感想:アニメ「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」第26話(最終回)「この世の果てで恋を唄う少女」:名作ではないけど、そこそこには満足できる内容だった

この世の果てて?恋を唄う少女(YU-NO盤)

TVアニメ「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」公式サイト http://yuno-anime.com/
原作ゲーム http://yu-no.jp/
放送 BSフジ。全26話。

【※以下ネタバレ】
 

第26話(最終回) この世の果てで恋を唄う少女

 

あらすじ

 帝都の地下水道で失神していたエィッリィククワッドゥロッウ(絵里子)は、亜空間からやって来た霊体に目覚めさせられるが、その相手はA級次元犯罪者に襲われて、次元の彼方に行方不明になっていたアーベルだった。

 龍蔵寺は亜由美に刃物を突き付け、たくやに思念体を拘束するバリアの装置を破壊するように命じるが、たくやはそれを拒否する。しかし神帝の側近が龍蔵寺のナイアーブで操られ、バリア装置を破壊してしまった。亜由美は龍蔵寺に刺され、さらに自由になった龍蔵寺はA級次元犯罪者としての正体を現し、マザーを破壊にかかる。

 しかしそこにアーベルと絵里子が現れ、アーベルが竜造寺/A級次元犯罪者を拘束、自分と共に絵里子に撃たせ、アーベルの犠牲で竜造寺は倒された。任務の終わった絵里子は管理局本部によって強制召喚され、たくやの前から姿を消した。刺された亜由美はたくやの目の前でこと切れた。

 儀式が終わり、ユーノはグランティアと融合した存在となり、使命を果たすために旅立った。しかし、既にデア=グラントと地球の衝突は回避不可能な状態となっていた。ユーノは犠牲者を出さないため、デラ=グラントを過去の誰もいない時代へと移動させるが、それは巫女である自分が果てしなく過去へと吹き飛ばされるという犠牲を伴っていた。そしてデラ=グラントは地球に激突した。


 神奈はたくやが自分のために超念石を取りに行くのを見送るが、その直後たくやが戻ってきて神奈に超念石を手渡す。たくやは神奈と母親の二人が写っている写真を見て、その母親こそ空間の裂け目に消えたアマンダだったと気が付く。そしてたくやは神奈の目の前で消滅した。


 たくやが目覚めると、また深夜の三角山のふもとに戻っていた。たくやが周囲を探すと、やがて岩陰にユーノが出現する。ユーノは、デラ=グラントは8000年前のこの場所に墜落したのだと言い、たくやに別れを告げるが、たくやはユーノと共に行くと言って抱きしめる。

 最後、広大と恵子がたくやに別れを告げる。たくやとユーノは何もない空間を漂っていたが、やがて前方にブリンダーの木の芽が生えてくるシーンを見る。ユーノはこの木に名前を付けるというところで〆。


感想

 ついに最終回。伝説のAVGのラストなので、感動するのかと思ったのですが……、意外とそうでも無かったな……

 ゲームをプレイした時には気が付かなかったのかもしれませんが、デラ=グラントの地球への激突について。いくら8000年前でも人(の祖先)はいるのでは? それに大陸レベルのサイズのデラ=グラントが墜落したら、地球は壊滅してしまうのでは? そして地球の人間の犠牲は避けられても、デラ=グラントに生きていた者はみんな犠牲になってしまったから、あんまり良い解決策ではないのでは? と実に釈然としない……

 まあ、一話目の三角山のふもとで裸の女の子と会うイベントが、最後の最後で回収されたのは壮大な感じはしましたし、神奈の母親の事も「そう回収するか」とちょっと感心しました。既に一度ゲームで体験したはずなんですけど、全部忘れてた (^-^;)

 最終回もゲームのBGMが一杯使われていて、あの曲を聞くだけで、凄い荘厳感がかもしだされて、そこだけは(?)最終回に相応しいと思いました。

 なんかラスボス(?)の竜造寺があっさり死に過ぎて拍子抜けとか、最後にユーノは何を言おうとしたのか解らんとか、何かと不満点も有りますが……、まあ、それなりの最終回だったとは思います。何よりすっかり忘れていたゲーム内容を再チェックできたのは良かったなと。
 
 
 

参考

▽現世編
・1~6話(6回) 亜由美編
・7~11話(5回) 澪編
・12~13話(2回) 絵里子編
・14~17話(4回) 神奈編
異世界編 18話~26話(9回)
 
 
 

総括

 評価は○(まずまず面白かった)。
 
 原作は2017年にPS4で発売されたAVG……、ですが、実はPS4版はリメイクで、オリジナルは1996年にパソコン向けに発売された(18禁の)アドベンチャーゲーム。オリジナル版は、発売当時から伝説級の評価を得た作品だっただけに、下手なアニメ化になったらどうしてくれよう、と危惧していましたが、意外にも程々に見れる作品に仕上がっていました。


 高校生・有馬たくやは、幼いころに母を亡くし、さらにまた歴史学者の父親・広大(こうだい)も事故で死んだため、義理の母親・亜由美と二人きりになってしまう。しかしたくやの元に広大から自分は生きているという手紙と共に、「リフレクターデバイス」なる奇妙な装置が届けられる。そしてたくやはこの時から、リフレクターデバイスを使い、無数の「並列世界」を旅することになる……


 原作(1996年版)は、シナリオライター剣乃ゆきひろ氏(後に管野ひろゆきと改名)の最高傑作とも言われる作品で、発売されると、その独創的なシステムと壮大なストーリーが(18禁ゲームにも関わらず)大絶賛されて、あっという間に伝説と化しました。

 私はオリジナル版はそう好きでは無かったのですが、それでも、AVGの金字塔的至宝であるだけに、下手なアニメ化をしていたら許さない! みたいな気持ちで視聴してみたのですが、「名作」ではないにしても、原作の名前を汚すほどの駄作でも無かったので、そこそこは満足できた、というところでした。


 まあ絵は「それなり」で特に評価するところは無かったものの、声優はPS4版と同じで有名声優が多数出演しているため安心の演技。そして肝心のシナリオは、アニメ化するにあたって、ある程度ゲームから端折っている部分は有りましたが、ゲームの雰囲気というかはほぼ押さえていて、見ていて憤慨するような事も無く、その辺りは評価出来ました。ゲームの「謎が謎を呼ぶミステリアスな雰囲気」を、それなりに忠実に再現出来ていたと思います。

 またBGMは全部かどうかは不明ですが、少なくとも何曲かはゲームのBGMが使用されていて、ここぞという場面で流れる荘厳な曲に「ああ、こんな曲が有ったよね。懐かしい……」としみじみしてしまいました。


 まあ、苦言を呈するとすれば、19話からの異世界編で、とにかく展開がだるくて参りました。まあこれは原作もそうだったのでアニメの責任では無いのですが、これからクライマックスに突入だ、と意気込んでいたら、いきなり「右も左も分からない異世界でゼロからリスタート」ですから、もうかったるいのなんの……(だから原作ゲームもあんまり好きではない……、ユーノの事で時間をかけなければならないのもわかりますけど)

 また、シナリオは原作のせいだとしても、絵も「異世界の雰囲気」というものを殆ど醸し出せておらず、目茶苦茶安っぽい感じが漂っていて、この辺りはボロが出たなぁという感じが……


 しかしまあ、全体的に見れば健闘していたと言ってよいと思います。「極上」ではないにしても、ゲームの雰囲気を再現してのアニメ化、というラインはクリアしていました。後世に語り継がれる作品になるかは非常に微妙ですが、原作に思い入れのある人間にとっては、まず悪くないアニメ化だったと評価したいと思います。
 
 

この世の果てで恋を唄う少女YU-NO


主人公・有馬たくやは幼少期に母を亡くし、歴史学者である父も二ヶ月前に事故で亡くしてしまった。

全てにおいて活力を失ってしまった学生最後の夏休み。
ある日、用途不明の丸い鏡とガラス玉のはまった妙な物体が入った小包が届けられる。
同梱されていた手紙には父親が生きていると思わせる内容が…?!

「今夜10時に、この物体を持って剣ノ岬(三角山)へ行け」

指示に従いその場へ向かうと、謎の女性が倒れていた。
そこには学園長と謎の転校生の姿も。

瞬間、地響きとともに光に包まれる…。

並列世界を駆け巡る旅が、今、始まる。



制作会社
feel.


スタッフ情報
【原作】菅野ひろゆき、MAGES.
【監督】平川哲生
【キャラクターデザイン】大塚舞
【美術背景】ととにゃん
【音響監督】たなかかずや
【音楽】ヨナオケイシ、高見龍、エバン・コール、川村竜
【プロデュース】GENCO


音楽
現世編
【OP】亜咲花「この世の果てて恋を唄う少女」
【ED】鈴木このみ「真理の鏡、剣乃ように」
異世界
OP MOTHER 歌:鈴木このみ
ED 神の数式 歌:亜咲花



キャスト
有馬たくや:林勇
ユーノ:小澤亜李
波多乃神奈:内田真礼
一条美月:大西沙織
島津澪:釘宮理恵
武田絵里子:小林ゆう
朝倉香織:前田玲奈
有馬亜由美:名塚佳織
龍蔵寺幸三:楠大典
結城正勝:藤原祐
豊富秀夫:江口拓也

 
真理の鏡、剣乃ように(アニメ盤)
この世の果てで恋を唄う少女YU-NO 【同梱特典】オリジナルNEC PC-9800シリーズ版 DLCカード 付-PS4
Yuーno完全ガイド―この世の果てで恋を唄う少女 (アソコン・ブックス)