ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。
www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
他の回の内容・感想
本当の謎は、人間の闇
背筋がザワザワ、心がドキドキ、怖いからこそ…見たくなる！
世界はそんなミステリーに満ちている。
未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史など、謎と恐怖の正体に迫ります！
陰謀！？ タイタニックは沈められた？ ～新説・奇説謎の真相に迫る～ (2020年6月11日(木)放送)
内容
ダークサイドミステリー「陰謀！？タイタニックは沈められた？ 謎の真相に迫る」
[ＢＳプレミアム]2020年6月11日(木) 午後9:00～午後10:00(60分)
絶対安全「不沈船」タイタニックは、なぜ沈んだ？最新研究で浮かぶ闇…陰謀で沈められた？極秘の火災があった？別の船とすり替えられた？徹底検証で意外な真相が明らかに！
世界が泣いた！１９１２年、巨大豪華客船・タイタニック号沈没。初航海で氷山に衝突し、１５００人以上が犠牲になった大災害には、今も謎が多い。最新研究から悲劇の真相に迫る！▽タイタニックは同型船とすり替えられ、わざと沈められた？陰謀の存在を示すさまざまな証拠は、本当か？怪しげなウワサを徹底検証！▽最新情報！船内で出航前から火災が起きていた？なぜ運営会社は隠ぺいしたのか？衝撃！火災が沈没を招く仕組みとは？
今回のテーマは、20世紀最大級の海難事故「タイタニック号の沈没」。
●タイタニック号の沈没
1912年4月10日、豪華客船タイタニック号が、イギリス・サウサンプトンからアメリカのニューヨークを目指して出港した。到着予定は4月17日。タイタニック号は、当時世界最大級の豪華客船で、全長269メートル、総トン数4万6,000トン。建造費は現在の金額で220億円。移動するホテルともいえるほどの施設を持ち、また船内は浸水を防ぐための15枚の防水隔壁で仕切られ、不沈船と称された。
4月14日（日曜日）。出港から五日目。タイタニック号はニューファンドランド島沖辺りに達するが、この辺りは北極海から流れて来る氷山が多い海域だった。夜11時40分、タイタニック号は右舷に氷山が衝突し、それからわずか2時間40分後の午前2時20分に沈没してしまった。乗員乗客合わせて2200人のうち、生存者はわずか700人だった。
●タイタニック号はわざと沈められた！？
イギリスの作家ロビン・ガーディナーは、1995年に発表した著書で、タイタニック号はわざと沈められたという陰謀論を主張した。
沈没後に開かれた査問委員会では、沈没当日、他の船が氷山について電信で警告していたにもかかわらず、船長エドワード・J・スミスは読まずに、ホワイト・スター・ライン社社長のブルース・イズメイに渡し、イズメイはそれをポケットにしまい込んだと、イズメイ自身が証言している。二人は警告を無視し、船をフルスピードの22.5ノット（時速42Km）で進ませた。その理由は何か。
実はタイタニック号には保険金がかかっており、沈没時には500万ドル（150億円）が支払われることになっていた。またタイタニック号には、一年前に完成した姉妹船「オリンピック号」が存在し、見た目がそっくりだった。ところがオリンピック号は、建造後数か月で海軍の巡洋艦と衝突して大損害を受けたうえに、スクリューの脱落事故を起こし、その修理代で会社のお荷物になっていた。
つまり会社は、お荷物のオリンピック号を、タイタニック号と偽って出発させてわざと沈め、保険金を手に入れようとした、というのである。
その証拠に、ホワイト・スター・ライン社の実質的オーナー、金融王J・P・モルガンは、タイタニック号に乗船する予定だったのに、直前でキャンセルしている。
すりかえの証拠としては、
(1)船首の窓の数。タイタニック号は建造直後は窓が14枚なのに、出発直前は16枚ある。そしてオリンピック号も窓が16枚あった。
(2)プロムナードの有無。沈没した「タイタニック」の映像を見ると、客室横の通路「プロムナード」があるが、これはオリンピック号にはあるがタイタニック号にはないはず。
●陰謀論への反証
もっとも、このすりかえ説は根拠のない怪しい説に過ぎない。
(1)船首の窓の数→実はオリンピック号も完成直後は窓は14枚で。あとから改造して16枚になった、よってタイタニック号も16枚に改造されたとしてもおかしくない。
(2)プロムナードの有無→確かにタイタニック号はオリンピック号と同じ階にはプロムナードは無いが、一つ上の階にはちゃんとプロムナードはあった。
またタイタニック号は401番ドックで建造されたが、沈没した船のスクリューを調べると、ちゃんと「401」と刻まれている。沈んでいるのは、間違いなくタイタニック号。
J・P・モルガンが何故タイタニック号乗船をキャンセルしたのかと言えば、インフルエンザにかかっていたから。
船長や社長が何故速度を落とさなかったかというと、当時氷山で船が沈むという事故は40年間起きておらず、誰も氷山を危険と思っていなかったから。また、社長は出来るだけ早く到着して会社の宣伝に使いたかったし、船長はこの航海で引退が決まっていたので、大西洋最速横断記録（ブルーリボン賞）を狙っていた、という説がある。いずれにせよ、安全より企業の利益を優先したために起こった悲劇だった。
●タイタニック号は何故2時間40分で沈んだのか
不沈船と呼ばれたタイタニック号は、何故2時間40分という短時間で、あっという間に沈んでしまったのか。その理由について、2017年にある写真を元に新説が発表された。写真は、出港9日前にイギリス・ベルファスト港で撮影されたタイタニック号で、右舷に黒い影が映っていた。セナン・モロニー氏は、これは石炭火災の煙が噴き出していると考え、タイタニック号は出航前から右舷に亀裂が入っていたと主張している。
実は、査問委員会でも、タイタニック号は出航前から船内の石炭が自然発火した火災が起きていた事が記録されている。煙の位置から見て、火災が起きていたのは、ボイラー室5番・6番の辺りだと推測される。
タイタニック号は、防水区画のうち４つまで浸水しても耐えられるようになっていた。そして氷山が衝突して、第１～第４区画が浸水したものの、本来なら沈まない筈だった。そして過去の説では、浸水が溢れて第五区画以降まで水が入ったため沈没したという「オーバーフロー説」が唱えられていた。
しかしモロニー氏は、石炭火災によって第五・第六区画の隔壁が熱のためゆがんだり亀裂が入ったりしていたため、そこから浸水してしまった、という「石炭火災原因説」を唱えている。
当時の法律では、石炭火災が発生している船は出航を禁止されていたが、役員は乗員にその事を口にしないように命令した。またイギリスの商務省の役人が出航前の視察に来た際も、ボイラー室と石炭庫の視察を上手く拒否していた。当時、ホワイト・スター・ライン社はオリンピック号の修理で財政難だったため、タイタニック号の出航を遅らせたくなかった、とモロニー氏は主張している。
●タイタニック号沈没以後
タイタニック号は、二重底・15枚の防水隔壁、など、当時の技術で考えられる限りの安全性を備えていた。そしてイギリス商務省の法律では、商務省が優れた水密区画があると判断した場合は、救命ボートは定員の半部程度で良いとされていた。だがこの規定のため、タイタニック号は2200人の内700人しか助からなかったのである。
業界は猛烈な批判を受け、1914年にイギリス・アメリカ・フランスなど海運国13か国は、「SOLAS（ソーラス）条約」(Safety of Life at Sea／海上人命安全条約）を採択し、「乗員全員分の救命艇を備える事」「流氷の監視の義務化」などを定めた。この条約は現在までに60回以上改訂されている。
また船の設計思想にも変化がもたらされ、沈むことが前提となり、客船の場合は、乗員の生存確率が80～90パーセントでなければ認められない。安全確率100パーセントはあり得ない。その中でどのように人の命を守っていくのか。タイタニック号の悲劇は人類の安全に対する意識を変えた。
感想
今回のテーマは、映画にもなって知名度抜群のタイタニック号沈没事故。前半は、陰謀論マニアの間では常識となっている「タイタニック号すり替え陰謀論」話、後半は「タイタニック船内火災」話、の二本立てとなっており、充実度バッチリでした。満足。
おまけ
昨今の新型コロナウイルス流行を受け、番組も「闇のナビゲーター・黒い栗山千明が黒いマスク姿で登場」、「過去回では青井アナと二人のゲストが三人でトークする形だったのに、今回はリモート形式のトーク」になっておりました。今後もずーっとこれなんだろうか……
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
perry-r.hatenablog.com
新装版 タイタニック号99の謎
Titanic: The Ship That Never Sank?
