【映画】感想:映画「新幹線大爆破」(1975年(昭和50年):日本)

新幹線大爆破 [Blu-ray]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2021年2月15日(月)

【※以下ネタバレ】
 

主演高倉健。東京・博多間を走る新幹線に仕掛けられた爆弾をめぐって、犯人と警察、鉄道職員とのスリリングな攻防を描き、国際的にも高く評価されたパニック・サスペンス。


ある日、国鉄本社に、東京発博多行き新幹線ひかり109号に爆弾を仕掛けたという脅迫電話が入る。爆弾は、時速80キロ以下に減速すると爆発するようセットされているという。さらに犯人は、いたずらでないことを証明するため、貨物列車を爆破し、500万ドルを要求する。犯人、警察、鉄道職員の息詰まる攻防は…。高倉健はじめ、当時のオールスターキャストで映画化、海外でも高く評価されたパニック・サスペンスの名作。

 

あらすじ

 東京発・博多行き新幹線「ひかり109号」が東京駅を発車した直後、国鉄に「ひかり109号に爆弾を仕掛けた」という脅迫電話がかかってくる。しかもその爆弾は、列車が時速80キロに到達するとスイッチが入り、そのあとは時速80キロに速度を落とした瞬間に爆発するものだという。

 国鉄側は半信半疑だったが、犯人は北海道の夕張駅発の貨物列車にも同じ爆弾を仕掛けてあり、時速15キロに減速すれば爆発すると言って電話を切る。そしてその言葉通り減速した貨物列車が爆発し、犯人の言葉に信ぴょう性が高まる。国鉄はすぐさま「ひかり109号」の速度を時速120キロに抑えて博多着の時間を稼ぐ一方、警察は捜査を開始した。

 犯人は国鉄に連絡し、100ドル紙幣で500万ドル(約15億円)を用意するように要求してくる。国鉄は政府に要請し500万ドルを用意する。警察は夕張駅近くに落ちていた煙草の指紋から、学生運動崩れの活動家・古賀勝を特定し、古賀の行方を捜し始める。

 一方、「ひかり109号」では、名古屋に停車しない事がアナウンスされ、乗客たちが大騒ぎを始めていたが、乗務員たちはあくまで故障のためと誤魔化し爆弾については伏せていた。

 犯人は再度国鉄に連絡を入れ、金をトランクに入れさせ、警察を振り回した後、崖の上からロープをたらしトランクを引き上げて金を手に入れようとする。ところがそこに学生たちが通りかかったため、慌てて金を投げ捨てバイクで逃走するものの、パトカーに追跡された挙句、運転を誤って事故を起こし死んでしまう。国鉄と警察はショックを受けるが、死んだのは若い男で、連絡してきたのは中年だったため、また連絡があるはずと希望をつなぐ。

 警察は偶然古賀を発見し、銃撃して追い詰めるものの、取り逃がしてしまう。古賀は主犯の男の隠れ家である廃工場に逃げこむ。主犯の男は、再度国鉄に連絡し、道路上に止まったトラックに金を運び込ませた後、金を手に入れるとバイクと車を乗り継いで警察の追跡を振り切り逃走に成功する。

 主犯の男は、警察に連絡し、爆弾の解除方法を書類に記して喫茶店に預けたと知らせるが、警察がその喫茶店に向かうと火事で店内は炎上しており、書類も焼失していた。また警察は死んだ若者の指紋から名前が「大城浩」であることを割り出し、身元引受人が沖田哲男という人物だと確認する。また沖田の工場はすでに倒産していたが、爆弾に使用された装置を過去に製造していたことを突き止める。

 主犯・沖田は中小工場の経営者で、死んだ若者・大城浩は沖田の工場の従業員だった。浩は沖縄から集団就職で上京したものの、就職先は倒産し、沖田の工場に拾われる。しかし半年後沖田の工場も倒産し、沖田は妻子に捨てられていた。そんな時、沖田は学生運動崩れの古賀と知り合い、三人で大博打を撃つことを決意したのだった。

 沖田の廃工場に警察が到着し、古賀はダイナマイトに点火して自爆した。それを見た沖田は単身国外への逃亡の準備を始める。国鉄はテレビ放送で沖田に書類が焼失したことを知らせ、爆弾の解除方法を教えてくれるように呼び掛ける。「ひかり109号」の車内には爆弾の解除法を記した書類が焼失したことが伝わり、乗客1500人はパニックに陥っていた。

 政府は「ひかり109号」が人口密集地帯や工業地区で爆発し被害を広げることを憂慮し、国鉄に被害の少ない場所で停止させ爆発させるように要求してきた。国鉄は「ひかり109号」が橋を走るタイミングで車体を下から撮影し、爆弾らしきものが車体に取り付けられていることを確認する。そしてバーナーを「ひかり109号」に運び込んで床を焼き切って穴をあけ、爆弾のコードを切断する。しかし、その後、二個目の爆弾らしいものが発見されるが、停車を強行し、無事「ひかり109号」は停車に成功した。

 同じころ、沖田は国鉄に電話で爆弾の解除方法を連絡した後、国外逃亡のため空港に向かうが、別れた妻子が警察に連れられて空港に来ていた。警察は妻子の表情を見て沖田を見つけ出すと、すぐさま追跡する。沖田は多数の警官たちに包囲され、逃げ場を失った挙句、さらに逃亡しようとして射殺される。完


感想

 評価は◎(面白い!)。

 パニック物とサスペンス物を見事に融合させた超面白映画。多分視聴するのは三回目くらいですが、良い具合に話の細部を忘れ切っていたので、食い入るように視聴してしまいました。

 もうとにかくテンポが良くて、新幹線が停止できないというパニック要素と、犯人グループ対警察の攻防というサスペンス要素を巧みに織り交ぜて話を進めるので、もう息つく暇も有りません。


 パニック要素の「新幹線が時速80キロ以下に減速できなって走り続けるしかなくなる。しかし夜の21時には博多に到着して止まらざるを得ない」という設定は、これだけでも十分面白い。例えば、映画開始早々浜松付近で先行車両が故障で止まってしまい、対策として上り線に切り替えてかわさざるを得なくなるのですが、ほぼ同じ時刻に上り線に別列車が走ってきているので、秒単位ですれ違うしかなく、その辺りのギリギリの分岐切り替えの描写がもうハラハラしっぱなし。指令所の司令長の宇津井健と運転士の千葉真一のやり取りとかがたまりません。

 それに加えて、さらに、大金を手に入れようとする犯人グループと警察の攻防もあり、その展開は実にスリリング。最初は犯人たちがどういう人物かというのは視聴者に伏せられており、主犯の高倉健の回想と、警察の捜査によってだんだんと詳細が明らかになっていくのですが、犯人グループの全員が負け組というのがなんとも日本チックという感じ。工場経営に失敗した沖田、学生運動に挫折した古賀、沖縄から来たものの仕事先が長続きしない大城、の三人組が、世の中に一発かましてやろうと15億円奪取を試みるという設定からして昭和日本だなぁと。

 沖田たちが現金を手に入れようと色々と手を打ち、警察がそれに振り回されつつも巧みに対処していく、という展開は見ごたえがありました。そして、犯人たちは、自分たちも乗客たちも誰も傷つけずに行う完全犯罪の筈が、警察の捜査や偶然によって予定がどんどん狂っていき、浩も古賀も途中で(つまり新幹線スタート後数時間で)死んでしまう、というあたりの悲哀が、またたまりません。この辺り、主犯が高倉健というのがはまっているなぁとつくづく思いましたね。

 最後、空港の外で警察に包囲された高倉健が、飛び立っていく飛行機を見送った後、警察に撃たれ、無音のまま倒れてそのまま完、というのはニューシネマ風味というやつなんでしょうか。

 この映画、オールスター映画というやつで、メインで高倉健宇津井健千葉真一鈴木瑞穂竜雷太あたりが大活躍するのですが、わりとちょびっとしか出ない役で、丹波哲郎志村喬etc、さらにほぼワンカットのチョイ役で志穂美悦子や千葉治郎、田中邦衛、辺りも出ていました。うーん豪華。あと藤田弓子とか黒部進とかもいました。

 贅沢に豪華俳優陣を登場させ、犯罪物としてもパニック物としても高いレベルで仕上げた傑作映画、見終わって満足の一言です。 (^_^)b
 
 

シネマ「新幹線大爆破」<レターボックスサイズ>
[BSプレミアム] 2021年02月15日 午後1:00~午後3:33 (153分)


【企画】
天尾完次、坂上順
【監督・脚本】
佐藤純彌
【原案】
加藤阿礼
【脚本】
小野竜之助
【撮影】
飯村雅彦
【音楽】
青山八郎
【出演】
高倉健宇津井健千葉真一山本圭織田あきら田中邦衛丹波哲郎 ほか


製作国:
日本
製作年:
1975
備考:
日本語/カラー/レターボックス・サイズ

 

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