2018.12.21
ゲームブックは死なず! ソシャゲ氾濫の今、マニアが語るその「本質」とは | マグミクス
https://magmix.jp/post/13005
ゲームブックは1980年代に少年たちの間で大ブームになりましたが、ソーシャルゲームなどの氾濫で近年、影を潜めています。そんななかゲームブックが持つ魅力を改めて取材しました。
ということで、ゲームブックの歴史と現状をサクッと紹介した記事。なんとオンラインショップのトレーダーズギルドの中の人にまで取材していて、意外にマニア心をくすぐる中身となっております。
●衰退した理由
「ゲームブックはコンシューマーゲーム機(個人が直接購入することを前提に作られたゲーム機)に表現力で圧倒的な差をつけられました。遊ぶ側もサイコロを振ったり、指示通りページをめくったりという手間を強いられるため、人気が徐々になくなっていったのです」(代々木さん)
またパソコンが身近になったことも間接的な原因となり、同時期のノベルゲーム(コンピューターの画面上で読む小説型ゲーム)に取って代わられたという説もあるようです。
ノベルゲームに負けたとは思えないけど(かまいたちとか出る前に、既に市場は死に体状態だったし……)、ファミコンゲームとかに負けたというのは、それはそれで一つの正解だと考えています。この時点で「ゲームは好きだが小説に興味はない」人は離れてしまったなぁと……
●売れ筋
次は現在の売れ筋です。中古ゲームブックやテーブルトークRPG本、絶版ゲームブックのカタログ冊子『オールアバウトゲームブック』を販売するオンラインショップ「トレーダーズギルド」に聞きました。
「『魔法使いの丘』『城砦都市カーレ』『七匹の大蛇』『王たちの冠』といった、東京創元社の『ソーサリー』シリーズや、『火吹山の魔法使い』『バルサスの要塞』『盗賊都市』などの社会思想社『ファイティングファンタジー』シリーズの初期作品が人気
『ソーサリー』は創土社から2003年に復刻版が発売されましたが、翻訳などの違いから「(1980年代に発売された)原著を読んでみたい」という要望が多く、東京創元社版が良く売れているとのこと。
解る……(T△T)
●女性読者の好み
購買層には男性が基本的に多いものの、女性も2~3割程度いるといいます。また女性ファン特有の傾向があるようです。
「女性ファンは、東京創元社『暗黒教団の陰謀』、社会思想社『地獄の館』などのクトゥルフ神話(米国の怪奇小説家、ハワード・フィリップス ラブクラフトが作った怪奇小説の大系)に関連するの恐怖作品やホラー系作品を好む一方、東京創元社『ネバーランドのリンゴ』などの、メルヘン基調の楽しい作品なども選ぶ傾向があります。女性のゲームブックファンは趣向が暗いか明るいか、両極端なことが多いです」(トレーダーズギルド)
「1980年代に発売された大半のゲームブックは『男が主人公の中世ファンタジー物』だったため、女性の興味を引くような要素がないのかもしれません。その結果、現代を舞台としたホラー物や、主人公が妖精であったりするようなメルヘン物が選ばれたのではないでしょうか」(トレーダーズギルド)
へー、へー、へー。
●若い読者もいる
同店では近年、若年層の問い合わせも増加傾向にあるといいます。特にニンテンドーDS向けにアトラスから発売された『世界樹の迷宮』シリーズや『進撃の巨人 ゲームブック』シリーズ、推理小説『都会(まち)のトム&ソーヤ』のスピンオフ企画である『都会(まち)のトム&ソーヤ ゲームブック』といった人気作品のゲームブックを体験した人から、「こういった、話が分岐するようなゲームブックはほかにもあるのか」といったような問い合わせを受けるといいます。
ほほう。なんとなく嬉しい話ではありますな。
●紙のゲームブックの利点?
代々木さん同様、トレーダーズギルドにもゲームブックの魅力を聞いてみました。
「選択によって結末が変わってくる小説だということが大きな魅力です。また、紙のゲームブックはデジタル版より手軽というのもメリットです。近年ではあらゆる書籍がデジタル化していますが、『ページを飛び飛びに読まねばならない』ゲームブックについては、電子書籍版はページを都度指定する必要があり、紙の本でページをめくるよりも手間がかかりますし、ページの後戻りができないため、自由度もありません。その点、紙のゲームブックはページを飛ばしやすく、極端なことを言えば、『選択を誤ったらすぐに元のページに後戻りしてやり直す』のが簡単にできるのが、逆に自由度の高さ、手軽さになっているのではないと考えています」