【アニメ】感想:アニメ「ゲキドル」第12話(最終回)「終わりよければすべてよし」:もうちょっと緻密に話を組み立てて欲しかった(嘆き)

TVアニメ「ゲキドル」

TVアニメ「ゲキドル」公式サイト http://gekidol.com/
放送  AT-XAT-Xが最速放送)

【※以下ネタバレ】
 

第12話(最終回) 『Stage.12 終わりよければすべてよし』 (2021年3月23日(火)放送)(最速放送)

 

あらすじ

 SMT(スーパーマテリアルシアター)の世界同時公演は大成功を収めるが、終了と同時に世界中の人間が次々と消滅し始めた。

 アリスインシアターでは、愛美たちがこの異常事態に動揺するが、せりあ・あいり・いずみの三人だけは、何も気が付かないように「クロノゲイザー」の各人の役割を演じ続けていた。

 失神から目覚めたかをる/ミキは、あずさ/エンリ・ビアンノと出会い、五年前にミキが殺したエンリ・ビアンノはGMS(グランドマテリアルシステム)の端末のドールだった事を知らされる。せりあがアリスインでドールと出会ったことで、GMSの中の人格データであるあずさ/エンリ・ビアンノが目覚め、5年前にイノヴェイターが行おうとした未来の救済、サーベイションを再開したのだった。

 エンリ・ビアンノは竹崎を利用することでGMSを起動させ、結果として人類50億は精神体として余剰次元に格納されていった。エンリ・ビアンノの計画では、50億の精神は5年前に戻され、その結果時空の支流「トワイライトディメンション」は消滅し、また行き詰った未来への道も閉ざされ、新しい歴史が作られることになる事になっていた。

 かをるは、自分の左足に残ったエネルギーを使い、クロノクリスタルのリミッターを外すことで暴発させ、GMSを止めようとする。しかしその行為もまたエンリ・ビアンノの計画内であり、その暴発のエネルギーこそが50億の精神を過去に送り返すために使われることになっていた。


 一方、精神体となったせりあ・あいり・いずみの三人は、50億の観客が見守る中「クロノゲイザー」のクライマックスを演じていた。エンリ・ビアンノは、五年前に起きた出来事を芝居の形で再現することで過去と同期させるつもりだった。

 ところがクライマックスで、せりあ(ミキ)は、あいり(キョウコ)がいずみ(エンリ・ビアンノ)を撃つのを止めようとする。やがて、三人の芝居は現実と融合し、あいりがいずみに対してアリスインを捨てたとなじれば、逆にいずみはあいりが常に人に頼ってばかりとやり返した。せりあ(ミキ)は二人に対して解り合うように求め、未来は自分たちが取り戻すと宣言して幕を閉じる。直後GMSによって50億の精神が過去に送り返された。

 2012年。世界同時都市消失は発生せず、せりあの両親もありすも無事外出から戻ってくる。


 五年後。昔から演劇についての夢を見続けていたせりあが、夢をかなえようと街を走っているシーンで〆。


脚本 大知慶一郎
絵コンテ・演出 上田 繁
作画監督 末田晃大、小林利充


感想

 ん、まあ、悪くはなかった……(ト書き:歯切れ悪く)

 まあ、要するに今までで描写されたゲキドル世界は「アクシデントで生まれた間違った世界」であり、最終的に悲惨な方の世界は消え、明るい希望に満ちた世界が残りました、めでたしめでたし、という時間改変SFのハッピーエンドになったのは解りました。

 時間修正に必要なのが、五年前と現在の同期であり、そのために首謀者エンリ・ビアンノが長~い計画で「クロノゲイザー」という芝居を演じさせるように持って行った、というのもまあ分かりました(これが計画通りだとして、そんなにうまくいくかよ、というようなことはさておき)

 クライマックスの、演劇の途中で色々あって、首謀者のエンリ・ビアンノも予想しなかったオチになりました、というのも解りました。

 と、後味は悪くなかったのですが……


 だからこそ、途中をもっと丁寧に作ってほしかった。竹崎がこだわっていたミキって誰?、とか、ドールの謎のふるまいとか、GMSってなんだったのか、とか、未来人が何故ドールを持ち込んだのとかとか、いろいろ。細かい所をしっかり作りこんでこそ、クライマックスが生きるでしょうに、なんかあちこちが未完成のベータ版を見せられたような、そんなモヤモヤした感じが残りました……、基本的な方向はわりと良かったと思うのだけどねぇ……


総括

 評価は△(もっと頑張りましょう)。
 
 うーん、惜しいよなぁ、雰囲気は良かったのに……


 「世界同時都市消失」と呼ばれる謎の災害から五年後。守野せりあは、友人から譲ってもらったチケットで劇団「スーパーマテリアルシアター」の芝居を観劇に行き、主演の雛咲いずみの演技に魅了される。そしてせりあは劇団「アリスインシアター」の劇団員募集のチラシを受け取り、興味を持つが……


 基本的には現代が舞台に見えるのですが、人型のロボットが普通に使われていたり、ホログラムで舞台劇を演出する装置「シアトリカルマテリアルシステム」が使われていたり、で、近未来と思しき時代が舞台。最初は他人の演技を完璧にコピーできるという特別な才能を持つせりあが、演劇の世界で女優として成長していく話、という風に見えたのですが……

 途中で、せりあが五年前の災害で両親も妹も亡くしているとか、サブヒロインがかつてジュニアアイドルだった頃、金欲しさに結構きわどい事をしていてそれが黒歴史だとか、薄暗い話が次々と飛び出してきて、『ゲキドル』というアイドルアニメ風のタイトルが明らかにタイトル詐欺に見えるようになり……

 やがて途中から、演劇の話とは関係ない謎めいた描写が次から次へと出て来てミステリアスな雰囲気が醸し出され、「これはパッと見通りの演劇アニメではなさそうだ……、一体どうなる?!」と興味を惹かれてしまい、途中からは食い入るように視聴していたのですが……


 残り3話となった第10話で、登場キャラの日記の形で、このお話がタイムトラベルSFだった事が暴露され、まさかの展開に仰天しつつ、残り三回でいったいどうオチを付けるのかと思っていたら……、予想通りあまりうまくいきませんでした(泣き笑い)

 こういう急展開をやるのならば、それまでに入念に伏線を敷いておかないといけないのに、


・竹崎とミキの繋がりが説明不足過ぎ
とか

・竹崎がミキ=かをるって気が付かないとか変じゃない?
とか

GMSとは何だったの?
とか

・イノヴェイターがドールがこの時代に持ち込んだ理由は?
とか

・かをるがSMTの公演を見て「あなたのやりたいのはこんなものだった?」と非難していましたが、あれはなんだったの?
とか

・深夜かをるのところにドールが押しかけてきてビルから転落するシーンがあったのは何だった?
とか

 色々説明不足で聞きたいことがあり過ぎ。


 過去のシーンの再現を、本人たちではなく「あいり・いずみ・かをる」に演じさせて、過去の話なのか演劇なのかあいまいにする、とか、最後の最後に演劇が重要な役目を果たす、とか、色々面白い試みもあっただけに、細部の作りこみが甘く、話のかなりの部分を視聴者に投げっぱなしにしてしまったというのが惜しかった。ダメでは無かったのですが、これは他人には勧め辛い……


 挑戦的な内容の作品で注目していただけに、完成度がイマイチだったのが悔やまれます。本当に。
 
 

謎の災害・世界同時都市消失から5年
世界は混乱の中にありながらも、少しずつ復興を遂げようとしていた


そんな世界で
3Dホログラムを用いた「シアトリカルマテリアルシステム」を使った演劇
に魅せられ、光り輝くステージを目指す少女たちがいた


それぞれの思いを胸に
今、ステージの幕が上がる

制作会社
フッズエンタテインメント


スタッフ情報
【原作】ゲキドル製作委員会
【監督】上田繁
【シリーズ構成】ゲキドル製作委員会
チーフライター】大知慶一郎
【キャラクター原案】関谷あさみ
【キャラクターデザイン・総作画監督】立石聖
【メカデザイン】今門卓也
色彩設計】斉藤麻記
美術監督】清水哲弘
【撮影監督】戸澤雄一郎
【編集】廣瀬清志
【音響監督】本山哲
【音楽】Prhythm/epx


キャスト
守野せりあ:赤尾ひかる
各務あいり:持田千妃来
雛咲いずみ:諏訪彩花
榊原かをる:花澤香菜
ドール:M・A・O
浅葱晃:山本希望
藤田愛美:髙野麻美
山本和春:秋吉あや
中村繭璃:佐藤亜美菜
竹崎宏和:鳥海浩輔
樋口真琴:八島さらら
日向智子:水橋かおり

 
ゲキドル!(TVアニメ「ゲキドル」前期オープニングテーマ)