【SF小説】感想「炎の管理者」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 573巻)(2018年7月19日発売)

炎の管理者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ573)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121885
炎の管理者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ573) (日本語) 文庫 2018/7/19
H・G・エーヴェルス (著), デトレフ・G・ヴィンター (著), 天沼 春樹 (翻訳)
文庫: 270ページ
出版社: 早川書房 (2018/7/19)
発売日: 2018/7/19

【※以下ネタバレ】
 

銀河系船団の艦船に起きた異変は、アルマダ印章船が危険にあることを告げていた。フェルマー・ロイドらが印章船に向かうが……!?


銀河系船団所属のカラック船《ボサ・コヴァ》が、惑星バジス=1にもどってきた。ところが、乗員たちはまるで幽霊でも見たように茫然自失の状態だ。やがて、バジス=1にいたほかの艦船の乗員たちも奇妙な衝動にかられて支離滅裂な行動をとりはじめ、ローダンやアトランは不審に思う。そのうち《バジス》に同乗していたシグリド人たちが船を出てどこかへ向かった。サイバネティカーのフラガン・タインがあとを追うが……

 

あらすじ

◇1145話 炎の管理者(H・G・エーヴェルス)(訳者:天沼 春樹)

 銀河系船団の一隻が遅れて惑星バジス=1に到着するが、乗員の様子が普通ではなく、さらにその異常が他の船の乗員にも伝染してしまう。ローダンは、最初の一隻が、偶然にも行方不明だった「アルマダ印章船」と遭遇して、乗員が何らかの影響を受けたと知り、すぐさま印章船捜索の調査隊を送りだした。印章船内には既にアルマダ工兵が侵入しており、調査隊を抹殺しようとするが、逆に「アルマダ炎の管理者」によって消滅させられる。管理者はテラナーを信頼し、アルマダ炎十個を提供したあと、印章船と共に姿を消した。(時期:不明。NGZ426年12月頃)

※初出キーワード=トルクロート人(アルマダ蛮族)、アルマダ炎の管理者、ウリアネティク



◇1146話 アルマダ蛮族の攻撃(デトレフ・G・ヴィンター)(訳者:天沼 春樹)

 アルマダ種族の一つで「アルマダ蛮族」の異名を持つ「トルクロート人」は、他のアルマダ種族の艦隊の戦闘力をテストする役目を持っていたが、アルマダ中枢との連絡が途絶した後は他種族を襲って略奪を行う真の蛮族と化していた。アトランはトルクロート人艦隊が惑星バジス=1の近傍で戦闘を行っていることを知り、≪ソル≫で偵察に向かい、停戦させるためアルマダ中枢の使者と名乗る。そして、トルクロート人の司令官を素手で倒した後、さらにアルマダ炎を身に着けることで、トルクロート人を心服させることに成功した。しかしローダンは、バジス=1に帰還した≪ソル≫がトルクロート人艦隊五万隻に追撃されていることを知る。(時期:不明。NGZ426年12月頃)

※初出キーワード=カプセル光線族、蛮族ウェーヴ


あとがきにかえて

・天沼春樹氏が366巻「ベラグスコルス強奪」(2009年11月刊)から9年ぶりに翻訳チームに復帰した話。
・飛行船博士として頑張っていた話。
・自転車で転倒して右目に怪我をした話。


感想

 前半エピソード … 久々に痛快なエピソード。ついに謎の「アルマダ印章船」にたどり着き、アルマダ炎を手に入れる展開は、少しばかり懐かしの「永遠の生命の星」探索の頃を思い出しました。また謎の存在がテラナーを信じてアルマダ炎十個を提供するくだりは、かつてのテラナーが「宇宙でも特別な種族」扱いされていたころのノリがあって、なんとなく高揚感を感じましたね。宇宙ハンザ時代になって「テラナーは特別」という雰囲気がすっかりなくなってしまいましたから、余計に嬉しくて。


 後半エピソード … アトランがおなじみの謎の体術「ダゴル」と、アルマダ炎を使ったハッタリで、狂暴なアルマダ蛮族を平定するお話で、これもなかなか面白い話でした。ダゴルの詳細は全く不明ですが、2Gの環境に適応した身長二メートルの相手を簡単に吹っ飛ばせるとはどんな技なのか興味津々です。アトランへの付帯脳の突っ込みも久々で懐かしかったですね。
 
 

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