【SF小説】感想「クラスト・マグノの管理者」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 555巻)(2017年10月19日発売)

クラスト・マグノの管理者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ555)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121478
クラスト・マグノの管理者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ555) (日本語) 文庫 2017/10/19
マリアンネ・シドウ (著), エルンスト・ヴルチェク (著), 星谷 馨 (翻訳), 稲田 久美 (翻訳)
文庫: 260ページ
出版社: 早川書房 (2017/10/19)
発売日: 2017/10/19

【※以下ネタバレ】
 

ローダンの銀河系船団は無限アルマダの"惑星の民"から救難信号を受信する。彼らの人工惑星"故郷"が崩壊しようとしていた……


無限アルマダの追跡をかわそうとフロストルービンに突入した《バジス》だったが、再実体化したM-82銀河に僚船の姿はまったく見えなかった。どうやら、フロストルービンのなかで空間と時間の秩序が乱されたらしい。銀河系船団のみならず、無限アルマダも混乱するなか、なぜかアルマダ炎を失うアルマディストが増えていく。そんなとき、《バジス》は"プラネット・ピープル"と名乗るアルマダ種族の救助要請を受信した!

 

あらすじ

◇1109話 惑星の民(マリアンネ・シドウ)(訳者:星谷 馨)

 アルマダ種族は、M-82銀河に移動後、艦隊がバラバラになり、アルマダ中枢との連絡が途絶えたうえ、さらに次々とアルマダ炎が消え始めたために大混乱に陥っていた。《バジス》はアルマダ種族『プラネット・ピープル』と遭遇し、彼らの内紛に巻き込まれるが、結局プラネット・ピープルは定住できる惑星を見つけるため、無限アルマダから離脱して姿を消した。(時期:不明。NGZ426年6月頃)

※初出キーワード=プラネット・ピープル、クラスト・マグノ



◇1110話 クラスト・マグノの管理者(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:稲田 久美(新規加入))

 《バジス》はテラ船の救難信号を受信して急行したところ、アルマダ種族『プシュート』がテラ船を拿捕していた。プシュートは、小惑星サイズの有機物「クラスト・マグノ」の管理を使命としており、その為の人員としてテラナーを利用しようとしていた。ローダンは、クラストはアルマダ総司令官「オルドバン」の器官と呼ばれており、他にもいくつかのクラストが存在していることを知る。ローダンはプシュートと交渉し、平和裏にテラナーを解放させた。(時期:不明。NGZ426年6月頃)

※初出キーワード=プシュート、白いカラス、クラスト・アルサ、クラスト・シークス、クラスト・ヴェンドル、プテモ=オガイデン、小飛行士

あとがきにかえて

 新しく翻訳チームに参加した稲田久美氏の自己紹介。


感想

 前半。ほぼ全てがゲストの昆虫種族「プラネット・ピープル」の物語で、プラネット・ピープルの特殊な生態や、アルマダ内に惑星もどきの何かを作ってしまう程の「惑星」についての異様なこだわり、等、設定がやたらと作りこまれており、一話限りで使い捨てにする種族とは思えない力の入りようでした。マリアンネ・シドウは凝り性なのでしょうか。

 終盤(というか残り4ページの時点)、《バジス》船内に潜んでいた巨大昆虫たちがいきなり出現して乗員に襲い掛かって来るのを読んで、この展開を残り数ページでどう収拾するのかとハラハラしていたら、艦隊がどこかに行ってしまったので船内の昆虫たちがすぐに死滅した、というオチに、腰が砕けそうになりました……、凄い結末……


 後半。未知の物体クラスト・マグノを巡るお話。捕虜にされたテラナーがクラスト・マグノに接続されて養分にでもされるというホラーな展開かと身構えたのですが、一定時間後には解放してくれるそうで、そうひどい話でも無かったので一安心でした。

 ラス前にローダンたちが「アルマダ年代記」を保存している「年代記の記録官」を訪ねると、それは古いコンピューターで、しかも既に遥か過去に動かなくなっていた、という展開が妙に気に入りました。こういう感じの「太古の遺跡を訪ねると、そこには朽ちたコンピューター/記録装置が……」みたいな話は何だかワクワクするんですよね。
 
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 

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