【SF小説】感想「デヴォリューションの虜囚」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 631巻)(2020年12月17日発売)

デヴォリューションの虜囚 (宇宙英雄ローダン・シリーズ631)

http://www.amazon.co.jp/dp/415012308X
デヴォリューションの虜囚 (宇宙英雄ローダン・シリーズ631) (日本語) 文庫 2020/12/17
エルンスト・ヴルチェク (著), 井口 富美子 (翻訳)
出版社 : 早川書房 (2020/12/17)
発売日 : 2020/12/17
言語: : 日本語
文庫 : 278ページ

【※以下ネタバレ】
 

デヴォレーターによりネガスフィアとのコンタクトを断たれた"エレメントの支配者"は復讐のためストーカーに接触をはかったが!?


エレメントの支配者の正体は、かつて太古に存在したヴ・アウペルティア種族が進化を遂げてネガティヴ超越知性体となったものだった。かれはエデン2のクロノフォシル活性化を阻もうとしたが、ポルレイターの武器“デヴォレーター”を見舞われ、とめることのできない逆進化の道を歩みだすことになる。なんとか解決策を探そうとするなか、かれはみずからの内に未知の意識存在が宿っていることに気づいた。その未知者とは?

 

あらすじ

◇1261話 デヴォリューションの虜囚(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:井口 富美子)

 クロノフォシル・エデンIIの活性化は失敗し、各クロノフォシルでは時間・空間の異常が発生し始めた。《バジス》から消えたローダンは、精神だけの存在となり、何故かエレメントの支配者の精神と一体化してしまった。エレメントの支配者は貯蔵基地に逃げ帰るが、デヴォレーターによって逆進化「デヴォリューション」に見舞われ、力を失いつつあった。エレメントの支配者は、反コスモクラートの立場であるストーカーに接触し、貯蔵基地の兵器でデヴォレーターを破壊すれば、相応しい見返りを与えると持ち掛けるが、ストーカーは銀河系種族に基地の場所を知らせ、貯蔵基地は破壊されてしまった。(時期:不明:NGZ429年4月8日~6月中旬頃)

※初出キーワード=時間黒点、空間黴。クラックトン症候群



◇1262話 英雄学校チョモランマ(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:井口 富美子)

 エレメントの支配者は、逆進化によってただのヒューマノイドに退行していたが、ストーカーへの復讐の機会を狙っていた。一方、ストーカーは自分たちの哲学を教える「ウパニシャド学校」、通称「英雄学校」をエベレストの頂上に建設し「チョモランマ」と命名していた。エレメントの支配者は学校の開校イベントに乗じてストーカーを襲撃するが失敗して逃亡し、数ヶ月後、原細胞にまで遡った末に消滅した。ローダンの精神は解放され、力を取り戻した“それ”と共に改めてクロノフォシル・エデンIIを活性化し、遂にフロストルービン/トリイクル9の全ての封印は消滅した。(時期:NGZ429年6月頃~9月末頃)

※初出キーワード=惑星キャプテン・ホーネックス


あとがきにかえて

・シリーズの翻訳を始めて二年経った話
・コロナ禍でウェブ会議ツールを活用している話


感想

 前半エピソード … 原タイトル:DEVOLUTION(意訳:デヴォリューション)

 「エレメントの支配者」と「ストーカー」という、このサイクルの前半と後半を代表するキャラが対面するという豪華エピソード。前半のクロノフォシル活性化話と、後半のエスタルトゥ話は、あまりにノリが違い過ぎて全く関係のない展開を無理やり結び付けた感が強いので、まさかこの二人がきっちり絡むエピソードがあるとは驚きでした。


 後半エピソード … 原タイトル:SCHULE DER HELDEN(意訳:英雄の学校)

 エレメントの支配者の最期と、ストーカーの英雄学校開設を描いたエピソード。そこにゲストキャラのシーラ・ロガードとエレメントの支配者の悲恋を絡ませて、なかなか読ませてくれる回でした。終盤、猿人に退化した元エレメントの支配者とシーラの対面シーンとか、結構泣かせました。こういう味付けの話が唐突に出て来るからローダン・シリーズは侮れない……
 
 
 

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