【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」『北海道三毛別ヒグマ襲撃事件の謎に迫る』(2019年8月1日(木)放送)

羆嵐 (新潮文庫)

ダークサイドミステリー NHK https://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史…。こうした事件の数々を徹底再検証!


人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

北海道三毛別ヒグマ襲撃事件の謎に迫る (2019年8月1日(木)放送)

 

内容

https://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2019-08-01/10/25085/2292010/
8月1日木曜
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時00分


ダークサイドミステリー「三毛別ヒグマ襲撃事件の謎に迫る」


女性や子どもの死者8人。ヒグマが小さな山村を襲った史上最悪の獣害は、なぜ起きたのか?凶暴な魔獣を生み出したのは人間なのか?惨劇の真相から自然との共生の道を探る。


雄大な山野の小さな家を魔獣が襲った、謎の事件。大正4年、開拓の夢に生きる人々、特に女性や子どもが殺され続け、死者8人。日本史上最悪の獣害と言われる「三毛別ヒグマ事件」は、事件から100年以上たっても、今なお謎が多い。本来、人間を警戒し接触を避けるヒグマが、なぜ連日人々を襲ったのか?なぜヒグマは多数の銃から逃げ延び、不死身ぶりを発揮したのか?人間とヒグマは共存できるのか?知られざる戦いの全貌を描く。


【出演】栗山千明,関秀志,間野勉,【語り】中田譲治,【アナウンサー】片山千恵子

 
 今回のテーマは「三毛別(さんけべつ)ヒグマ事件」


●日本史上最悪の獣害

 大正4年(1915年)12月に北海道の開拓地の小村にヒグマが出現し、村人の内8人を殺害し、最終的に射殺された。この事件は獣害としては日本史上最悪である。



●ヒグマ襲撃

 事件の舞台となったのは、北海道・苫前郡苫前村(とままえぐん・とままえむら)の川の上流にある六線沢(ろくせんざわ)という谷。六線沢に暮らしていたのは15戸・約40人。

 11月中旬。六線沢の家の一軒の近くにヒグマが現れ、軒先に干してあったトウモロコシを食べあさるようになった。そのため住人が銃で追い払ったものの、殺すには至らなかった。


 12月9日。この日は六線沢の男たちは集団で作業をしていて、家には女子供しか残っていない状態だった。ヒグマは真昼間に家を襲い、男児を殺し、女性を連れ去った。男たちが血の跡を追っていくとヒグマに体の大半を食われた死体が見つかった。男たちは葬儀のためその遺体を家に運んだ。


 12月10日。ヒグマ襲撃が伝えられ、周囲の村々から銃を持った男たちが集まり、ヒグマ狩りを行ったがヒグマは見つからなかった。夜、前日の襲撃で亡くなった二人の葬式が行われていたところをヒグマが再襲撃した。銃を持った男たちが射撃したもののヒグマは取り逃がしてしまう。この襲撃は、人間が被害者の遺体を持ち帰ったのを、ヒグマは自分の獲物を横取りされたと考え、取り戻すために襲ったと推測される。

 直後、別の家をヒグマが襲撃し、女性一人・子供五人が死亡し、二人が重傷を負った。銃を持った男たちが駆け付けて来るものの、またしてもヒグマの逃走を許してしまう。

 この襲撃に、ついに六線沢の住人は家を放棄し、川下の村へと避難していった。



●ヒグマ討伐

 12月12日朝。ヒグマ駆除のため、警察によって討伐隊が組織され、その規模は人員270人・鉄砲60丁以上という大がかりな物であった。討伐隊は、人口の多い村にクマを入れさせないため、六線沢との間を流れる三毛別川に防衛ラインを敷いた。

 12月13日夜8時。川岸にヒグマが出現したため、鉄砲で射撃したところ、確かに一発命中したもののヒグマはそのまま逃走する。ヒグマは脂肪で体を覆っているため、脳か心臓を直撃しない限り、仕留めることは困難だった。

 翌12月14日。討伐隊はヒグマを山に追い込んだ。討伐隊には伝説のマタギと言われた山本兵吉が参加していた。ヒグマの事を熟知していた山本は待ち伏せしてヒグマを迎え撃ち、頭と心臓を撃ちぬいた。こうして事件はようやく終息した。



●異常なヒグマになる条件

 この事件を引き起こしたヒグマが何故ここまで狂暴化してしまったのか。これには複数の条件が重なってしまったためだと推測される。


条件1:人里に近づく
 食べ物目当てで人里に近づき、その結果人間への警戒心が薄れてしまう


条件2:人間に近づくといい事があると学習する
 家の軒先に干してあったトウモロコシを食べた。そして人家に行けば収穫されてそのまま食べられるトウモロコシが簡単に手に入ることを学んでしまった。こうなると積極的に人里に現れるようになる。


条件3:人間を弱いと知る
 ヒグマが人間に出会ったとき、人間が逃げたり悲鳴を上げたりすると、人間は弱い生き物だと気が付き、人間を襲うヒグマになってしまう。最初の襲撃の際、悲鳴を上げるなど弱みを見せたため、クマが人間は警戒するほどの相手では無いと見抜いてしまった、と思われる。


条件4:人間の味を覚える
 人の肉を食べて味を覚えてしまうと、もう人を襲う人食いクマになってしまう


 結局、11月にトウモロコシを食べに来た段階でヒグマを仕留められなかったことが、その後の事件を引き起こすことになった。開拓民たちは全員内地の出身であり、ヒグマに対する知識は持ち合わせていなかった。



●クマの人間との接近

 現代、北海道ではクマが人間の近くに出没する事例が頻発している。そういったクマに対する対処は「駆除」である。しかし、実はクマがそういう行動をとるのは、人間の側の不注意という面が大きい。住民の側にも、クマに対する正しい知識を持つ普及教育が重要となるだろう。



●事件の教訓

 三毛別事件は、新聞でセンセーショナルにとり上げられたものの、実際に何が起きたのかが詳しく調査されることは無かった。事件から50年後の昭和40年(1965年)、木村盛武氏が事件の生存者に聞き取りを行い、事件の詳細な調査を行った。その結果、木村氏はクマ被害の99%は人間の側に原因があるのではないか、と推測している。


感想

 1970年代の動物パニック映画そのままの内容で有名な三毛別ヒグマ事件。番組開始当初からラインナップに上がっていましたが、いよいよ放送されました。真昼間にいきなり家の壁をぶち抜いて襲ってくるとか、お葬式の最中に再度突っ込んでくるとか、女子供しかいないところを狙って襲うとか、本当にパニック映画そのままの展開で身震いしそうでしたよ。

 スタッフが事件の現場の六線沢まで行ってきっちり取材しているのが凄い。もう人は住んでいなくてただの森の中なのですが、案内の人が銃を撃てるようにきっちり準備しているのがなんとも緊張感ありました。


 そして札幌や知床では、クマがどんどん人間の近くに現れるようになっているとか。怖っ。
 
 

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出演者
栗山千明 (くりやま ちあき)
BIRTHDAY 1984年10月10日
BLOOD TYPE A型


ゲストトーク司会: 片山千恵子アナウンサー


テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”


語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『ゴールデンカムイ』(土方歳三)、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(タンクジョウ)、『宝石の国』(金剛先生)、『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fateシリーズ』(言峰綺礼

 
 
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慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 (文春文庫)