。春子はショックのあまり呆然となる。翌日、義母は行方不明になっており、沼から義母の部屋まで泥を引きずったような跡が残っている。春子は義母が自分の一番大切な物とうわ言のように言っている。


●コメント
 オチがどうなるかは丸わかりでしたが、痛快系(?)のラストでまずまず。


◆第五話『雫来』しずく

会社帰りのサラリーマン・島田。
コンビニで寄り道している間に雨に降られた島田は、傘置きにあった傘を拝借する。
だが傘をさして夜道を歩く彼の背後には闇の気配が迫っていく…。

 
 サラリーマン島田は、帰宅時にコンビニにいると雨に降られる。入り口に傘が置いてあり、店内にいる見るからに気持ち悪い男の物だと察して、そのまま傘を盗んで帰る。ところが帰り道にびしょ濡れの妙な女がそばに立っているのに気が付き、慌てて傘を投げ捨てて帰宅する。
 
 ところが家の中で何故かしずくが垂れる音がやたら聞こえてくる。しかも捨てたはずの傘が家のドアにかけてあった。やがて天井からしずくが垂れてきて、上を見上げるとあの女が真上にいた。

 最後。雨の日コンビニで男が他人の傘を盗んでいく。店内には薄気味悪い顔になった島田がいて、傘が盗まれるのを見て笑っている。


●コメント
 因果応報系のネタ。まあそこそこだが……、全然怖くない……


◆第六話『咲暗』さくら

交通事故に遭い田舎の病院に入院することになった会社員・翔太。
病室の壁を隔てた向こうから話しかけてくる子供達と、夜ごと話をするようになる。
この会話から翔太に恐怖が訪れる…。

 
 会社員・翔太は交通事故で片足を骨折してしまい寝たきり状態。ある夜壁の向こうから子供が悲しかけてきたので仲良くなる。隣の部屋には子供の他に大人もいるらしく、こっちに来ませんかと誘ってくる。島田が行こうとするとそこに看護師が来て怒られる。

 翌日。島田が歩く練習を初めて隣の部屋へ行こうとすると、そこは廊下で部屋など無かった。また庭にあった桜の木が切り倒されていた。この桜の木を使って自殺した人間が何人もいるという。もし翔太が昨夜誘いに乗ったらどうなっていたのだろうか。


●コメント
 マイルドな心霊ネタ。話が浅いし怖くないしでがっかりだ。


◆第七話『蛙卵』かえるのたまご

都会で居場所をなくし、祖父の住む田舎へ越してきた少年・卓也。
ここでも周りの少年たちに溶け込めず、他人の目に怯える毎日だった。
そんなある日、道端で出会ったカエルの卵に、卓也は妙に惹かれていく…。

 
 小学生・卓也は他人の目が異常に気になり、都会にいられなくなって祖父の住む田舎に引っ越してきた。しかし人の少ないここですら、他人の目が気になっておかしくなりそうだった。しかし小川の中にカエルの卵を見つけ、それを家に持って帰った日から卓也は目が平気になったという。最後、水槽の中の卵がまるで目のようにぎろっと動く。


●コメント
 ( ゚Д゚)ハァ? 訳が解らんのですが?


◆第八話『海籤』うみくじ

とある孤島にある漁港。
ざわつく漁師たちに取り囲まれ、ガクガクと震える千里。
一体、彼女に何があったのか…?
やがて千里の口から語られる恐ろしい出来事。
それは、ある籤を引いたことから始まった…。

 
 人妻・千里が海岸で毛布をかぶって震えている。

 彼女は夫の田舎の海辺で散歩中、古い祠を見つけ、中に会ったおみくじを引いてあたりを引いてしまう。それは豊漁の引き換えに海に捧げるいけにえを選ぶくじだった。千里は自分がいけにえにされると怯えて逃げようとするが、次の瞬間海の上で小舟に乗っていた。しかも船に赤ん坊がいてにじり寄ってくる。千里は誰か別人を身代わりにしてくれと懇願する。

 千里がふらふらと歩きだすと、漁師の一人が右腕を掴む。その手にはおみくじの当りの印が付いており、千里は「当り」と不気味に言う。


●コメント
 まあ言いたいことは分かるけどさぁ、怖くもなんともない。


◆第九話『泥戯』でいぎ

降りしきる雨の中、車で娘の道子を迎えに行く美香。
車の中で道子と会話する美香だったが、会話をしてくなか、美香はある事を思い出す…。
恐ろしいことを…。

 
 母親・美香が仕事の後、車で娘の道子を預けていた施設まで迎えに行く。道子は美香が来るまで砂場で遊んでいたというが、美香が死んで悲しかったなどと言い出す。驚く美香の前で道子が砂のように崩れ去る。次の瞬間美香は自分が道子を迎えに行く途中で、自動車事故を起こして死にかけていることを察する。

 最後砂場では何かが崩れてしまう。


●コメント
 うーん……、ビックリしたとか怖かったとか全然なくて弱る。


◆第十話『無邪樹』むじゃき

近所の森へ遊びに出かけた双子の少年、タカシとサトシ。
引っ込み思案のサトシは元気なタカシに誘われるがまま木登りをはじめる。
そこからサトシは記憶から抜け落ちていたある事実を思い出す…。

 
 双子のタカシとサトシのうち、活発なタカシは木登りを始め、おとなしいサトシも気が進まないながら後を追う。サトシがふと下を見ると、母親が泣きながら降りて来るように懇願している。一週間前タカシはこの木に登って転落死したのだった。サトシの目の前でタカシは悪霊ぽくなり、サトシを突き落とす。

 サトシは落ちたものの無事で、母親と一緒に帰っていく。しかしその中にいるのは死んだタカシの霊魂で、サトシの霊魂は木の上に取り残されていた。


●コメント
 言いたいことは解らなくもないけど……、期待外れとしか……、オチに不気味さの欠片も無い。


◆第十一話『覚氷』かくひょう

一人、登山にやって来た司郎は猛吹雪に遇い、近くの山小屋に避難する。
吹雪はさらに強くなり、司郎は仕方なく、小屋で待つことに。
このあと小屋で起こる、恐怖が奇妙な音とともに訪れることもしらずに…。

 
 登山中の司郎は吹雪のため山小屋に避難するが、見るからに挙動不審の老人が隅にいて嫌な気持ちになる。司郎は病気で入院中の息子が元気になったら一緒に登山すると約束していた。突然老人が司郎に誰が来てもドアを開けるなと縋り付いて頼む。

 しばらくたつとドアの外から司郎の息子の声が聞こえてくる。実は司郎の息子は既に死んでいた。司郎はふらふらとドアに近づくが老人に組み付かれてどうしても開けられない。

 翌日。吹雪が止んで司郎は妻に無事を報告する。


●コメント
 ひねりもへったくれも無い話。「これは実話です」とかいうのならばともかく、創作でこの程度では……


◆第十二話『滝落』たきおと

大学の仲間たちと旅行にやって来た優里香。
ガイドブックにも載っていないような山奥の滝にたどり着いた彼女たち。
滝の音<<
を裂くようにどこからか何かが落ちるような音が聞こえてきてきた…。

 
 大学生・優里香は友人三人と山中の滝を見物に来る。この滝はパワースポットと言われていると同時に自殺の名所だともいう。優里香はじゃんけんで負けて、滝の上まで行ってくるように言われる。優里香がようやく滝の上に着くと、子供三人が滝つぼに石を次々と放り投げているので、優里香が叱り飛ばすと、子供たちは立ち去る。

 改めて優里香が下を眺めると、仲間三人が手を振りまくっている。直後メールが届き「逃げて」と書かれていた。次の瞬間、滝を遡ってきた黒い影が次々と優里香にしがみついてくる。子供三人は「せっかく食い止めていたのに、また一人増えてしまった」という。


●コメント
 うーんんんんん、怖いかと言われるとまるで怖くない。


◆第十三話(最終回)『山曳呼』やまびこ

山登りに来た女子大生・絵梨子と志保。
やまびこが返ってくるのが楽しくてはしゃぐ絵梨子を呆れた様子で見つめる志保。
和やかな空気は突然男の声で、彼女たちに語りかけるやまびこが聞こえてきたのをきっかけに恐怖へと変わっていく…。

 
 登山が趣味の女子大生・志保は友人の絵梨子を誘って山に登る。登山経験のない絵梨子は山びこを珍しがって何度も叫んでいたが、別の男が山びこで「どこにいるのか」と叫んでいるのが聞こえる。二人は気味悪くなり、下山しようとするが、突然霧が濃くなり、絵梨子が見えなくなり、また多数の人影が周囲に見える。

 やがて霧が晴れたので二人は下山を始める。志保は絵梨子にふと「あの男はどこの山にいたのだろうか」と話すと、絵梨子は男の声で「もう来ているよ」と答える。


●コメント
 最後の最後でちょっと持ち直したというか、これはちょっと怖くて良かった。

■感想

 評価は(なんとか)○。

 5分一本勝負のオムニバスショートホラーシリーズ。第六期という事で人気が有るのは解るのですが、さすがにもうネタ切れらしく「これは不気味でちょっとクルわ……」という話が殆ど無い。シナリオライターには頑張ってもらいたいんですが……

 一気に13本見てこんなに当りが少ないのではちょっと辛かったです。
 
 

闇芝居 【第6期】


<スタッフ>
演出:やながわ薫平
脚本:熊本浩武、佐々木充郭
作画:西川伸司工藤稜、海老原優、森野達弥かねさだ雪緒、あ可よろし、askam
企画:山川典夫、岩﨑拓矢
プロデューサー:細谷伸之、船田晃
アシスタントプロデューサー:松野明日香
制作ディレクター:杉本健一
制作プロデューサー:成田博之
制作アシスタント:釜井里佳、磯部知志
エンディングテーマ:奥村愛子「まやかし横丁」
制作協力:パインズ アカギ
制作:ILCA DRAWIZ
製作:「闇芝居」製作委員会



<キャスト>
津田寛治

村井良大
平野良
石川由依
春名風花
須賀貴匡
野村修一
山崎直樹
竹井洋介
高山猛久
福田芽衣
田上真里奈
山口綾子
岸野聡子
沢井正棋
天乃舞衣子
今川碧海(MeseMoa.
とみたけ(MeseMoa.
佐々木舞香=LOVE
野口衣織=LOVE
鈴木聖奈
平野貴大
今城文恵
長谷川里桃
Sara
高島優毅


2018年7月~放送作品

 
第一期
闇芝居 [DVD]
第二期
闇芝居 二期 [DVD]
第三期
闇芝居 3期 [DVD]