【コミック】幕末新選組漫画「風光る」(渡辺多恵子)ついに完結(月刊flowers2020年7月号)

月刊flowers(フラワーズ) 2020年 07 月号 [雑誌]

時は幕末。文久3年(西暦1863年)の京都。富永セイは、兄と父を「幕府を倒し天皇政治を起こそうとする長州勤皇派」に殺されてしまう。仇を討とうと考えたセイは、長州勤皇派に対立して兄が入隊したかった、「壬生浪士組」の入隊試験を受けた。そのために、名前を神谷清三郎とかえ、性別も男と偽った。なんとか入隊を許され、副長助勤の沖田総司の下に付くことができた清三郎。ところが、まわりはケダモノのような浪士だらけで…!?幕末青春グラフィティ!!

【※以下ネタバレ】
  
 ベテラン少女漫画家・渡辺多恵子氏が1997年から連載していた新撰組テーマの漫画「風光る」が、5月28日発売の月刊flowers2020年7月号で遂に完結しました。足掛け23年の超長期連載でした。

どんなお話?

 幕末。主人公の富永セイは、長州の人間に父と兄を殺害されたため、男装して名前を「神谷清三郎」と変え、亡き兄が入隊を希望してた壬生浪士組に入隊するが……

 といった感じで、セイ/清三郎は、近藤、土方、沖田、といった有名キャラの側で、あまりにも有名な壬生浪士組新選組の歴史を体験していくことになります。

 こんな風に書くと、「少女漫画誌だし、男装女子が男だけの世界で正体がばれないように色々頑張るコメディなんでしょ?」と誤解されそうですが……、ストーリーはごくまっとうな歴史物。渡辺多恵子氏の柔らかい絵柄なので残酷さはありませんが、史実通り人はバッサバサ死んでいきます。オリジナル展開で生き残ったりはしません……


 以前に書いたのですが、

perry-r.hatenablog.com

・「風光る」は最初読者から文句が多かった。そもそも伝わっている歴史は勝者が捻じ曲げている。勝ったほうが、負けたほうが極悪人だったことにしないと困ることをやっているから、幕府方はめちゃくちゃ悪党に書かれる。そういう事をきちんと認識しないといけない。

新選組芹沢鴨は「極悪人」とイメージが固まっている。漫画で優しそうな鴨にしたら、読者から文句の嵐。小学生読者からは「渡辺先生はもっと歴史を勉強してください」と文句を言われた(笑)

 
 ということで、渡辺史観というか、そういう感じで描かれていますが、別にフィクションというわけではなく解釈の違いというところなので、これはこれで面白かったです。


最終回は

 沖田はセイに見守られて息を引き取った。同じころ旧幕府側は新政府軍の猛攻で北へ北へと押されていき、新選組のメンバーも次々と死んでいった。

 土方は榎本武明たちと共に北海道に逃げのび、ここで蝦夷共和国を立ちあげるが、そこにセイがやってきて、沖田が死んだ事を伝え、ここで一緒に死なせて欲しいと頼み込む。土方はセイが女であることを理由にそれを認めず、ここから立ち去るように言う。

 そして明治八年。医学の道に進んでいたセイが男の子を育てている場面で〆。


コメント

 いやホント長かった(笑) 何せ23年ですからね。

 大抵の新撰組漫画とはアプローチが異なり、バトルシーン重視ではなく人間ドラマに重点を置いていたので、時々(というかかなり)展開がスローに感じるときもありましたが、歴史物としていい出来だったと思います。新選組の最後の最後まできっちり描いたのもポイント高し。長期連載に相応しい満足の行く結末でした。ということで、総合的に見れば良い漫画だったと思います。

 まあ「新撰組が好きな人にはお勧め」とかは言う気は有りませんが、私は好きな漫画でした。
 
 
 

おまけ

渡辺多恵子風光る」23年の連載に幕、11月には番外編も登場 - コミックナタリー
2020年5月28日 11:28
https://natalie.mu/comic/news/380803

natalie.mu



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