【推理小説】感想:小説「改訂完全版 異邦の騎士」(島田荘司/1998年)

異邦の騎士 改訂完全版

http://www.amazon.co.jp/dp/4062637707
文庫: 452ページ
出版社: 講談社; 改訂完全版 (1998/3/13)
発売日: 1998/3/13

失われた過去の記憶が浮かび上がり、男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活に忍び寄る新たな魔手。名探偵・御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリー『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆した改訂完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。

【※以下ネタバレ】

あらすじ

 主人公は記憶喪失で目覚め、今が昭和53年(1978年)3月だと知るものの、身分を示すものが何も無いため、あても無く街をさまよう事になる。主人公は直後チンピラに絡まれている良子という女性を助けたことから、彼女と同棲することになり、やがて仮の名前で仕事に就く。そのうち、主人公は御手洗潔という星占いと音楽にめっぽう詳しい男と友人になる。

 時がたち、良子が主人公の免許証が有ったというので、主人公は迷った末免許証に書かれた住所を訪ねる。そして主人公は自分の記した日記から己の壮絶な過去を知る。

 主人公には妻と幼い娘がいたものの、妻は悪徳金融業者の井原という男と、井原と組んだ元暴力団員によって罠にはめられ、妻は凌辱された果てに自殺に見せかけて殺され、幼い娘も一緒に殺されてしまった。主人公は復讐のためまず元暴力団員を殺害、続いて井原を狙ったものの、そこで日記は途切れていた。

 主人公は自分は井原を狙ったものの護衛に邪魔されて失敗、そのため記憶を失ってしまったと推測する。そして再び井原を殺そうと待ち伏せするが、何故か良子が邪魔してきて、誤って彼女に大怪我を負わせてしまう。それ以降良子は行方不明となり、やがて良子の母親から、良子は井原の屋敷に捕らわれているという手紙が届く。主人公は井原の屋敷に忍び込むが、そこに突然御手洗潔が現れ、主人公が騙されていると言い出す。

 御手洗は、主人公は良子とその兄・母親による大芝居に騙されて、殺人をやらされそうになっているという。実は井原は金融業者ではなく普通の中小企業の社長だったが、若い愛人を作って、妻や子供たちを家から追い出した。その子供の一人が良子だった。

 良子たちは、誰かに井原を殺させて遺産を手に入れようともくろみ、そのために交通事故で病院に担ぎ込まれ、記憶喪失になっていた男を利用することにした。そして男を一度街に放り出したあと、良子と同棲するという形でコントロール下に置き、偽の日記を読ませることで偽りの人生を信じ込ませた。あとは男が井原を殺せば計画は成功だったが、良子が良心の呵責に耐えられなくなって邪魔をしたのだった。

 結局良子は怪我がもとで死に、良子の家族も主人公を利用した井原殺しを諦める。主人公は自分が石岡和己という名前だと思い出す。
 
 

感想

 評価は△(これはちょっと……)

 島田荘司氏の作品は初めて読んだのですが、「占星術殺人事件」という作品はあちこちでタイトルを聞いたことが有るくらい有名だし、また名探偵最初の事件とか書いてあるし、本のタイトルもカッコイイし、ということでめちゃくちゃ期待して読んだら、うーん……

 名探偵が謎をばっさばっさ解決していく話かと思ったら、記憶喪失の男の物語が延々続き、最後に「実は全部嘘でしたー」で〆って、なんじゃこりゃ。結局事件は起きてもいなかったと。

 いやまあ、一応どんでん返しではあるので、5夜連続のサスペンスドラマとかそんな感じで体験出来たら面白かったかもしれませんが、「名探偵の名推理を堪能できる傑作推理小説」を期待していたので、えーっなにこれ、って感想しかありません……

 あと、何が「異邦の騎士」?
 

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異邦騎士(改定完全版・異邦の騎士)(中国語)