感想:オカルト検証番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリーE+(プラス)」『謎の獣人ビッグフット』(2020年12月14日(月)放送)

The Making of Bigfoot: The Inside Story

幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリーE+(プラス) https://www.nhk.jp/p/ts/R88ZYP985X/
放送 NHK Eテレ。毎週月曜午後7:25~午後7:50(25分)

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

超常現象の謎を楽しみながら、その正体を徹底検証!
BSプレミアムで大好評を博したシリーズが、地上波・Eテレの夜に出現!
2014年に放送した総合テレビ版から名作をセレクト。最新情報などを加え再構成。
みなさんの心に引っかかっている謎と神秘と不思議の真相に迫ります!

光と闇のナビゲーター 栗山千明
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 

謎の獣人ビッグフット (2020年12月8日(月)放送)

 

内容

幻解!超常ファイルE+(プラス)「謎の獣人ビッグフット」▽伝説映像を最新分析
2020年12月14日(月) 午後7:25~午後7:50(25分)


その二足歩行の動物はカメラ前で振り向いた。なんだこの怪物は!?北アメリカで多数目撃される巨大類人猿ビッグフット。幻の衝撃映像を最新デジタルで分析!その正体は!?


ヒマラヤの雪男・イエティと並び、謎の類人猿とウワサされる北アメリカのビッグフット。足跡は40センチを超え、身長2~3メートル。先住民からはサスカッチと呼ばれ、現在も目撃情報が多数。歩く姿を捉えた50年前の衝撃動画は、今も論争が続いている。その伝説的映像を最新デジタル処理で鮮明にし、ハリウッドの特殊メイク専門家が徹底検証!また高名な類人猿研究者が足跡から歩行形態を分析!フェイクか?新種の生物か?


【出演】栗山千明,【語り】中田譲治

 
●ビッグフットとは

 ビッグフットとは、アメリカ・ロッキー山脈近辺で目撃されている伝説の未確認生物(獣人)。身長2~3メートル。全身が毛で覆われ、人間と同じように二足歩行する。

 2012年2月。アメリカ最大手テレビ局が、アイダホ州ミンククリークで目撃されたビッグフットの映像を放送した。雪山を何かが二足歩行しているように見え、また現場では雪上に巨大な足跡が残されていた。

 2005年11月。ワシントン州シルバースター山では、地元の登山家が、標高1300メートルの山頂で峰からもう一方の峰にいる二本足で歩く生物を目撃し写真に収めている。

 アメリカでは、今までに目撃件数は3,800件以上、足跡は200個以上も見つかっている。



●ビッグフットとの遭遇

 19世紀、アメリカの開拓者たちは、ロッキー山脈近辺の先住民から、森の中に暮らす毛むくじゃらの巨大生物「サスカッチ」の話を聞かされた。やがて20世紀に入ると、金の採掘者たちの中からも「サスカッチを見た、誘拐された」などの話が出るようになった。



●パターソン・ギムリン・フィルム

 1967年10月、世界的に有名となるビッグフット映像が撮影された。歩いているビッグフットが振り返るシーンで知られるこの映像は、撮影者のロジャー・パターソンとボブ・ギムリンの名前を取り、「パターソン・ギムリン・フィルム」と呼ばれる。しかし真偽はいまだ確定していない。

 2004年に発売された暴露本「The Making of Bigfoot」では、著者は撮影されたビッグフットの中に入っていたと書き、これで偽造映像ということで決着がついたと思われた。ところが著者の証言があやふやで信用に足らないと解り、結局振り出しに戻ってしまった。

 ハリウッドで活躍したメーキャップアーティストのビル・マンズは、最新技術を使って映像の真偽を確認しようと試みた。パターソンの遺族からオリジナルに近いフィルムを借りて、まず映像をデジタル化し、さらにカメラの揺れを補正して分析をしやすくした。

 マンズ氏は映像から現場の3DCG地図を作成し、撮影した距離などを割り出した。その結果、撮影された対象は身長1.8~2メートルくらいと意外に小さい事が解った。そりため、サイズ的には人間が入っている着ぐるみでも問題は無いが、着ぐるみにしてはおかしい点も見つかった。


・謎の生物は小顔!?

 着ぐるみならは、中に人が入るため、顔のサイズは大きめになるはずだが、映像ではかなり小さ目に見える。

・着ぐるみの宿命 毛羽立ち

 ハリウッド映画の着ぐるみは、首の部分が取り外せるのが鉄則。撮影の合間に俳優が首を取り外して涼めるようにするためだが、そのために継ぎ目の部分の毛がけば立ってしまう。しかし映像の存在の首には毛羽立ちの様子はない。


 つまり撮影された対象は、ビッグフットは考えにくいが、もしこれが着ぐるみによる撮影だとしたら、今までで最も凄い着ぐるみということになる。



●ビッグフットの足跡

 謎の生物は巨大な足跡から「ビッグフット」と呼ばれるようになったが、足跡をスタンプで偽造したことを公表する人も現れ、その信頼性には疑問が投げかけられていた。

 人類学者で、人や猿の歩行についての世界的権威ジェフ・メルドラム博士は、ビッグフットの足跡について真剣に研究する価値があると考えている。もし足形スタンプで作った偽足跡なら、押し付けたあと引き剥がす際、土がくっついてくるので表面が細かく逆立ってしまい、すぐにわかるという。

 そして偽の足跡を排除した物を調べてみると、足跡の中ほどに「中折れ現象」が起きていることが分かった。これは足の真ん中の関節が曲がって地面をけり出す際に起きるもので、人間の足底は土踏まずでアーチ状になっているので起きない。

 中折れ現象は、足が手に近いゴリラやチンパンジーのような類人猿でしか起きない。ところがゴリラやチンパンジーの足の形は人の手に近く、人間の足跡に近いビッグフットの足跡とははっきり異なる。

 博士は、ビッグフットが二足歩行を行う、今まで知られていない新種の類人猿の可能性があると考えている。



●ビッグフット候補の生物

 霊長類の中で常時二足歩行を行うのは人間だけである。ビッグフット実在論者が、その候補として挙げるのが、チンパンジーの仲間「ギガントピテクス」と、初期人類「パラントロプス」。ギガントピテクスは800万年前に南アジアで発生した巨大類人猿で、推定身長3メートル・体重500キロの、史上最大の類人猿。「パラントロプス」は、200万年前にアフリカで発生した初期人類で、身長は1.3メートル。

 ギガントピテクスがベーリング海峡経由でアメリカに渡ったり、またはバラントロプスが大西洋経由でアメリカに来る、などはあり得たのか? その可能性は果てしなく低い。

 アジアの類人猿は熱帯・亜熱帯で暮らしており、北緯30度以北では化石も見つかっていない。つまりベーリング海経由で移動することは考えられない。またアフリカから南米に小型のサルが漂着してきたらしいことは解っているが、大型類人猿が海を渡った可能性はまずない。

 そしてアメリカ大陸では類人猿も初期人類の化石も見つかっていない。元から暮らしておらず、移動してきた形跡もないので、野生生物としてのビッグフット存在の可能性は限りなく低い。



アメリカ人とビッグフット

 かつては開拓民は自然と戦っていたが、現在では産業社会となり、人々は機械に囲まれる暮らしとなってしまい「人間対自然」という構図はなくなった。やがてビッグフットが自然の代表として産業社会と戦う、というイメージが生まれた。ビッグフットは、アメリカに暮らす人々が、産業社会を離れ自由を取り戻すための象徴となったのである。

 アメリカの先住民は、昔から人に似た毛むくじゃらの生き物の伝説を伝えてきた。先住民クヌート族の伝承では、森の中には「シアコ」という生き物がいて、シアコは人間の兄弟・家族であり、人が必死で探している間は姿を見せず、こっちが諦めた頃に出てくるのだという。


感想

 UMA界のビッグネーム・ビッグフットの回。伝説の「パターソン・ギムリン・フィルム」は、もう何回見たか数え切れませんが、今でも見るたびにドキドキします。撮影から50年以上経っても未だに「本物か偽物か不明」というところが実に良い。

 まあ番組は現実的に「ビッグフットはまずいない」で〆ていましたが、フィルムの謎は残り続けるのだった……、いつか真実が解るのですかねぇ?
 
 

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