【SF小説】感想「思考プラズマ」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 559巻)(2017年12月19日発売)

思考プラズマ (宇宙英雄ローダン・シリーズ559)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121575
思考プラズマ (宇宙英雄ローダン・シリーズ559) (日本語) 文庫 2017/12/19
H・G・エーヴェルス (著), K・H・シェール (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
文庫: 266ページ
出版社: 早川書房 (2017/12/19)
発売日: 2017/12/19

【※以下ネタバレ】
 

第二の地球をつくるはずのプロジェクションが未完成のままプラズマ状態となる。それが人々にさまざまな影響をおよぼしはじめた!


“それ"が地球をヴィシュナの攻撃から守るために考えたのは、テラナー数百万人の思考エネルギーを使ってプロジェクションによる第二の地球をつくり出すという作戦だった。ところが、触媒として機能するはずのエルンスト・エラートの意識を宿した銀河商人メルグ・コーラフェが行方をくらましたため、プロジェクションは未完成のままプラズマ状態となる。そのプラズマが、地球の人々にさまざまな影響をおよぼしはじめた!

 

あらすじ

◇1117話 思考プラズマ(H・G・エーヴェルス)(訳者:嶋田 洋一)

 第二の地球の創造のため精神エネルギーを提供した人々は、計画が失敗した反動で精神に異常をきたしていた。ブルたちは元凶であるプラズマを破壊しようとするが、精神波による反撃を受けて攻撃もままならない。一方失踪していたエラートは、メルグの肉体の主導権を取り戻し、ブルたちの元に帰還した。そしてエラートが触媒となって、人類が提供した精神エネルギーと“それ”の用意した精神エネルギーを融合させることで、第二の地球と月が創造された。(時期:不明。NGZ426年6月頃)

※初出キーワード=パラノーマル不調和



◇1118話 提督と銀色人(K・H・シェール)(訳者:嶋田 洋一)

 M-82銀河。クリフトン・キャラモンたちはM-82に到着以降孤立していたが、さらにアルマダ工兵に捕えられてしまった。キャラモンはアルマダ工兵から、無人惑星に墜落した『データ収集船』の中から「アルマダ年代記」のデータを回収するように強制されるが、データは墜落時に全て消失していた。直後、白いカラスの情報を元に《バジス》が駆け付け、キャラモンたちは救出された。キャラモンはデータ収集船の航行用データを持ち帰っていた。(時期:NGZ426年6月20日~8月3日)

※初出キーワード=アンシュミト人、データ収集船、惑星「薪(たきぎ)の山」


あとがきにかえて

 2017年10月に秋田県由利本荘市市で開催されたSF大会「HONGCONG(ホンコン)15」の話。


感想

 前半。プラズマのせいで太陽系が大混乱になるわ、メルグは人を殺しまくるわ、と、大混乱ばかりのエピソード。最後は取ってつけたように「第二の地球と月が無事出来ました」で締めくくられますけど、犠牲が大きすぎるのでは……、あとメルグの兄ヤミシュがあっさり殺されるとは……、予想外の展開にビックリ。


 後半。シェールの持ちキャラクリフトン・キャラモン大活躍の回。キャラモンが短針銃という兵器のスペックを延々説明したり(P170~171)、エルトルス人に偽装したロボットが登場したり、旧式の500メートル級巡洋戦艦が活躍したり、と随所に「シェールっぽさ」が出ていて、なんとも懐かしい空気の回でした。しかしこれからも活躍すると思っていた巡洋戦艦《ソドム》が退場してしまったのは残念。
 
 
 

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