映画「オリエント急行殺人事件」 フジテレビ https://www.fujitv.co.jp/b_hp/orient-express/
放送 フジテレビ系。2020年10月3日(土)
【※以下ネタバレ】
列車内で起きた殺人事件…容疑者は乗客全員?!ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス他アカデミー賞俳優陣による巧みなアリバイをあなたは解けるか?▽ナイル殺人事件映像も
あらすじ
1934年。私立探偵エルキュール・ポアロは、エルサレムで事件を解決した後、ロンドンへと戻るためイスタンブールからオリエント急行に乗り込んだ。車内でポワロは、アメリカ人実業家ラチェットから、何者かに命を狙われているので護衛をしてほしいと依頼を受けるが、ポワロはあっさり拒絶する。
やがて列車は雪で脱線事故をおこして立ち往生してしまい、しかもラチェットが何者かによってめった刺しにされて殺されているのが発見された。容疑者は同じ客室車内にいた13人のうちの誰かしかいない。ポワロは鉄道会社の重役ブークに頼まれ、警察が来る前に事件を捜査することになった。
ポワロはラチェットの部屋に残っていた脅迫状の燃えかすから、ラチェットの本名がカセッティだと気が付く。カセッティは二年前にアメリカで起きた「アームストロング事件」の犯人だった。この事件はアームストロング大佐夫妻の幼い娘デイジーが誘拐され、両親は身代金を払ったもののデイジーは死体で発見され、母親はショックで流産して死亡、アームストロング大佐も絶望で自殺していた。その後、犯人はカセッティと判明したものの、捕まることなく逃げおおせていた。
ポワロは捜査を進めるが、犯行現場では、パイプ掃除用具、女物のハンカチ、等、相矛盾する証拠が見つかり、さらに謎めいた赤いガウンを着た女、偽の車掌、などが車内にいたらしいことが解る。さらに容疑者全員はそれぞれ互いにアリバイを証明しあっていた。
ポワロは互いに無関係に見えた乗客たちが、実は全員がアームストロング事件の関係者であったことを見つけ出していき、ついに真相を掴む。客室車の中にいた13人全員が車掌も含めて全員共犯者であり、カセッティに復讐したのだった。しかしポワロは警察には、マフィアに雇われた暗殺者が外部から侵入してカセッティを殺し、そのあと逃亡したという説明をする。
途中で降車したポワロにエジプトからの呼び出しが届いていた。
感想
評価は△(薄っぺらい)。
映像は派手だが、中身は薄く見ごたえも何も無い映画。見るだけ無駄だったなと。
有名な俳優が山のように登場するし映像も綺麗……、しかしそれだけ。バタバタッと登場人物を紹介した後、すぐに「はい、これが真相だ!」でおしまい。見た目以外何も無いという……
原作小説の弁護のために書きますが、原作は物凄く面白くて、客車という閉鎖空間の中の誰かが絶対に犯人であるという緊迫感、有り余る(しかし、おそらくニセの)証拠、幻の赤いキモノの女、いるはずのない第二の車掌、といったゾクゾクする要素が満載で、しかも最後はあっと驚く結末となっており、さすがクリスティ作品の中でも一二を争う知名度なのも納得、の作品です。
しかし、この原作は映画化するのは全く向いていません。何故なら容疑者が13人もいるため、それらの人物を一々描写しているだけで時間を食ってしまい、二時間という枠で実のある話を展開するのは困難になってしまうからです。そのため本作も(1974年版の映画と同じく)乗客として豪華俳優を出演させ、オールスター映画的雰囲気で乗り切ろうとしていますが、話がつまらんのでは……
また原作にない要素を加味しているのもマイナス点。逃亡しようとした容疑者をポワロが全力疾走で追いかけて橋の上で取っ組み合いをするとか、ポワロが銃で狙わて危機一髪とか、ポワロが容疑者たちを前に「真相を隠したければ私をこの銃で撃ち殺せ」と凄んだりするとか、『いやいや、エルキュール・ポワロはそういうキャラではありませんから』と、一々腹が立ちました。
ホント、映像美と豪華俳優共演という要素以外何も無かったなこれ。
土曜プレミアム・映画「オリエント急行殺人事件」
前回の放送日時 2020年10月3日(土) 21:00~23:10
エルサレムで事件を解決した名探偵のエルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、イギリスでの事件解決を依頼され、急きょ、豪華寝台列車オリエント急行に乗車する。アメリカ人富豪ラチェット(ジョニー・デップ)から、脅迫を受けているからと身辺警護を頼まれるが、ポアロはあっさりと断る。その夜、雪崩で脱線し立ち往生してしまった車内でラチェットが何者かに殺害される。鉄道会社から捜査を頼まれたポアロは、乗客たち一人一人に聞き込みを開始するが、乗客全員には完璧なアリバイがあることが判明するのだった…列車内で起こる密室殺人事件の真犯人とは!?
出演者
エルキュール・ポアロ: ケネス・ブラナー(草刈正雄)
エドワード・ラチェット: ジョニー・デップ(平田広明)
ピラール・エストラバドス: ペネロペ・クルス(高橋理恵子)
ドラゴミロフ公爵夫人: ジュディ・デンチ(山村紅葉)
メアリ・デブナム: デイジー・リドリー(永宝千晶)
キャロライン・ハバード: ミシェル・ファイファー(駒塚由衣)
ゲアハルト・ハードマン: ウィレム・デフォー(家中宏)
スタッフ
【監督】
ケネス・ブラナー【脚本】
マイケル・グリーン【原作】
アガサ・クリスティ―